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毛勝山西北尾根 年末山行

毛勝山西北尾根( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 4人 (タジヤン さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

1日目:雨、雪 2日目:雪 3日目:晴れ、雪 4日目:雪 全日程を通して強風

登山口へのアクセス

タクシー
その他: 魚津駅から片貝第二発電所までタクシー
※片貝第二発電所にゲートがあり雪が少なくてもタクシーは奥に入れないかも。

この登山記録の行程

1日目 片貝第二発電所08:30~片貝山荘12:30
2日目 片貝山荘04:15~1610m地点12:20
3日目 1610m地点04:30~08:45 2010m地点09:10~11:20 毛勝山山頂11:50~2010m地点13:10
4日目 2010m地点04:35~1610m地点05:30~1060m地点08:10~片貝山荘09:15~片貝第二発電所11:30

コース

総距離
約25.2km
累積標高差
上り約2,493m
下り約2,557m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

28日 離京
仕事納め後に集まってパッキング。食糧の買い出し、装備の貸し出しを受け入れてくれたメンバーに感謝しかない。バスタ新宿は混雑していたが山に行くような人は見られなかった。

29日 富山駅着→魚津駅→片貝第二発電所→片貝山荘
夜行バスが富山駅到着時には雨が降っていた。あいの風とやま鉄道に乗り換えて魚津駅に向かう。魚津駅には予約した魚津交通のジャンボタクシーが待っていた。運転手の厚意に甘えて、さらに待ってもらい魚津駅にて着替えなどの準備を行なった。水を汲む事ができるラストチャンスはこことなる。
ジャンボタクシーで片貝第二発電所まで入る。天気は雨が変わりやすく降ったり止んだりといった感じだった。片貝第二発電所脇に着替えなどの諸々を雪に埋めてデポする。片貝第二発電所からの林道歩きはあまり警戒していなかったが想定外に足をとられてしまい時間がかかった。気温が高くシェルを脱ぎたいが雨が降っているので脱ぐことも出来ず中々に煩わしい。所々、山から雪崩れたデブリが堆積していて警戒心を高めた。途中、ワカンも履き片貝山荘に着いた時には12時半であった。本来はこの日から山に入るつもりであったが既に雨に降られて意気消沈。ここで体制を建て直すこととした。片貝山荘は避難小屋を豪華にしたようなもので快適そのものだった。窓ガラスが外れており建屋内に雪が吹き込んでしまっており、今後修理が必要かと思われる。また、山荘に荷物だけデポして、トレースをつけに行った。ちなみに片貝山荘は電気が使える。また水を沢から汲むことで食雪(水作りのこと)を回避できるので回復するにはベストなポイントだった。

30日 片貝山荘→1610m地点
朝も文明的な灯りの下で朝食を作ることができる。快適な片貝山荘を後にしていよいよ西北尾根を目指す。昨日つけたトレースは雪でかき消されているが、ある程度地形を把握したことも奏してスムーズに登ることができた。1060mまでの急登部分は警戒していた通り。出だしから苦しいラッセルを強いられこの先に不安を感じさせた。所々で明らかに強い傾斜が現れるがよく見るとトラロープが雪に埋まっているものになる。ひっくり返ってしまうと荷物も重いので危険な傾斜ではあったが、木登りを交えれば問題ない。雪はラッセルするほどに深いのでむしろ無雪期よりも都合は良いのかもしれない。12時辺りから疲労感が出てきたので幕営ポイントを探し始める。欲を言えば昨日の遅れを取り戻したいのでモモアセの台地部分まで出れればと思っていたがそれも到底無理そうなので結果1610mで幕営をした。樹林があるので風が多少は遮られ雪も深くなく幕営に適したポイントであった。

31日 1610m地点→2010m地点(モモアセ山直下)→毛勝山山頂→2010m地点
朝起きてテントから出ると星が見える。冬の富山では貴重な晴天だ。大明神尾根の向こうには富山の街の灯りも見える。距離感でいえば丹沢の山々から見る厚木や横浜の灯りと大差なく感じるが、毛勝山には丹沢と違って人の営みとは隔絶された雰囲気がある。猛烈な雪というものがそういった気持ちにさせるのだろうか。いよいよ登っていくと樹林帯からも外れる。雪庇が左側に発達しており下降中に雪庇に迷いこまないよう要所要所にて竹竿を設置した。左に見える沢状地形は雪庇に縁どられ雪崩れそうに見えた。明るくなってきたころには高曇り。快晴のままとはいかないようだ。
それでも越中駒ケ岳から始まり、モモアセ直下に着くころには鹿島槍ヶ岳が見えていた。あとは毛勝山から北方稜線で結ばれる剱岳さえ見られれば完璧だろう。時間はまだ8時台、絶好のアタックチャンスを逃すまいとザックからテントや食料などの装備を抜く。ツェルトや登攀具といったアタック装備のみを90Lザックに詰めて再度出発した。出発時には陽射しが強くサングラスをつけるほどであった。
空荷になってからは順調なペースでラッセルの交代のタイミングも余裕が出てきた。13時までに山頂に到達していなければ赤旗を設置して明日に出直すとしていたが本来クワガタ池があるコルまで到達すればもう確実に登頂できるという安心感があった。山頂直下は夏道が沢に入るので、尾根伝いに登る。ロープを使うかもしれないと思っていた山頂直下ではあったが雪は緩んでおり、使わずに済んだ。スノーバーやロープ、使わなくてラッキーではあるのだが、持ってきたからには出番があっても……とは思わずにはいられない。そして11時20分、山頂のゆるい傾斜部分に到達した。実際の山頂がどこか分からないがこれ以上登る傾斜はないということで山頂とした。ここらへんだろうと荷物を置くと雪の下から三角点も登場。間違っていないようだった。残念ながら山頂に着くころにはガスってしまい剱岳は望めなかった。それでも毛勝山の山頂に到達したことは嬉しく白い背景で記念写真を撮影した。山頂からの下降は興奮交じりではあったが慎重に行なった。雪の状態によってはロープを使用することを検討するくらいの傾斜であった。かなり良いペースで歩き13時過ぎにはモモアセ直下のデポ地点まで戻った。そこから整地、幕営準備をして2022年の登り納めとなった。この幕営地点では携帯の電波が入り、豪勢な夕食と共にスマホを楽しんだ。天気と紅白を聞くために持ってきたラジオであったが、明日頑張れば下山できるかもしれないという可能性があったため夜更かしせず紅白が始まる前の18時半には寝ていた。

1日2010m地点→片貝山荘→片貝第二発電所
この日は夜中から朝にかけて前線の通過に由来する悪天が想定されていた。想定通りの風と積雪の影響でテントの側面は圧迫されていた。一時的なものと分かっており、今日下山しておけば2日、3日の完全な冬型を回避できることも分かっていたので予定通り下山を開始する。ちなみに正月要素は朝一番の「あけましておめでとう……」「おめでとう……」のみだった。片貝山荘も十分に快適なのでそこで1泊しても良いかなという甘い気持ちもあったが、とりあえずは下山を目指して夜明け前からのスタートとなった。トレースは当然のように埋まっており、ルートファインディングが求められる。雪庇や東側の沢に入り込んでしまわないように注意しながらの下山となった。それでも西北尾根自体はアップダウンの少ない山なのでかなり順調なペースで歩くことができた。暗いうちだと雪に埋まったトラロープに気が付かず、こんな強い傾斜からは降りれないだろうと勘違いしてしまうこともあったが明るくなっていったことや設置した赤旗のお陰で問題なく降りることができた。雪のおかげで歩きやすくなっていた部分もあったのか夏のコースタイムよりも早く下れたパートもあった。支尾根に迷い込みやすい箇所があるので注意は必要。また歩きやすい場所を求めると沢状に迷い込んでしまうのでリスクがあると思われる場合は忠実に尾根通しで進むべき。そして想定よりも遥かに早い時間に片貝山荘に到着した。正月の夜に解放しようと思っていた伊達巻を4等分にナイフで切り分け行動食とした。ここから長い林道歩きとなる。ラッセルというおまけがついて……ここからは脳死で歩き続けた。緩くなったシャーベットのようなベタベタした重い雪を同じペースを刻みながら歩き続けた。
東又谷・南又谷分岐付近にて電波が辛うじて通じて覚悟を決めて魚津交通に電話をかける。「11時半にお願いします」と告げる。この長い道のりも11時半には終わっていなければならないのだ。それにはダラダラと歩けば間に合わないだろう。そして下山するからと濡れも気にせず大汗をかきながら下って行った。
そして長い林道の末にタクシーの赤いテールランプが見えた。ついに終われる。タクシーの座席に着いた瞬間に他では得難い開放感があった。これだから山はやめられないのである。

魚津駅の待合室で新年早々、世間様にご迷惑をおかけしながらパッキングした。
元旦の富山で最後の核心となったのは風呂と飯であった。銭湯は軒並みやっていないし、飯屋もほぼやっていなかった。
今回は風呂は天然温泉 富山 剱の湯 御宿 野乃
https://www.hotespa.net/hotels/nono_toyama/
飯は残念ながら吉野家となった
https://stores.yoshinoya.com/yoshinoya/spot/detail?code=ysn_043916
来年に向けて是非とも元旦から営業しているラーメン屋、定食屋を把握しておきたいものである。

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装備・携行品

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登った山

毛勝山

毛勝山

2,414m

よく似たコース

毛勝山 富山県

技術・体力のある者にのみ許される西北尾根

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
10時間20分
難易度
★★★★
コース定数
44
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