行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】
新穂高温泉(08:00)・・・笠新道登山口・・・2000mの草付[休憩 10分]・・・杓子平(13:15)[休憩 10分]・・・笠新道分岐(14:50)[休憩 10分]・・・笠ヶ岳山荘(16:15)
【2日目】
笠ヶ岳山荘(05:50)・・・笠ヶ岳(06:10)[休憩 15分]・・・笠ヶ岳山荘(06:40)[休憩 50分]・・・笠新道分岐・・・杓子平・・・2000mの草付・・・笠新道登山口・・・新穂高温泉(14:00)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
3連休の真ん中に台風が近づくという非常にコンディションが悪い中でどこが良いか検討したところ、笠ヶ岳に登ることにした。
日曜の昼間は3000メートル付近は風速25メートルという予想で、稜線に出ると大変な目にあうのが予想されたので、初日は基本的に樹林帯の中を歩いて風を凌ぎ、2日目に頂上に登って帰ってこれるアルプスという条件で調べたら笠ヶ岳がマッチしたからだ。
【1日目】
土曜日の夕方に東京を出発して、松本市の満喫で前泊。
台風は土曜から日曜の昼間にかけて暴風をもたらし、日曜朝は麓でも開けた場所は結構な風が吹いていた。
松本市からは車で2時間ほどで新穂高温泉に着く。
県営公共駐車場を利用する予定だったが、閉められてしまっていて早速予定外に時間がかかってしまった。
登山指導センターで登山届を提出して、ようやく出発。
登山口までは砂利道の自動車道を進んでいくので、単調だがまったり紅葉を楽しみながら歩ける。
登山口に入ると、樹林帯をひたすら登っていく。
本来はある程度の高度になると木々がひらけてきて、振り返ると穂高岳が見えるという素晴らしい道なのだが、今日はガスっているためひたすら単調な登りが続く。
杓子平まで4時間半ということで辛いのは覚悟していたつもりだったが、予定の時間帯を過ぎても天候が回復しないので気分的に参ってくる。
無心で登り続けて、ようやく杓子平に到着すると、森林限界を超えて視界が開ける。
視界は開けても傾斜はきついままで、天候は相変わらず悪く、とにかくしんどい。
一面の草紅葉が多少疲れを紛らわしてくれたが。
そしてようやく稜線に出たと思ったら、思っていた以上にアップダウンが続き、さらに体力を消耗させられる。
地図上は気楽な稜線歩きに見えるが、何回も小ピークを登り降りしなくてはいけない。
さらに天候は回復せず、西からの冷たい霧雨が体の熱を奪っていく。
途中、雷鳥さんを見かけたが、もう冬仕様に羽が生え変わっていた。
雷鳥さんの方が準備がしっかりできている。
コースタイム上は2時間で山荘に着く予定だったが、稜線までの登り、延々と続く稜線のアップダウン、そして冷たい霧雨で完全にバテてしまい、久しぶりにコースタイムよりも時間がかかってしまった。
ヒイヒイ言いながら山荘近くまで来ると、またしても岩場の結構な登り…
テント場は山荘の下の方にあり、受付のためには山荘まで登らなくてはいけない。
雨脚も強まってきて完全に気持ちが折れたので、雨の中にリュックを放置して山荘に向かって登る。
ようやく山荘に到着すると、受付のお兄さんが「お疲れさまでした!」とねぎらってくれた。
予定より時間がかかって16時半ぐらいになっていたので注意されないかと心配だったが、対応の良いスタッフさんのおかげで疲れが少し癒えた。
そこからまたテント場に戻り、早くテント内で休みたい一心でテントを設営する。
薄手の防水手袋は持ってきていたが、気温は8度くらいまで下がり、手がかじかんでロープワークがままならない。
ここまで寒くなるとは思ってなかったので、10月でもアルプスでは冬用の手袋を持っておくのが安心だと感じた。
ようやく設営が完了したので、すぐに夕飯の準備をする。
体が失われたカロリーを求めていた。
フリーズドライのボルシチでまずは体を温め、スパイスの効いたカレーを頂く。
登山開始から9時間でようやくホッと一息をつけた。
食事中も雨は止まずもう寝てしまおうかと思って準備をしていたら、外から「おっ雲が晴れた」と声が聞こえたので急いでテントから顔を出すと、目の前には夕焼けに染まった槍と穂高が眼前にそびえていた。
初めて間近で見た槍と穂高の雄大さにため息が漏れる。
今日ここに来るのは本当に大変だったが、頑張って登ってきて良かったとようやく報われた気分になった。
暗くなってからトイレのために外に出ると、空は満天に星がきらめき、槍、穂高の方を見ると関東の明かりを背景に山の影がくっきりと見える。
先日の北岳、鳳凰山は月明りで一部しか見れなかったが、今日はほぼ新月だったので、天の川が端から端までかかっている。
稜線下で風も穏やかだったので、テントから顔を出して、星空を小1時間ぐらい眺めていた。
テントを持ってくるのは大変だったが、それに見合う景色を堪能することができた。
体は疲れていたが、心の疲れはすっかり消え、心地よい気分の中、眠りについた。
【2日目】
5時ごろ、周りの物音で目が覚める。
すでに槍、穂高の後ろは明るくなっていた。
朝ごはんを準備しつつ夜明けを待つ。
気温は0度近くで、寒さでかじかみながらバーナーでお湯を沸かし、携帯用のチキンラーメンを食べる。
寒い中のラーメンは本当に体に染みる。
食べ終わったころ、丁度、穂高の鞍部から太陽が顔を出した。
北岳でお預けされた御来光をようやく見ることができた。
山頂を見ると御来光目的だろう、登山客がちらほらと見える。
自分も朝日が射しているうちに頂上に登ろうと出発する。
山頂までは10分程度で、散歩気分で向かえる。
山頂に到着すると、他の登山客は御来光を見終わってほとんど下山しており、貸し切り状態でパノラマを堪能できた。
槍、穂高だけでなく、北アルプスの山々が雄大にそびえ、西側には雲海が果てしなく広がる光景を独り占めである。
しばらく景色を堪能していたが、延々と続く下りが控えていたので後ろ髪を引かれつつ下山。
テン場に戻ると、テントをすぐに撤収して出発する。
たっぷり寝たおかげで、昨日辛かった稜線歩きもペース良く進む。
もちろん道中ずっと素晴らしい景色が眺められていたというのもあるだろう。
稜線から降りて杓子平に向かう途中も、目の前にずっと穂高が見える状況で、日が昇って刻々と印象が変わっていくのを眺めながら降りていく。
昨日の寒さとは打って変わって、直射日光が容赦なく降り注ぎ、Tシャツ一枚で丁度良いぐらいまで暑くなってきた。
暑さと延々と続く下りで段々としんどくなってくる。
樹林帯に入ってからは木陰で休みながら少しずつ降りていく。
辛いとは言っても、視界が開けたときに槍、穂高と綺麗な紅葉の組合せの景色があるので、それなりに楽しむことはできた。
登山口に着いてようやく気を休められたが、足が疲れている中で砂利道を下るのは結構辛い。
とにかく早く休息したい一心で下っていき、ようやく登山指導センターに到着。
時刻は2時半過ぎで余裕があったので、日帰り温泉に入ることにした。
登山後の疲れた体には温泉は本当に染みる。
露天風呂に出るとアルプスの山を眺めながら温泉に浸かることができ、疲れもすっかり飛んでしまった。
入浴後は、飛騨牛コロッケや牛乳を飲んで小腹を満たし、山々の向こうの東京に向かう。
帰りは帰宅ラッシュに巻き込まれてしまい、松本ICまで予定より時間がかかってしまった。
大月辺りに来た時点でもう9時を過ぎていたが、それでも13キロの渋滞が発生しており、3連休の混雑の酷さを物語っていた。
最終的に家に到着したのは10時半過ぎ。翌日の仕事のために、今日の余韻に浸る間もなく充実感だけ感じながら眠りについた。
【まとめ】
一言でいうと、とにかくキツい山行だった。
山頂までのコースタイムを考えると、宿泊費が高くなっても山荘泊で荷物を軽くするメリットの方が多いと感じた。
(テン場からはトイレ、水場に行くのもいちいち登り降りが必要だし、スタッフさんの対応もよいのであえて山荘を避ける必要もないだろう。)
しかし、テント装備の重さに耐えきれれば、開放感のあるテント場でアルプスの山々と星空をずっと眺めることができる。
苦労に見合う御褒美は得られるだろう。
ただし、自分はもう今回のルートは登らないと思う(笑)
どちらにしても、間近で見る槍、穂高を中心とした北アルプスの山々の景色は素晴らしいものだった。
また、笠ヶ岳自体も山容が立派で、単体で百名山として相応しい姿だった。
遠回りでまったり登ってくる方が楽ではあるが、時間がない人も、気合をいれて笠新道からの登りにぜひ挑戦してみてほしい。
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