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悪天候の六甲全山縦走、欠けることなく全員でゴールを目指す

旗振山、高倉台、横尾山、須磨アルプス、高取山、菊水山、鍋蓋山、摩耶山、摩耶別山、(六甲最高峰)( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 5人 (Yamakaeru さん 、ほか4名)

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行程・コース

天候

雨、強風

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 阪神3号神戸線・若宮ICで須磨浦公園駅へ。駅横の須磨浦公園駐車場へ駐車。近隣の駐車場もいろいろ調べたが、どこもそれなりの値段につき、駅にも会場にも近いここに決定。223台駐車可能。24時間営業。

この登山記録の行程

山陽電鉄須磨浦公園駅スタート(05:31)・・・旗振山(05:59)・・・ 横尾山(06:45)・・・馬ノ背・・・妙法寺・・・高取山(07:58)・・・神鉄鵯越駅(08:43)・・・菊水山下CP(08:57)・・・菊水山(10:11)・・・鍋蓋山(11:19)・・・再度山 大竜寺前CP(11:44)・・・櫻茶屋・・・摩耶山(13:53)・・・摩耶別山・・・藤原商店・・・凌雲台・・・六甲最高峰下CP(15:55)・・・大谷乗越・・・塩尾寺・・・ゴール(18:26)

コース

総距離
約39.8km
累積標高差
上り約2,986m
下り約2,972m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

真夜中のレストランに集合して、ブリーフィングという名の雑談とコーヒータイムを行い、山仲間とともに一路、神戸へと向かう。
これからの長丁場を考えると、少しでも眠っておくべきなのに、全員、アドレナリン・マックスで、車内の盛り上がりは半端なかった。
久しぶりの六甲全山縦走への参加。今回、仕事の関係で異動される先輩を送るイベントとして企画された。総勢5名。盛り上がるテンションに反して、空は曇天で星も見えない。一週間前から天気予報をチェックしてきたが、日曜日だけがピン止めされているかのように雨マークが固定されていた。最後の期待もむなしく、どうやら雨の中の過酷な登山は避けられそうにはない。
3時過ぎに宝塚駅に到着。ゴール後のことを考えて、駅のコインロッカーに各自、お風呂セットをデポする。
宝塚からスタート地点の山陽電鉄須磨浦公園駅までは車で約1時間。わざわざ荷物を分散させてまで山歩きをするのだから、山に興味がない人には全くの奇行と思われても仕方がない。
4時少し過ぎ、駅の真横にある駐車場に停める。前回も使った駐車場で、安い場所がないかといろいろ調べたが、結果、あまり変わりがないと同じ場所に停めることにした。
真っ暗闇だというのに、駅前にはちらほらと参加者らしい人が増えてきた。5時少し前に、スタート会場へと向かう。会場は、駅正面に向かって左側の道を数100m程登ったところにある。受付のテントと六甲全山縦走の上り旗を見て、「またやってきたんだ」と実感が沸いてきた。前回は、寒くて待っている間がとにかく苦痛だったが、今回はそれほどでもない。
5:30。列が動き出す。受付が開始された。
参加申し込みのカードからスタートのチケットを渡し、代わりに参加証明のバッチと小物入れをもらう。カードにはチェックポイントの名前が書かれたチケットが綴られていて、チェックポイントに入る度に、切って渡す仕組みになっている。
六甲全山縦走は、大会と言ってもレースではないため、受付が終わったからと言っても焦る必要はない。身支度をして、記念のスタートを示す横断幕の写真を撮ってから歩き出す。ただ、一度歩き出すと、周囲の雰囲気もあって、徐々にはやる気持ちが抑えきれず、次第にスピードが上がっていく。
最初の山となる鉢伏山は、スタート直後の階段から結構な斜度を持っていて、ウォーミングアップ前の身体には結構な負荷となる。
息を切らせながら登って行くと、山頂手前で神戸の夜景が目に飛び込んでくる。さすが日本を代表する夜景の1つだけのことはある。
その夜景も、写真を撮っている数分の間に、朝を迎え空が明るくなってきた。夜景からビルの街並みへと変わっていく。これはこれで、近代都市と山が同居する六甲ならではの風景で大好きな構図だ。
足下が十分明るくなったのでスピードを上げながら登山道を進んでいく。暫くは水平移動だと安心したのもつかの間、前方に次の山とその手前にある住宅街が見えてきた。ここでは一旦、完全に山を降りて住宅街を抜けて次の山へと向かうことになる。
平日であればカバンを持ったサラリーマンが足早に通勤する姿があるのだろう。そんな場所を抜けていく。六甲全山縦走でザックを背負った姿が不釣り合いな一番アンバランスな場所だと思う。
次の高倉台では、記憶に必ず残る地獄の直登階段が待っている。急登ハンターとしては望むところと言いたいが、コンクリの階段は別。とかく足にくる。
暫く進むと、名勝「須磨アルプス」の「馬の背」が見えてくる。渋滞の名所でもあるが、まだ時間も早いためか有難いことに流れはスムーズだった。神戸の市街地からもさほど離れていないのに、こんなアスレチックな風景があるなんて、そのギャップがたまらなく素晴らしい。
高取山、丸山を抜けて再び、長い市街地のコースとなる。山を完全に降り切って、街中をうろうろしていたらもはや縦走ではないとような気もするがそこは言わない約束として、道をくねくね曲がりながら神鉄鵯越駅を目指す。市街地エリアは、看板はちゃんと設置されているが、小さく分かりにくい場所もあるため、コース上で一番迷いやすい場所になっている。
神鉄鵯越駅を過ぎて、次の山は菊水山。急なアスファルトの道を登っていくと、下水処理場がありその入り口付近に待ちに待った1つ目のチェックポイントが見えてくる。感覚的には、この一つ目のチェックポイントが一番長いような気がする。チケットを切って受付の人に渡し、カードに到着時間を記入してもらう。途中でばらけた仲間が揃うのを待ちながら、その間におにぎりをほおばる。レースではないとはいえ、時間が限られているため食事は途中途中、食べられるときにとっておくことが大事だ。
菊水山は他の方もレポで書いている通り、大会前半において一番の難所と言われている。正直、急登と言っても標高もそこそこの山。普通であれば難なく登れるレベルであるが、全山縦走の距離を考えると、ここで足の使い方を誤ると確実に後半に影響を及ぼす。ゆっくりとリズムを保って確実に登っていくことが大事だ。
菊水山の山頂では、山岳会の方々だろうか、ポカリスエットに岩塩と黒砂糖の差し入れがあった。日ごろ、水分はあまりとる方ではないが、今日はこまめにとるよう心掛けている。岩塩と黒砂糖の差し入れが、有難かった。甘い黒砂糖の後に、しょっぱいピンク色の岩塩をがーっと口に放り込む。欲張りすぎて、口の中がヒリヒリした。
休憩していると、ついにパラパラと雨が降ってきた。天気予報ではもう少しもつかと期待していたが、現実はそう甘くない。急いでレインウエアに着替える。
大雨ではないが、身体は冷えるし景色は見えないと、ちっともいいことが無いのでカメラもザックにしまい、ただ黙々と歩く。鍋蓋山から再度山。
山を降ってアスファルトの道に出る。自重で走り出したくなりそうな急斜面の道だが、表面の苔が雨に濡れて滑りやすい。注意しながら降りていく。すると樹々の間から大きな門が見えた。大竜寺の門だ。門の下には、チェックポイントが設置されている。ここは前半のハーフコースのゴールにもなっているせいか、多くの人で賑わっていた。
このチェックポイントではパックのジュースがサービスされている。チケットを渡して、3種類の程のシューズからブルーベリーを選択。
さぁ、後半戦と気を引き締めて歩き出す。
市ケ原を抜けて、後半戦最大のポイント、摩耶山に入る。ここまでの疲労に対して、摩耶山は容赦ない急登が続くため、足の状態を確認しながら慎重に登っていかなければならない。ただ、辛いことばかりではない。登り切ったところでは、六甲全山縦走の名物の一つ、ホットレモンティーのサービスが出迎えてくれる。冷え切った身体には本当に嬉しい。「美味しいよ!」と紙コップに入ったレモンティーを渡される。「うーん、バケツ一杯飲みほしたい!」と言ったら笑われた。
ここでサプライズが一つ。掬星台(きくせいだい)で遠方から応援にわざわざ飛行機でやってきた山仲間が駆け付けてくれた。前日は有馬温泉に一泊し、ザックを背負ってやってきたそうだ。雨の中、駆け付けて我々の到着を待ってくれていた友人を前に疲れたところは見せられない。短い時間ながら久しぶりの幸いに盛り上がる。全員で記念撮影をしてから、再び歩き出す。ここからは、登山と言うより、車道を歩くコースの方が増えてくる。
一時、雨が弱まってきたと喜んでいたのもつかの間、六甲ガーデンテラスの手前付近から再び霧と雨が強まってきた。おまけに横殴りの強い風も加わった。この時期の雨は体温を一瞬で奪う。ましてやかなりの長距離、少しでも対策強化とレインウェアを二重に着込んでいたが、まるで効果はない。
六甲まではとかくアルファルトの区間が長い。本当であれば神戸の市内も眺望できて少しは気がまぎれるところだが、今は真っ白な濃霧に隠れていてそもそもどこを歩いているかさえも分からない。
六甲ガーデンテラスをだいぶ過ぎたところで、「あれ?ガーデンのところのチェックポイントってもう通り過ぎた??」と声が上がる。確かに既に通り過ぎているが、でも記憶を辿ってもチェックポイントらしいものはなかった。一瞬「戻ろうか」との意見も出たが、戻るとロスが大きすぎる。また、レースではないから例えチェックを受けなくても影響はないだろう。。。たぶん。
「きっと、悪天候で撤去したんだろう」と言うことにして再び歩き出す。
ゴーッと枝を揺らし強い雨と風が横殴りに襲って来る。あまりにも辛いので、最後の手段、思考と心のスイッチをオフにして、自動運転モードでひた歩く。どれだけ歩いただろうか。ふと目の前にチェックポイントの上り旗が見えてきた。「しまった!」、先輩の一人が六甲山初めてと聞いていたので、例え濃霧の中でも六甲最高峰を踏ませてあげようと狙っていたのに、道を見落としてしまったようだ。不思議なことに六甲全山縦走と六甲の名前を冠しながら実はコース上には六甲最高峰は含まれていない。途中で左に折れる道を探していたのに、この濃霧と思考スイッチをオフにしていたのがいけなかったか。
チェックポイントに並んでチケットを取り出そうとするが、あまりの寒さに手が震えてうまくつかめない。
まだ雪山の方がましと思える寒さだ。
体温とともにエネルギーも激しく奪われているようで、ガス欠(シャリバテ)気味だったので、行動食をぱくつく。ここでしっかり、ラストの区間に備えて、エネルギーと水分を補給しておく。あまりの寒さに飲めないかと思っていたが、ごくごくと飲み干す。さすがの長距離で、体内の水分をかなり消費していたようだ。
スタッフのおじさんが、誰かの質問に対して「そうだなあ、あと2時間半かな」と大きな声で答えていた。この寒さの中で、2時間半か。もちろん、これから先のあきれるほど長い降りがあることは知っていたが、改めて時間を聞くとかなりげんなりだ。
アスファルトの道を降っていくと、名古屋から来たというチームの方々に出会った。宝塚へ降りる道を通り過ぎたのではと心配されていた。「左に入るポイントは分りづらいため必ず人が立っていますよ!もう少し先ですよ」と教えてあげる。
言った手前、心配していたが、ちゃんと分岐点にスタッフの方が待機してくれていた。この雨の中、ご苦労様です。
左に折れて久しぶりに本格的な登山道に戻る。ただ、雨の影響でものすごくぬかるんでいる。最初の方はかなりの急斜面が続くため、気を抜くと一瞬で滑り落ちてしまいそうになる。
ある程度降り切ると、斜度も緩くなる。基本、宝塚までは気の遠くなりそうな長い降り道だ。山道に入って唯一良かったのは横殴りの風がなくなったこと。頭の上ではゴウゴウと音を立てているが、森の樹々が守ってくれている。一方で、足元が薄暗く、木の根っこを踏んでこけないよう注意も必要だ。今の時間だと明るいうちにゴールするのは明らかに無理だが、なんとかそれでも見えているうちに距離を稼いでおきたい。ありがたいのはここまで苦しんだ濃霧が、逆に乱反射の効果からほんのりと周囲を照らしてくれている(ような気がする)。
しかし、その効果も限界がやってきて、いつしか完全に暗闇の中になった。とんでもなく長いコースだが、辛かった経験が身体に刻まれ残っているせいか、意外に正確にコースを覚えている。なだらかだった登山道が急に下降する。ここまでくれば塩尾寺も近い。飛び跳ねるように降っていく。
と、突然、山道が開けアスファルトの道に出た。「やった!」。左に折れれば塩尾寺。右に降りればいよいよゴールだ。前回は、塩尾寺に立ち寄っておにぎりを食べた記憶がある。今日は真っ暗闇なので、そのままゴールを目指すこととする。これまた急な斜面を降る。つづら折り上に降っていくと、宝塚の綺麗な夜景がここまでの苦労をねぎらってくれた。雨でくすんでいるがそれでも十分美しい。
下の方に明かりが見える。ゴールのテントだ。なだれ込む様にゴールをするとスタッフの方々が「お疲れ様!」と声をかけてくれた。カードを渡し、ゴールのタイムを記録する。スタッフの方が完走の証明書を渡してくれた。しかし、全身ずぶ濡れなので、せっかくの賞状がすぐにベロベロになってしまったが、悪天候の中で苦労しまくった完走だけに、賞状以上にしっかりとその記録は記憶に刻まれた。達成感半端なし。さて、ゴールした後は、勝者のみが得る権利「おしるこ」が待っている。土砂降りの中で果たしてやっているのかと心配していたが、隣のテントでしっかりふるまわれていた。おこげのついたお餅を2つ入れてもらい、ぜんざいを入れてもらう。座る場所がなかったので、立ちながら口にする。温かい汁とぜんざいの甘さが、冷え&疲弊した身体に最高にあう。その時、湯気の向うに、途中ではぐれた先輩の一人の笑顔があった。「今、ゴールしたよ!」と。その嬉しそうな笑顔は忘れない。「やりましたね!」と言葉を交わす。もう一人、遅れていた先輩も時間をおいてのゴール。悪天候で、暗闇の中の登山。もちろん、心配しなかったと言えばウソだが、それでも歴戦の仲間。同じタイミングではなかったが、悪条件にも打ち勝って、全員が信頼の下、ゴールにたどり着いたことが本当に嬉しかった。感動を与えてくれた六甲全山縦走と企画してくれた山岳会の方々に深く感謝したい。
追記。。。この後、宝塚前で仲間と分かれ、代表でスタート地点まで車を取りに行った際、「ずぶぬれで電車の中でおばちゃんに睨まれる事件」に「アルソックス事件」と波乱万丈なトラブルがあったが、それは後日談としてとっておくことにする。。。

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みんなのコメント

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  • じわじわと感動が、そしてまた一歩づつ前へと。

  • 次なる冒険を目指さないと。^_^

  • 悪条件の中、リベンジすることができました。年々衰えていく体力を感じていましたが、今回の完歩は今後の山行の自信になりました。大変な思いをして車を取りに行ってもらい本当をありがとうございました。

  • 以前の記録と比較したら菊水までほぼ同じなのですが、そっから先の摩耶山では1時間以上の開きがあって、前回の方が早かったです。前回相当飛ばしましたもんね。とにかく、今回の全員ゴールは大きな意味がありました。^_^

登った山

摩耶山

摩耶山

702m

菊水山

菊水山

459m

高取山

高取山

328m

横尾山

横尾山

312m

鍋蓋山

鍋蓋山

486m

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