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裏の妙義も最高 谷急山まで足を延ばして

裏妙義山(丁須の頭、赤岩、烏帽子岩、風穴尾根の頭、谷急山)( 上信越)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 妙義湖の奥にある閉館した国民宿舎裏妙義の駐車場(無料、40台規模)を目指す。場所が分かりにくいので注意。自分はGoogleMapに次の緯度経度を入力して向かった。「36.307317 138.734955」。マップコードの場合は「292 508 410*46」。舗装道路。
トイレは駐車場脇にあるが、冬季(12月~3月末)は閉鎖につき注意。また、ここからの表妙義(鷹戻し)方面の登山は禁止となっていた。

この登山記録の行程

駐車場(05:57)・・・丁須の頭(07:32)(休憩~07:52)・・・チムニー(08:07)・・・赤岩(08:33)・・・烏帽子岩(08:43)・・・風穴尾根の頭(09:09)・・・三方境(09:22)・・・谷急山(10:18)(昼食)・・・三方境(11:36)・・・駐車場(12:33)

コース

総距離
約11.1km
累積標高差
上り約1,799m
下り約1,802m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

三毳山を下山し、3連休最大の目的である「雪山」を目指し、一路、群馬を目指す。ターゲットは谷川岳。ただ、懸念するは天候。元々連休初日の今日に予定していたのを明日に変更したのも週末は春の嵐が吹き荒れるとの予報があったからで、事実、今日も平地ですらものすごい風が吹いていた。昼過ぎには収まることを期待していたが、状況は変わらず。気圧配置を見る限りでは、回復傾向にはあると思うが、高山&雪山のコンディションとしては良くはないだろう。悩んでいても仕方がないので、運転しながら考えを整理して、目的地を谷川岳の手前にある「赤城山」に変更することにした。
途中のスーパーで野宿と登山に備え食事を買い込む。
進路を赤城山に修正し走っている最中に、再び別な考えが頭をよぎる。「中途半端な雪山になるくらいなら一層、春山を縦走した方が良いのでは?」。真っ先に思い浮かんだのは、大好きな「妙義山」。ワクワク、ドキドキが止まらない鎖場の連続はさすが日本でも有数の岩山とされるだけある。折角なので、「行ったことのない裏妙義に行こう!」。既に赤城山の近くまで来ていたが、ハンドルを切って大きく方向転換をする。
山に向かう時、目の前に目的の山が聳えていると。また、近づくにつれどんどん巨大になっていく山容を眺めていると、まるで山が「さぁ、来いと」言っているかのように感じてモチベーションが高まっていくものだ。大好きな八ヶ岳なども心振るえる光景だが、チャレンジ魂をかきたてるという点においては、妙義山ほどシルエットを見ただけでしびれる山は他にはないと思う。ギザギザののこぎり歯のような稜線。時間は17時過ぎ。沈みかける夕陽の中に「槍」のように尖った部分や「ジャンダルム」を思わせるような武骨な岩の塊も見えている。
今見えているのは妙義山でも表妙義と言われるところ。その稜線は鎖場の連続で、特に鷹戻し付近は最高にアグレッシブで面白い。今回目指す裏妙義は、その表妙義の後ろ側にあり、川一本隔てたところに位置している山を言う。それら表と裏の2つの山塊を総称して妙義山と呼ぶ。全体的な難易度は表の方が高いと言われているが、裏妙義には個々の難所としては妙義山最高難易度を誇る「丁須の頭」、それに垂直鎖場で有名な「チムニー」が待ち構えている。また、その奥には妙義山で最も高い谷急山(標高1,162m)もある。
夕陽が沈むころ、登山の起点となる「国民宿舎裏妙義」に到着。国民宿舎と言っても既に閉館されていて、どこかうら寂しい。野宿しようというもの好きも自分だけのようで、ひっそりと静まり返っていた。宿舎の玄関には3月後半には珍しいロウバイが咲いていた。谷合の場所がら冷え込むのだろうか。
宿舎の裏側に聳えていた裏妙義のごつごつした岩壁も、夕陽が沈むとともに夜にまぎれていった。こちらも早々に食事を済ませ就寝とする。事故の多い山で且つ廃屋前での野宿は、人によっては気味が悪いと言われそうだが、幸い自分にはそのような繊細さは持ち合わせていないので気持ちよく爆睡することができた。
4時半に起床。急ぐ必要はなかったので、日の出を待ってから行動を開始する。
準備をしていると一台の車がやってきた。ご夫婦で谷急山を目指されるとのこと。頭からつま先までしっかり装備で固められている。それに対して、緊張感のないだらしない恰好をしている自分が恥ずかしくなった。雪山装備はしっかり持ってきているが、岩山に行くつもりはさらさら無かったので、その関係は一切持ってきていない。
ご夫婦にご挨拶をして出発。忘れずに登山届けを出していく。
国民宿舎の左脇を抜けて林道を登っていく。数分で右手側に登山口が見えてくる。体力と技術に自信のない方は入山を控えるよう注意書きがあった。
大好きな妙義山(岩場&鎖場)と言うことで、ゆっくり堪能しながら歩こうと考えていたが、久しぶりに登山らしい登山なのでつい興奮してギアが上がってしまう。
振り返ると、表妙義のほぼ中央から太陽が登ってきた。ギザギザのシルエットに大きな太陽が顔を出した。周囲を見渡すと、「ここは中国か?」と思えるような巨大な岩壁があちこちに競り立っていた。
斜面を登り切り、ナイフエッジのような稜線に出る。そのまま縦走かと思いきや反対側の斜面をトラバースするように進む。太陽の光が当たりにくいのか、凍った場所や雪が残っている場所が一部あった。ただし、危険なレベルではない。
調子の乗って歩いていたら急に道がなくなった。道を蓮下か?と振り返ってみると、斜面に沿いながら稜線に向かって延びている長い鎖が見えた。そんなところに道があるとは思わず、つい通り過ぎてしまったようだ。更に稜線の方を見上げると、そこに特徴的な岩が見えた。いきなりのメインディッシュ、丁須の頭だ。T字のような岩だが、どちらかと言うとゴジラの頭部のようにも見える。
鎖を伝って岩(ゴジラの首の根元)の所まで登る。「絶景かな、絶景かな」。
白い雪を冠した大きな山が見えた。すぐに浅間山とわかる。ゴジラの頭から垂れ下がっている最後の鎖をつかんでポジションをとってみる。岩場を眺めながら足場を確認してシミュレーションをする。ハングはしているものの、地元のクライミングセンターにある屋外特別コースに比べたらテクニカルな部分はない。ただし、鎖をつかんでぶら下がると完全に崖下に身を晒すことになり、どちらかと言うと精神面が求められる。崖下は100m以上続いていて、ぶら下がっているとお尻がスースーする。登ってみないという欲求は強く、暫く悩んだが、例え自信があっても事故が起きらないとは限らない。装備もなく安全確保ができない状態でここを登るのはルール違反だと自分をたしなめる。今度、きちんと装備をもってきて改めてTRYすることにしよう。
ゴジラの首の部分はちょっとしたスペースがあり展望台のようになっていたので、ドカッと座り込んで水分を補給しつつ表妙義の絶景を眺める。妙義山は冒険心をくすぐる実に面白い山だ。また一段と妙義山を好きになった。
縦走を再開するが、直ぐにコースを見失う。妙義山あるあるだ。予想だにしないというか、ある意味予想を裏切らないというか、ここ妙義山では時々、あり得ない方向と場所にルートが延びていることがあるため、普通の感覚で歩いていると先ほどの丁須の頭の手前のように見落としてしまいがちだ。
振り返ってルートを探してみると、断崖絶壁だと思った岩壁に垂直に走る割れ目があって、そこの隙間に鎖が垂れ下がっていた。しかも相当な高さがある。なるほど、なるほど。ここも期待を裏切らない。
垂直とは言え、岩の隙間を縫うように降りるので、三点確保に加えてお尻も使えるので見た目以上の危険はない。ちなみに後で気が付いたが、ここがかの「チムニー」。看板があるだろうとの固定概念があったので、思わずスルーしそうになった。なるほど、垂直な岩の割れ目を煙突(チムニー)に見立てているのか。
巨大な赤岩が見えてきた。あれを登るのかと思ったが、登山道が左斜面に逸れてそのままトラバースしながら進む。赤岩の真下には工事現場でよく使われる足場(ステップ)で作った空中回廊があった。垂直な壁に沿って延びる空中回廊!それだけでもなかなかスリル感溢れる絵になる光景だが、後半数mはステップそのものが踏み抜けていて土台しか残っていない。「やるなあー裏妙義」。トラップ盛りだくさんだ。
空中回廊の途中で上を見上げると地層をむき出しにした岩壁が見えた。中央部分が特に赤い。なるほど、ここに名前の由来があったのか(たぶん)。
次に烏帽子岩を抜ける。振り返ると烏帽子岩と赤岩。そして遠くに小さなTの文字「丁須の頭」が見えた。これまた絶景だ。
先を進むと、ナイフの刃のような薄く平たい岩があった。横に回るとその刃の部分に大きな穴が開いている。やはり看板はなかったが、これは一目でわかる。「風穴尾根の頭」だ。額縁のような穴の向こうに表妙義の風景が見えた。
三方境まで来るともう普通の山と言った感じ。鎖場がなくなって寂しいい。
当初考えていた予定では、ここから国民宿舎に向けて下山するだけだが、まだまだ歩き足りないので、どうしようかと考えていたら「谷急山」との看板があった。そういえば、出発時にお会いしたご夫婦は谷急山に行くと言われていた。谷急山は妙義山で最も高い山。これは行かずして帰ることはできない。
さすがに一番高いだけあってそこそこのアップダウンを繰り返しながら歩いていく。日頃、険しい山に飢えていたので、体重を押し上げる負荷が嬉しくて仕方がない。
途中で、ご夫婦に追いついた。「えっ、周遊して追いついてきたのですか?」とびっくりされていた。とても穏やかなお二人で、暫し山の話に没頭する。
「お先にどうぞ!」と譲っていただいたので、「では、山頂でお待ちしています!」と分かれる。
最後のコーナーを抜けると、「ゴールまでのストレート」よろしく真正面に山頂を捉えて真っすぐな尾根を登っていく。程よい斜度があって最後の大汗となる。
登りきった瞬間、目の前に一層近くなった浅間山が飛び込んできた。「うぉー!」。
谷急山には眺望がないと聞いていたが、樹々が芽吹く前もあってか、360度を見渡せる素晴らしい眺望があった。箱形の特徴的な山容をした荒船山も見えた。日本二百名山だ。
小さな岩の上に腰を掛け、浅間山の白い雪を眺めながら昼食をとる。結局、雪山には行けなかったが、これはこれで実に面白い休日となった。
ご飯の後もぼーっとしながらご夫婦を待っていたが、帰路の関係もあったので下山を開始。ご夫婦とは少し下ったところですれ違った。「あともう一息ですよ、頑張ってください!」と言って別れる。本当に穏やかで仲の良さそうなご夫婦だ。
三方境まで戻ってきた。ここからは国民宿舎までを一気に降る。コースはこれまでの鎖場と比較したら、気が抜けるほどいたって普通。普通と言うと大変失礼だが、アグレッシブで変化が激しかった妙義だけに、穏やか過ぎるくらい歩きやすい登山道だったので、逆にそのギャップに驚いた。杉林が多かったので花粉症を気にしながら、足早に歩き国民宿舎に戻った。
車に乗り込む前に、もう一度、国民宿舎の後ろに聳える岩壁を見上げ、妙義山を後にした。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 北陸にはない感じですね。

  • 金沢の医王山の鎖場?笑
    雨後のあそこは最強でしたね。多分、ある意味、妙義よりあぶやかった。

  • 妙写真を見るだけでも足がすくみます。でも怖いもの見たさで一度挑戦したいです。

  • ぜひぜひ、キスレミさんは翌日、表妙義に来られていましたが、皆さんの遠征お待ちしてます^_^

登った山

裏妙義山

裏妙義山

1,162m

丁須ノ頭

丁須ノ頭

1,057m

よく似たコース

丁須ノ頭 群馬県

奇峰・奇岩の眺め抜群。展望の山

最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
6時間
難易度
★★
コース定数
23
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