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やっぱりじゃん奥穂高岳(1日目)

前穂高岳、奥穂高岳、ジャンダルム、天狗の頭、間ノ岳、赤岩嶽、西穂高岳、チャンピョンピーク、ピラミッドピーク、西穂高岳独標、丸山( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 3人 (Yamakaeru さん 、ほか2名)

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 個人的には上高地と言うと沢渡を使うパターンが多いが、今回は平湯側(岐阜県高山市)の「あかんだな駐車場」を利用。駐車場からシャトルバスやタクシーに乗り換え上高地に向かいます。利用期間は例年4月中旬から11月中旬まで。ゲート付きで24時間利用可能。1泊600円。トイレあり。約800台。バスは、大人片道1,500円・往復2,800円。

この登山記録の行程

上高地BT(05:47)・・・河童橋(05:51)・・・風穴(06:41)・・・岳沢小屋(08:02)・・・カモシカの立場(09:31)・・・岳沢パノラマ(10:20)・・・雷鳥の広場(11:13)・・・紀美子平(11:29)・・・前穂高岳(11:59)・・・紀美子平(12:38)・・・最低コル(13:03)・・・南ノ稜頭(14:05)・・・奥穂高岳(14:14)・・・穂高岳山荘(15:25)

コース

総距離
約8.5km
累積標高差
上り約2,222m
下り約745m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

(1日目)
東京での仕事(土曜日出張)を終えて、スーツ姿のまま東京駅へと向かう。
噴き出す汗を拭いながらも、予定していた時間よりも少し早めに東京駅に着くことが出来たので、切符を変更して一本早めの新幹線に飛び乗った。その代わり弁当も飲み物も買う暇がなかったが、ここは少しでも時間を稼ぎたかったので多少の空腹は我慢だった。
1時間程、新幹線の中で仮眠をとった。本当はしっかりと休んでおきたかったが、今回の山旅の事を考えると自然と心が高ぶり眠ることができなかった。
帰宅して急いで準備に入る。と言っても、ザックと装備は一週間前に家に送っておいたので、そのままスーツ姿から山服へと着替えるだけ。なんだか不思議な気分だった。
窓の外では、「ザァー」と大きな音と共に激しい雨が降っていた。時折、雷も鳴り響いている。いつもながら雨男のパワー全開で、これも突如発生した台風の影響だった。
決行の2日前に3つ同時に台風が発生した時には運命を呪ったが、幸いそのうちの一つが直ぐに温帯低気圧化したのと、もう一つは日本から遠く離れていたこともあり、柵悪の状態は免れた。ラストの1つさえやり過ごせてしまえば、きっと山の行程は台風一過で晴れるはずだと確信していた。
23時を少し遅れて先輩が迎えに来てくれた。
装備を車に詰め込み、もう一人の仲間をピックアップして、いざ山へ向かって深夜の高速を飛ばす。
明け方には止むはずだと思いながらも、フロントガラスを叩く雨の強さに不安な気持ちが広がった。まさに、波乱の出だしだった。
今回は、岐阜の白鳥経由のルートにしたので、いつもの沢渡ではなく平湯側(高山市)の「あかんだな駐車場」を利用することにした。
3:30、駐車場に到着。
いつもであればこの時間でも第一駐車場は満車に近いが、天候の関係もあってか意外に空いていたため難なく停めることができた。
30分だけ仮眠をとり、4:15にバスに乗車するための列とチケットの列にそれぞれ分かれて並ぶ。
4:40、バスのチケットが販売開始された。片道1,500円。往復で買えば2,800円と気持ち安くなるが、今回は下山が最終バスに間に合わない可能性もあるので、片道チケットを購入することにした。
バスの列にはかなり前の方に並んでいたが、結局、チケットの購入に時間を要してしまい、ネットで購入した方々に先を譲ることになってしまった。それでも2台目に乗ることができたので、始発とほぼ変わらない時間帯で出発することができた。
薄い霧雨が降っていたが、予想通り台風は抜けたようだった。
あかんだな駐車場から上高地までは約35分。移動する僅かな時間もしっかり仮眠を取っておく。
早朝と言うのに、上高地バスターミナルは登山者で溢れかえっていた。
トイレだけ済ませて、一刻も早く人込みを避けるべく、ザックを背負って歩き出す。
一週間前に装備を準備した際には、まだ暑さが厳しかったので短パンしか用意しなかったが、台風が季節を変えたのか上高地の朝は一気に肌寒くなっていた。奥穂高岳の山頂も朝は既に氷点下になっているという。寒さには耐性があるが、もう少し防寒が取れる装備を持ってくればよかったと思った。
上高地も河童橋を渡り数100mも歩くと、観光地を抜けてひっそりとした森になる。八ヶ岳の森も日本の山にはないような独特の雰囲気を持っているが、上高地の森もまるで北欧の森を歩いているようなスペシャルな雰囲気を持っている。(北欧知らんけど(笑))
6:42、風穴に到着。
通常、風穴と言えばヒンヤリした冷気が穴から出てきて気持ちが良いが、ここの風穴はちっとも涼しくない。つまりただの穴だが、どうもそれが名物らしい。
高度を徐々に上げていくと、樹々の隙間からスタート地点の上高地が見下ろせた。
頭上には、いつしか青空が広がっていて、稜線がとても綺麗に映えていた。
ゴロゴロと白い岩が転がっている枯れ沢を進む。遠くに岳沢小屋が見えてきた。
8:05、岳沢小屋に到着。
上高地が見下ろせる天空のテラスで、軽く食べものを口に入れて一息つく。
風が出てきたようで、さすがに半袖スタイルは寒かった。
小屋を過ぎると一転して急登ゾーンに入る。
9:32、カモシカの立場に到着。
更に斜度が増し、ここから先はもはや迫りくる壁を登る感じでえぐい。滑落が絶えない場所なので、慎重に登っていく。
いつの間にか、森林限界を超えて、荒々しい岩の世界に変わっていた。
ようやく壁のような斜面を登り切り、紀美子平に到着。
平と言っても畳八畳くらいのスペースがあるだけだが、岩に囲まれた場所では確かに休憩ポイントとしては丁度良いポイントだった。ちなみに、山の地名にしては不釣り合いな名前は、穂高岳の重太郎新道を開設した今田重太郎さんの愛娘の名前「紀美子」が由来で、娘さんがこの広場で遊んでいたことから、名前が付けられたとか。昔、その逸話を聞いた時には「へぇー」と思ったが、実際この場所に立ち想像してみると、遊ぶような小さなお子さんがよくこんな場所まで登って来たものだと驚いてしまう。
紀美子平の足元には、幾つものザックが置かれていた。みんなここでデポをして、前穂高岳へアタックしているのだろう。
一瞬、「背負っていくか!」と悩んだが、身軽さの誘惑に負けて自分たちもザックをデポして、前穂高岳の頂を目指すことにした。
数分もしないうちにデポが正解だったと分かった。想像以上にアスレチックな岩場の連続で、標準タイムで書かれていたよりも登りに時間を要すると感じた。
山頂からの絶景を楽しみにしていたが、あいにく頂の周辺には雲がせり出していて、真っ白の世界だった。それでもこれから向かう奥穂高岳が一瞬でも見えたのはラッキーだったと言える。
紀美子平に戻り、いよいよ本日のラストイベント「奥穂高岳」へと向かう。
ここからは「吊尾根」ルートと呼ばれる、トラバースの登山道を使う。トラバースと言っても岩の道を細かくアップダウンしながら進むので、ハードな上に気が抜けない。その分、距離も長く感じる。
雲で視界が遮られていたため、何度も雲の中にピークを見る度に、「あれが奥穂か?」と騙されながら歩いていく。
途中、眼下に涸沢が見えた。まだ紅葉には早かったが、薄っすらと色づき始めているようだった。
ついに14:20、奥穂高岳に到着。
鋭く尖った岩の上に見覚えのある祠が建っていた。
シルエットがめっちゃカッコイイ。
そう言えば、積雪時の奥穂高岳しか知らないので、岩がむき出しの奥穂高岳を見るのは初めてだった。
そして、後ろを振り向くと、今回の旅の目的「ジャンダルム」が、雲を切り裂くように聳えているのが見えた。風が冷たく「ビュービュー」と音を立てて吹き荒れていたが、ジャンダルムの迫力に圧倒され、思わず寒さを忘れて立ち尽くしてしまった。
人を寄せ付けない険しい山容。半端ない存在感だ。まさにジャンダルム(憲兵)という名に相応しいと言える。
去年は、悪天候のために計画を中断してしまったが、「明日こそはジャンダルムを越える!」と拳を強く握りしめながら心を奮い立たせた。憧れと同時に強い畏怖の念があった。
奥穂高岳の山頂を離れる前に、頂から2ヶ月前にザイデングラードで亡くなった先輩に祈りを捧げた。慰霊とともに、「今回の我々に対して、山の安全をお願いします」と言葉を付け加えた。不思議な感覚だったが、おそらくあの優しい笑顔で「わかったよ!」と言ってくれたのだと思う。詳細は記さないが、翌日、重大な事故を未然に防いでくれたのは、紛れもなくその先輩の力だったのではないかと思う。
もう一度、深々とザイデングラードに向かって頭を下げてから、明日に備えて今日の宿「穂高岳山荘」へ向かった。
部屋は「いわかがみ」。荷物を置くなり、缶ビールで乾杯するため談話室へ向かったが、今日の出来事や明日の冒険話を沢山したのにも関わらず、睡眠不足もあって一瞬で気を失ったのは言うまでもない。
その後、夕飯だけ食べて、夕陽も眺めずに爆睡した。
ジャンの冒険1日目はこうして終わった。。。
<2日目へ続く>
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=324272

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装備・携行品

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登った山

奥穂高岳

奥穂高岳

3,190m

前穂高岳

前穂高岳

3,090m

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