行程・コース
天候
晴
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「御岳山ケーブルカー」をセット。御岳山ケーブルカーの滝本駅にある時間制の有料駐車場(136台、最大料金1,500円/日)。ただし、営業開始が7:00am~なので注意。早朝時は、その手前100m程のところに小さな有料駐車業(タイムズ御岳山)(8台、最大料金1,430円/日・土日祝日)がある。基本、周辺には駐車場が少ないので良く調べてから来ることを進めする。
この登山記録の行程
駐車場(06:14)・・・<表参道・ろくろっ首>・・・御岳ビジターセンター(07:00)・・・御岳神社(07:16)・・・七代の滝(07:39)・・・天狗の岩(07:50)・・・ロックガーデン・東屋(08:07)・・・芥場峠(08:38)・・・大岳山荘・大岳神社(09:00)・・・大岳山(09:13)・・・大岳山荘・大岳神社(09:38)・・・鍋割山(10:01)・・・奥の院峰(10:23)・・・展望広場(11:02)・・・御岳神社(11:23)・・・御岳ビジターセンター(11:39)・・・駐車場(12:17)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
3連休の初日、休日出勤で溜まったストレスを発散させるべく、夜通し車を走らせて大菩薩嶺に登って来た。その大菩薩嶺が想像以上に最高だったので、そのまま帰るのは惜しいと近くの道の駅「たばやま」を拠点にして、翌日も登山をして帰ることにした。
登山のため、各地を巡っていると、お気に入りの道の駅が増えていくが、「たばやま」も自然に囲まれた立地を十二分に活かした実に素晴らしい道の駅だった。隣接する河原沿いにある温泉施設で、登山の汗を流して夕暮れまでの時間をゆっくりと過ごした。人気だという「鹿ばーぁーがー」は数が限られているのか、到着した際に真っ先に買いに行ったが、既に売り切れだった。
テーブルに腰を掛けて、「どこへ行こうか!」と考えながら、明日の登山計画を立てる。先月に続き「もう一度、雲取山もいいな」とも一瞬思ったが、スマホの検索結果から御岳山と鍋割山という文字が目に止まった。
御岳山(みたけやま)と言えば、関東の高尾山に並ぶ家族向け登山の代表格だ。確か、以前から気になっていたロックガーデンも御岳山だったはず。それに鍋割山と言えば以前「行きたい山リスト」に書いたミッションがあったはずだった。これはもう行くしかない。
と、こんな安直な感じで明日の登山が決定した。
あまり睡眠をとっていなかったので早めに眠り翌朝4時に起床した。
朝日が昇る中、御岳山の登山口となるケーブルカーの滝本駅を目指し、6時前に滝本駅へ到着。
「さぁ、車を停めよう」と思ったが、駐車場の入口ゲートが閉まっていて中に入れない。
看板の注意書きを読んでみると、「営業開始は7時から」とある。なんたることか、まだ1時間以上もあるではないか。
一瞬、絶望しかけたが、そう言えば駅の手前にタイムズの有料駐車場があった。どのみち滝本駅も時間制の有料なので、タイムズとさほど変わりはない。車をまわしてみると、幸い2台分の空きがあった。10台程度の小さな駐車場だったので、停めることができたのはラッキーだったと言える。
身支度を整えて、早速、登山開始。
鳥居をくぐり、ケーブルカーを横目に参道を登って行く。
参道の両脇には、大きな杉の樹が立ち並んでいて、どことなく高尾山の参道に雰囲気が似ていた。杉の樹には番号が刻まれた白いパネルが一つひとつ付けられていた。鳥居に一番近い最初の杉が784番で、山頂付近にある1番に向けて登るほどに番号が減っていく仕組みで、目の前の番号から登っている最中も自分の位置を知る目安になるのだろうという。逆に有難迷惑な気がするのは自分だけだろうか。。。笑。
くねくねと折り畳むような道を「九十九折り」と言うが、ここ御岳山の表参道では妖怪の姿に例えて「ろくろっ首」と呼ぶらしい。子供の頃にTVで見て以来、あまりの気持ち悪さにトラウマになったことがありちょっと複雑だったが、もはや大人(を通り過ぎておっさん)にもなると怖さも薄れてしまった。
「大黒の尾」を過ぎると、ろくろっ首と呼ばれた急登も概ね終了で、斜度も緩やかになって来た。やっと一息つけるということから「大黒様のおかげの尾根」と感謝したのが名前の由来らしい。自分も感謝して進むこととしよう。
6時55分に御岳ビジターセンターへ到着。
時間が早くまだ閉鎖されていたが、ケーブルカーの運行前準備をしているのか、上の方から、時折、大きな機械の駆動音が聞こえて来た。
商店街を抜けて御岳神社へ向かう。映画「千と千尋」でお父さんとお母さんがブタになるシーンがあったが、そこに出てくる商店街にとても良く似ていて驚いた。お店はどれもまだ閉まっていたが、帰りに立ち寄ってみることにしよう。
御岳神社では、早朝と言うのに沢山の人がお参りをしていた。
自分も手を合わせ、今日の安全登山をお祈りしてから先を進む。
その後、分岐点で道を外れ「七代の滝」へ向い急な坂を下っていく。ようやく本格的な登山道になったが、結構、荒れていてこの登り返しは結構大変だろうと思った。
7時36分、七代の滝へ到着。
実は向かっている最中に七代の滝は予定コースではなかったことに気が付いたが、自然との出会いもまた「一期一会」。間違いもこれまたご縁と思い、足を延ばしてみた。
実は、こういうパターンの時は、得てして素敵な出会いとなることが多い。今回の七代の滝もそうだった。
5m程の上部からスライダーのように一条の滝が黒い岩肌を沿うように流れ落ちている。一旦、滝つぼに落ちた水は、流れを止めずに岩の上を滑りまた一条の滝となって、目の前にある岩の割れ目へと吸い込まれていく。赤城山で見た「銚子の伽藍」に似ていて、勢いよく流れ落ちた滝がそのまま地面に吸い込まれていく様がとても珍しく面白かった。吸い込まれていく様子をもっと間近に見たくなり近寄ってみるが、手前の看板には「滑落して滝つぼに落ち亡くなった方がいるため注意!」と書かれていた。確かにこれは落ちたら即死だな!と先の見えない穴をのぞき込みながら思った。
滝の右横にあった金属製の階段を昇り、滝の上部へと回り込みながら次の目的地「ロックガーデン」を目指す。だいぶ道を外してしまったのではと心配していたが、階段を昇りきると直ぐに一般的な登山コースに復帰することができた。しかも、ロックガーデンへ行く前にできれば立ち寄りたいと思っていた「天狗の岩」の手前だった。
天狗の岩は、見上げるほど巨大な岩の塊だった。下の方から眺めると、斜面に突き出した岩が天狗に見えることから名前が付けられたという。
近づいてみると、大きな鎖が垂れ下がっていた。これはもう登らないわけにはいかない。
岩の上部に回り込んでみると、岩の上に仁王像のような仏像が設置されていた。なかなかの迫力で一見の価値があった。七台の滝に続いて、パワースポット的な名所に出会えて嬉しくなった。
再び斜面を降り、7時55分に沢にたどり着いた。どうやらここがロックガーデンの入口のようだった。
ロックガーデンは、名前の響きだけでいつか行ってみたいと思っていた場所だった。「岩がゴロゴロしている沢」と言ってしまえば身も蓋もないが、朝日の木漏れ日を受けてキラキラと輝くせせらぎを目の前にすると、足を延ばして良かったと思う。岩に苔むした緑がまた一段と鮮やかで綺麗だった。これぞ渓谷。
沢沿いに散策道を進み、一番奥にあった東屋のベンチで朝食を頂く。看板に書かれていた解説を読むと、「ロックガーデンは渓流沿いの約1キロに渡って続く、自然の景観を利用した遊歩道を指す」とのこと。別名「東京の奥入瀬」と呼ばれているそうだ。
色々とゆっくりしてしまったが、芥場峠で時間をチェックするとまだまだ余裕だったので、そのまま大岳山を目指すことにした。歩きやすい登山道が続く。
大岳山(おおだけさん)は標高1,266mの山で、東京都で唯一日本二百名山に数えられ、花の百名山にも名を連ねている名山だ。ここから眺める富士山が最高だと聞いていたので、ぜひ行ってみたいと思っていた。
山に取り付いたところに「これより先、岩場・鎖場、滑落危険」と書かれた看板が設置されていた。小さな山なので簡単に登れると思っていたが、岩場・鎖場と聞いてどんなアスレチックなコースが待ち受けているのかとワクワクした。
廃墟のような大岳山荘(休業中)と大岳神社を過ぎ、いよいよ頂めがけて登って行く。
徐々に岩場が増えていくが、ドキドキ?するような危険個所は結局見当たらないうちに山頂までたどり着いてしまった。
三角点があり、その周辺を樹々が囲んでいる。近づいてみると、三角点の奥が急に開けて、巨大な富士山の姿が目に飛び込んできた。
「うぉーーー」と思わず間抜けな声を上げてしまったが、ふと女性が一人休憩していることに気づき、恥ずかしくなった。優しい方で「皆さん、おんなじリアクションされますよね」と笑いながら気遣ってくれた。山が見たいため、近くの宿泊施設でアルバイトをしながら休日に山探索をされていると言っていた。
腰を下ろして、富士山を愛でながら小休止をする。
ほどよい時間になってきたので、来た道を折り返しいよいよ今日一番の狙い「鍋割山」を目指す。
なぜ時間を気にしていたかというと、鍋割山と言えば鍋割山荘の鍋焼きうどん。「このうどんを食べるべし!」と「行きたい山リスト」にミッションとして長らく掲げていた。鍋割山の鍋焼きうどんは超人気で休日ともなると登山者が並びものすごい長蛇ができるという。そのうどんの営業開始10時(休日の場合)に合わせて、到着したいと密かに計画していたのだった。
鍋割山に向かう道中はとても快適だった。
10時ちょうどに鍋割山の山頂へ到着。
想像ではもっと開けた場所だと思って意外に眺望はなく、樹の隙間から大岳山が僅かに見える程度だった。確か記憶では頂付近に小屋があると聞いていたが、どこを見渡してもそもそも小屋が建っていそうな空間がない。「どこだ?」と不思議に思いながら過ぎていく時間に焦りが出て来た。
ここで、良く知っている人であれば「こいつ、何言っているの?」ときっと笑っている頃だと思うが、当の本人は真剣に小屋を探していた。
「きっと山頂直下に違いない」と、登ってきた反対側の急斜面を急いで駆け下りる。
駆け下りるが、やはりどこにも小屋らしいものはなくそのまま次のピークにもダメ押しで登ってみる。
10:19。「奥の院峰」へ到着。
それほど距離は無かったが、最後の岩場が意外に急登で息が上がった。
頂で呼吸を整え周囲を見渡すが、当然ながらここにも小屋なんかある訳がない。さすがにオカシイと思い、スマホを取り出すが生憎の圏外。ギリギリどうにかアンテナ1本立つところを探し出して、じわじわ表示される画面にいらつきながらも調べてみると、鍋割山は鍋割山でも、なんと鍋焼きうどんがあるのは別な山だった。衝撃の鍋割山違いだった。
同名の山は結構多く、鍋割山もその一つ。例えば赤城山にもあることは知っていたが、まさか素でこんな間抜けなミスをするとは思ってもいなかった。言い訳をするならば、「行きたい山リスト」には「鍋割山で鍋焼きうどんを食べる」としか書き留めておらず、山の情報をまとめていなかった。頭の中で丹沢方面と記憶していたが、正直、この周辺の山域は土地勘がないことから、奥多摩方面も丹沢方面もごちゃ混ぜで理解していなかったのが勘違いの大きな原因だった。なにせ奥多摩の丹波山と丹沢山も曖昧に覚えていたレベルなので致し方ない。
分かってみれば単純な話(オチ)だが、ここまで完璧な勘違いだとむしろ清々しいくらいだ。途中ですれ違った人に「鍋割山荘ってどこですか?」と聞いた自分を振り返り苦笑してしまった。どおりで「えっ、小屋ですか?」と不思議そうな反応をしていた訳だった。思い出すと顔から火が出るほど恥ずかしくなった。
間抜けすぎて笑うしかなかったが、実はそう悠長なことは言ってはいられなかった。鍋焼きうどんに全てをかけて登って来たので、ザックの中にはそもそも昼食が入っていない。しかも、ここまで飛ばして歩いてきたので、もう極限にお腹が空いている。
あの百名山の中でも最難関と言われる平ヶ岳を、はんぺん1枚で登り切った時のことを思い出したが、空腹な登山ほど辛いものはない。観光客の多い場所まで戻ればなんとかなるだろうと、メンタル的なダメージを抱えつつ、急ぎ足で御岳山まで戻り、境内のお店で大きな団子を一本購入した。ゴマの味噌風味で最高に美味しかったのが救いだった。
きっとこの山には、ベスコン・グルメの如く、最高のすきっ腹状態で、この団子を食べるためだけに来たんだ、と思いながらろくろっ首の坂道を降った。































