行程・コース
天候
晴れ時々曇り
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
瑞牆山荘を100mほど過ぎた市営無料大駐車場(約100台)を利用。瑞牆山荘にはトイレがあるが、市営駐車場側にはないため注意。
この登山記録の行程
駐車場(05:59)・・・富士見平小屋(06:35)・・・桃太郎岩(06:50)・・・瑞牆山(07:34)・・・桃太郎岩(08:41)・・・八丁平・・・大日岩(09:53)・・・砂払ノ頭(10:44)・・・千代ノ吹上(10:59)・・・金峰山・五丈岩(11:25)(昼食~12:22)・・・千代ノ吹上・・・砂払ノ頭・・・大日岩(13:30)・・・大日小屋・・・鷹見岩(14:01)・・・横八丁・・・富士見平小屋(14:35)(休憩)・・・駐車場(15:45)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
出発直前まで、高妻山に登る気満々でいたが、何度見ても天気図が怪しい。天気予報では、ギリ「曇りマーク」だったが、天気図を見る限りではとてもそうは思えない。
と言うことで、野生の勘を信じて急きょ進路変更で深夜の中央道をひた走る。
目的は、「瑞牆山」と「金峰山」。
言わずと知れた百名山の2つ。どうせなら一気の登ってしまおうとの魂胆だった。
瑞牆山は、標高2,230mの見るからに険しい岩稜の頂を持つ山で、岩山好きとしては以前から興味があった。「瑞牆」とは難しい漢字を使うが、これで「みずがきやま」と読む。昔は「子産(こうぶ)岩」とか「瑞壘」と呼ばれていたらしいが、明治38年に山梨県知事が瑞牆山に名前を変えたという。知事が名前を変えるなんて意外に面白い歴史があるものだ。山好きだったのだろうか。
一方、金峰山は、標高2,599mと瑞牆よりも高い山。奥秩父山塊の主脈に位置し、奥秩父最高峰ではないもののその風格からか「奥秩父の盟主」と呼ばれている。山名は「きんぷさん」が一般的であるが、長野県側では「きんぽうさん」と呼ばれている。
空が赤く染まるころ、高速を降りてくねくねした山道を走り、5時過ぎに駐車場へ到着した。一睡もしていなかったので30分程度でも仮眠をしようと思っていたが、着いてしまうと登山モードに切り替わり、早く登りたいとテンションが上がる。
駐車場脇のコース案内板からスタートを切るが、いきなり複数の道が分岐していて、しょっぱなから迷いそうになる。
公園かと思うような整った林を抜けて、緩やかに高度を上げていく。
やがて鞍部にたどり着くと目の前に「ドーン!」とギザギザの頭を持つ瑞牆山が見えた。
「かっこいい」の一言。
まるで妙義山のように険しい頂に惚れぼれしてしまう。
風景に魅入っていると、突然、一人の男性から「ひょっとしてカヌーされていますか?」と声をかけられた。振り返ると、見るからにスポーツ体形のがっちりとした男性とすらっとした女性の素敵なカップルが立っていた。
山を歩いているといろんな声かけがあるが、正直今までで一番驚いた質問だった。
一瞬ドギマギして「どうしてわかったのですか?」と聞くと、「ライフセーバー等やっていたので、装備を見てなんとなく」と頭を指しながら答えが返ってきた。
多分、かぶっていたKAVUの帽子を見て判断したと思われる。確かにKAVUは、アトランタオリンピックでは米国カヌー&カヤックチームの公式ライセンス製品にも選ばれたメーカーでもある。ただ、個人的にデザインが気に入っていることから愛用しているだけであって、カヌー目的で購入したものではない。でも、偶然とはいえ、言い当てたそのセンスは凄い。
暫く会話を交わした後、お互い分かれて登山を再開するが、このカップルとはこの後も何度か行動を共にしていろんな楽しい話をすることができた。特に男性の方は相当のツワモノのようで、冒険家として国内外で様々な活動をされている方のようだった。冒険話を聞くと、ついワクワクがとまらなくなってしまう。
富士見平小屋から分岐をして、まずは先ほど見上げた瑞牆山への進路を取る。
森を進んで行くと突然、巨大な岩が目の前に出現した。家一軒分はあるだろうか。見上げるように「デカい」。その大きな岩が真っ二つに割れている。「桃太郎岩」だ。こんなところに巨大な岩が転がっているのも異様だが、「かち割った」という表現がぴったりの二つに割れた様も尋常ではなかった。きっと「だいだらぼっち」のような神話が残っているんじゃないかと想像した。
桃太郎岩を過ぎると、山頂へ向けてただひたすら直登していく。大きな岩がゴロゴロしていてハードだが、アスレチック的で結構飽きさせない。
ひと際大きい柱のような岩が出現すると山頂も近い。看板が無くて分からなかったが、これが「大ヤスリ岩」だろうか。その脇から稜線に出て回り込むように右手へ進んで行くと、一気に視界が開ける。岩の柱が連なった頂へ出る。
一つひとつの岩が巨大で、上に立つと展望台のように周囲を見渡せる。360度の眺望だ。
雲がせり出していたのでぼんやりとではあるが、南アルプスや八ヶ岳も確認することができた。
風の通りがよく心地よかった。直登でかいた大汗がスーッと引いていくのが分かる。
巨大な岩の上を落ちないように一番高いところに向かって歩いていく。自然と慎重な足運びになる。見下ろすとお尻がスース―するような断崖絶壁。高所恐怖症の人は絶対立つことさえできないだろう。煙と同じ○○な自分にとってはむしろ楽しくて仕方がないけど。。。
瑞牆山は、独立峰のように聳えている山。
眼下にはすそ野を緑の森が覆い、大海原のように広がっている。登ってきた富士見平小屋付近から目線を移していくと一つの大きな山にたどり着く。森を海原に例えたなら、さながら隆起した島の様だった。それが次の目的地、金峰山。目視でもそれなりの距離があって、歩き甲斐がありそうだった。
もう少し絶景を楽しんでいたかったが、帰路の関係から金峰山へと行動を開始する。
一直線に登ってきた急斜面。降りる時は一瞬だった。
通常は富士見平小屋まで戻り金峰山へのコースを取るが、今回は桃太郎岩の先で分岐する別ルートを使う。マップ上は破線ルートだったので、それなりの覚悟をして挑んだが、意外にちゃんとしたルートだった。
八ヶ岳を彷彿とさせる苔むした森。ビロードのような緑の絨毯が目に優しい。
軽いアップダウン。誰と会うこともなく、素敵な森を独占できて楽しくて仕方がない。
八丁平の分岐で右へ折れて進むと、再び巨大な岩山の上に出た。「大日岩」の上部に当たるようだった。先程までいた瑞牆山がよく見える。「絶景かな、絶景かな」。
大日岩を過ぎると富士見平小屋からのコースと合流して、いよいよ金峰山へと高度を上げていく。大木の根っこが這う斜面をひたすら登っていく。地味ながら休む暇がない。個人的にはむしろ瑞牆山のハードな急登の方が好みだった。
ようやく森を抜け、岩稜地帯の稜線へ出る。「砂払ノ頭」。ここより山頂までは約1時間。岩だらけのノコギリ歯のような稜線を進む。その途中には片側が切れ落ちた「千代ノ吹上」と呼ばれる断崖絶壁がある。伝説によれば女人禁制を破って入山した大工の夫婦が、この場所で風に煽られて妻「千代」が滑落してしまったとか。神様の祟りと恐れた夫は必至で神様に祈りを捧げ続けたところ、奇跡と呼ぶべき神風により千代が谷底から吹き上げられて舞い戻ってきたという。ギザギザのアップダウンと険しい道ながら、そんな逸話を連想しながら歩くと険しいアップダウンの道も楽しくなる。
夜通しの運転と早朝からの歩き詰めで、そろそろ燃料も切れ気味だったが、ついに金峰山の山頂へ到着。
思っていた以上に広い空間があり、その一番目立つところに写真でよく見かける金峰山のシンボル「五丈岩(五丈石と呼ばれることもある)」があった。
ブロックのように整った形状の岩が積み上げられたように聳えている。とても自然に出来上がったとは思えない。
瑞牆山にあった桃太郎岩と同じく、五丈岩はきっとだいだらぼっちが積み上げたに違いない。いやきっと鳳凰三山のオベリスクと対を成すように意図的にだいだらぼっちが積み上げた説を個人的に唱えてみよう。。。。そんな逸話があってもおかしくはない。笑
五丈岩から見て左側に、薄っすらと雲をかぶった富士山が見えた。見えると思っていなかったので嬉しいご褒美だった。
金峰山の標識にタッチをして、今日、2座目の登頂を決める。
山頂には五丈岩の材料に使ったのではと思うような大きな岩がゴロゴロしていた(頭の中はだらぼっち説)。その一つによじ登ってみると、関東側に広がる山々がよく見渡せた。「金峰山へは甲武信ヶ岳から縦走するのが最高なんだ!」とよく先輩が言っていたが、なるほどと納得するような素敵な縦走路が延びていた。
そのまま岩の上に座り込み、景色を眺めながら食事をとる。歩いてきた千代ノ吹上のギザギザした稜線に雲が競り上がり宙へと消えていく。その雲の動きを眺めているだけで飽きない。稜線の先には瑞牆山。百名山から百名山を愛でるなんて最高のロケーションだ。
下山には、大日岩から横八丁を抜けて富士見平小屋へのルートを使う。途中、コースを外れて「鷹見岩」へ立ち寄り、もう一度見納めに瑞牆山と金峰山の雄姿を心に刻んでから下山した。

























