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五竜岳・唐松岳(牛首の岩綾を越えて八方池へ-2日目)2023

( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 1人 (ブナ太郎 さん )

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行程・コース

天候

1日目 曇り 2日目 晴れ

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

Start(04:22)・・・五竜岳(05:30)・・・五竜山荘(06:26)・・・最低鞍部(07:50)・・・唐松岳頂上山荘(09:51)・・・唐松岳頂上山荘(10:51)・・・丸山(11:21)・・・第三ケルン(12:24)・・・Goal(12:59)

コース

総距離
約10.9km
累積標高差
上り約1,092m
下り約1,735m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 8月2日の早朝4時20分過ぎ。ヘッデンを着けて、五竜山荘を出発した。あたりは少し明るくなってきたものの、日の出までには少し間があり、登山道は薄暗がりの中にぼんやりと見えていた。
 最初はハイマツの中を進み、すぐにザレ場に変わる。右手は切れ落ちた斜面で、その先には深い谷が口を開けている。しばらくザレ場を進み、岩頭が出てきたあたりで後を振り返ると、今、朝日が昇ろうとしていた。立ち止まって、雲海から昇る朝日を眺める。雲の切れ間からは北アルプスの山々が頭を出している。オレンジ色に染まった荘厳な景色に、しばらく言葉を失っていた。
 反対側を振り返ると、朝日を浴びた五竜岳が赤く染まっている。美しいモルゲンロート。この幸運に出会うために、人は山小屋に泊まり、早朝に山頂を目指すのだろう。これまで結構長いこと山を歩いてきたが、初めての山小屋泊でこんなに素敵な景色が見られるとは思ってもいなかった。
 岩場に入ると、ここからは鎖を掴んだり、足場を確かめたりして高度を上げていく。思ったよりもしっかりしたルートで、それほど不安感はない。肩に乗り上げると正面に五竜岳山頂が見えてきた。オレンジの山肌を進み、稜線部に進んだところで左手に鹿島槍ヶ岳が姿を現した。見事な双耳峰。そして山肌を覆う深い影。右の耳の先には小さく槍ヶ岳が見えた。
 ここから山頂まではほんの僅かの距離である。ヤセ尾根を慎重に進んで山頂に着くと、目の前には立山連峰が大きく広がっていた。
 山頂には2名の登山者がいるだけである。ぐるりと周囲を見回すと、正面に立山連峰、左に目を移すと鹿島槍ヶ岳、その先には槍ヶ岳が見えた。反対側には滝雲が流れる白馬岳が目に入る。立山連峰と白馬岳の間の山々は、濃いガスに包まれていた。剱岳も姿を隠している。
 山頂に着いて数分後、天候は激変し、一気にガスが押し寄せてきた。景色はガスに包まれ、ほとんど展望が利かない。一瞬日が差し、立山連峰の方向に私の影が写る。ブロッケン現象である。影の上半身には虹色の輪がかかっていた。
 五竜山荘に戻り、朝食を摂ってから、唐松岳に向かって縦走を開始した。このルートは左手に剱岳や立山連峰を見ながら歩く絶景の道である。初めは五竜岳の山裾に隠れていた剱岳も、途中から顔を出し、歩くにつれ山頂部にかかっていた雲も取れ始めて、鋭い峰々の連なりが青く見えるようになった。
 振り返ると、深い緑と赤茶色に色分けされた五竜岳が、筋骨逞しく座っている。この景色は、まさにこのルートの魅力を凝縮した極めつけの一片である。左の剱岳、後の五竜岳を、何度も見ながらたおやかな稜線を歩き、大黒岳手前に着く。ここから先は岩場となる。
 この絶景の道は花の道でもある。五竜山荘から歩き始めてすぐの砂礫地にはコマクサが咲き、そこから先には、ゴゼンタチバナ、ウサギギク、ミヤマカラマツ、トウヤクリンドウ、シモツケソウ、タテヤマウツボグサなど、たくさんの花が登山道を彩っていた。
 大黒岳を登り切ると、左手に唐松岳が見えてきた。その右には、鋭い岩峰が天を突いている。これが難所の牛首である。岩が露出した急斜面を、鎖を使いながら登っていく。確かにこの辺りの道は難度が高く、岩場を歩いたことのない人はすくんでしまうかもしれない。ただ、足場はしっかりしており、ある程度山慣れした人が、慎重に、時間をかけて進めば、この難所は突破できる。そうしているうちに岩場は終わり、唐松岳頂上山荘が突然姿を現した。その背後には、不帰ノ嶮と白馬鑓ヶ岳が並んで見えた。
 唐松岳頂上山荘に荷物を置き、唐松岳山頂まで空身で往復する。右手には不帰ノ嶮と白馬鑓ヶ岳、左手には立山連峰と五竜岳。ここも素晴らしい絶景である。これまでの道とは異なり、登山道には多くの人が行き交っていた。八方尾根から唐松岳を歩く人は、五竜岳から唐松岳を歩く人の何十倍もいるのに、ちょっと驚く。
 唐松岳山頂からの眺めも素晴らしく、日本海まで見ることができた。
 唐松頂上山荘から八方池までは、登り返しのほとんどない下の道である。よく整備され、危険な箇所もほとんどなく、どんどん下っていく。登りの登山者はかなり多く、時々、立ち止まって道を譲る。見ていると、年配のグループが多く、かなり辛そうに歩いている人もいた。子供連れも目につく。対岸の五竜岳の遠見尾根コースとは、登山者の層がまったく違っていた。
 このルートは花の種類もその量も半端ではなく、たくさんの花々を愛でながら下る楽しみがある。特に目につくのは、シモツケソウ、タテヤマウツボグサ、ハクサンシャジン、タカネマツムシソウなどだが、そうするうちに扇雪渓を過ぎ、八方池に着いた。この日は白馬三山は雲に隠れ、期待していたリフレクションを見ることができなかったが、それはこの次の楽しみに取っておくことにしよう。

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装備・携行品

登った山

唐松岳

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五竜岳

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