行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】
鳩待峠(07:00)・・・横田代(08:40)・・・アヤメ平(09:58)・・・富士見小屋[休憩 10分](10:25)・・・長沢ノ頭(11:36)・・・竜宮十字路[休憩 60分](13:12)・・・牛首分岐(尾瀬ヶ原三又)(15:16)・・・牛首(15:30)・・・山ノ鼻(16:20)
【2日目】
山ノ鼻(07:00)・・・至仏山[休憩 60分](11:00)・・・小至仏山[休憩 10分](12:50)・・・オヤマ沢田代[休憩 10分](13:33)・・・鳩待峠(15:20)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
33,821歩 約22㎞ 19H
沼田ICを出ると、地道を40kmくらいで戸倉温泉につきここから津奈木沢に入り鳩待峠まで3.5km登っていく。鳩待山荘は尾瀬の入り口、標高1596mにある東電系列の尾瀬林業が運営している。2日目に泊まる尾瀬山荘も同じ経営で、一緒に予約できる。
窓からは、あさって上る至仏山が望める。
翌日は雨の中、予定通り中原山から富士見小屋を経て龍宮を目指す。登山口は、山荘の裏にがあり、外の植物などの種子を靴につけて持ち込まないようにマットが設置されている。
木造の階段を上ると登山道が続いている。最初は標高1600mから1960m迄約6kmで高度400mの緩やかな登り。ナナカマドやヤマブキショウマ、サンカヨウに似た大きな葉の赤い実をつけた植物などを観察しながらブナ・ダケカンバ杉などの林を上ってゆく。やがて道は木道になり、ゴゼンタチバナがたくさん現れてくる。雨も止んで、写真も撮りやすくなってきた。
目の前が開けてくると横田代に着く、この時期高層湿原の主役キンコウカが金色の絨緞を敷いてくれている。周りの林は背が低くなり、ハイ松やヒバなどに変わっている。
傾斜湿原の木道を上ってゆくと横田代の池塘は、緩やかな傾斜のところどころに形成されていて、水が溜まるためには下側の岸が、周りより高くならないと水溜りは出来ない。この池塘の土手がどうして出来たのか不思議だ。
尾瀬の夏を代表するニッコウキスゲもちらほら見られる。チングルマも沢山きれいな渦を巻いて、地面近くにはモウセンゴケが見られる。知らない花や木々に目を奪われ中々進めないが、まだ9時前。
緩い木道を軽快に上ってゆくと、今度は山頂の楽園アヤメ平に出る。ここはまさに山頂のお花畑、一面の草原に大きな池塘が沢山見られる。天気がよければ、池塘越しに燧ヶ岳の撮影ポイントらしい。尾瀬の見所になっている。
昭和30年代の尾瀬ブームにより、また、昭和35年には特別天然記念物国指定などがあり、湿原の荒廃が進んだ。昭和41年からは群馬県による湿原裸地化回復事業が、続いて昭和44年から尾瀬林業による回復事業も始まって、今のような湿原が回復してきているようだ。アヤメ平は、アヤメは無くてカキツバタをアヤメと取り違えたようだ。
アヤメ平を過ぎ、やせ尾根を木道が巻くように進むようになると、竜宮へ下る長沢新道の道標が現れ、富士見田代に到着する。土砂降りになって、雷鳴も聞こえたので、休まず富士見小屋へ下る。
!!なんと、富士見小屋は休業で、鍵が掛かって中で休めない、どこか雨を避けて、腰を下ろせるところを探すが、便所が開いているだけ。
我々は、竜宮小屋まで頑張って昼休憩することにし、富士見田代の分岐にひき返す。まだ10時30分だ。ここから4km下ると龍宮小屋。しかし雨が木道に水の層を作り、ちょっとでも踏み込み方を間違うと滑る。垂直に力を伝えないとツルンと行く。
初回は木道の上に尻餅をついてアイタタタ・・・で済んだが、2度目は木道の脇の溝に尻餅をついて、尻から腿の裏側に水が入ってきた。気持ち悪-い。後で聞くとみんな2回ぐらいは滑っていた。
歩幅を小さくして、慎重に足を踏み出し下っていく。初体験なのでこれが結構くたびれる。土場の休憩ベンチが11時12分、長沢の頭が11時35分と2km下るのに1時間掛かった。
ここからは長沢への下りが急になり急斜面を水の流れと一緒に下る。浮石が隠れていたりするので、ここでも慎重に下らねばならない。しばらく下ると長沢の濁流の音が下のほうに聞こえだす。沢が渡れるか心配したが、水かさが増え少し濁った程度で、木柱の橋を渡る。長沢へついたのは12:36、1kmの下りに1時間掛かった。後1kmで龍宮だ。
ここから尾瀬ケ原へのくだりは緩く穏やかなくだりだが、ぬかるみが多くルートを選びながらの歩行を余儀なくされる。龍宮十字路に着いたのは13:10、小屋に入ったのは13:20になっていた。やっと人心地がついた。ここでゆっくり昼食だ。先行した2女子は1時間くらい待った様だった。
朝、山荘でもらったおにぎり弁当を開く、卵焼きとから揚げが銀紙に包んで添えてある。龍宮小屋のおいしいコーヒーを戴いてゆっくりと休憩。後は夕方までに山の鼻につけばよい。尾瀬ケ原を堪能すればいい。
14:40に小屋を出て今度は西に至仏山の麓、山ノ鼻を目指す。4.5kmの行程だ。尾瀬ケ原では、ミズギボウシ、ミズギク、ヒツジグサ、サワギキョウ、カラマツソウ、クガイソウ、カキツバタ、ニッコウキスゲ、アオヤギソウ、コオニユリ、ネジバナなど見られ、貴重な植物の宝庫。
まずは牛首分岐を目指して、2kmほど進む。木道は2列で一直線に西に伸びている。今日の雨で水位が上がっていて、水没しているカキツバタなども見えた。水垢のようなものが流れているが、ミズバショウが穂先を流して種をばら撒く方法だと理解できる頃には、ほぼ終点に着いていた。
牛首分岐を過ぎ、山の鼻が近づくと振り返って池塘に写る逆さ燧ヶ岳の撮影ポイントだが、雨で山影は見えない。ほぼ1日中雨に打たれた山行になった、カメラも一時濡れて漏電していたようだが、持ち直して最後まで頑張ってくれた。
山の鼻についたのは予定より30分遅れの16時30分。ここには宿泊施設が3軒あり尾瀬ケ原の西の端銀座といったところ。ビジターセンターとキャンプサイトの設備もある。
今夜はここ、至仏山荘にお世話になる。昨夜より新しく立派な宿だが、男女別で私は8畳に5人の男性と相部屋になった。宿に入るとまた雨が降り出し、明日も降水確率40%と期待できそうに無い。
2日目の朝、朝食を済ませ支配人に話しを聞くと、曇りの予報だそうだが、にわか雨は避けられそうに無い。情報を集めてみると、至仏山登山は中止するパーティー、鳩待ち峠に登るパーティーと色々。我々は高天ヶ原のお花畑を見てみたい、がんばって蛇紋岩で滑りやすいといわれる至仏山登り専用ルートをチョイス。
7:00出発、湿原をミズバショウやクガイソウを見ながらしばらく進むと登山道入り口。足元が滑りやすいと注意書きがある。登山道に入ると木の階段で、どんどん高度を稼いで行ける。
約1時間、森林限界についた。環境省の表示が出ている1700m付近。蛇紋岩の岩場を、鎖に頼りながら登ってゆく。林を抜け潅木の中をさらに1時間、1900m付近からは至仏山らしい高山植物が見られだす。
最初に、イワシモッケ、イワオトギリ、ホソバヒナウスユキソウ、ホソバコゴメグサ、タカネナデシコ、イブキジャコウソウ、ヨツバシオガマ、タカネトウチソウ、ギボウシ、クルマユリ、ホソバシュロソウ、ヤマラッキョウ、ホツツジ、などを確認して登ってゆく。10:21標高2100mの高天ヶ原休憩ベンチに到着、後ろから沢山の登山者が上がって来られる。
ガスが立ちこめ景色は無い。黙々とガスの中を上って、岡山工高の山岳部の生徒さんに続いて山頂に立つ。蛇紋岩に覆われた山頂は、まったく視界は無い。多くの登山者が休憩されている。山頂の岩陰にウメバチソウが咲いていた。2等三角点2228mの標柱の脇で休憩し、まだ11時なので小至仏まで行くことにする。
岩の重なる稜線を西から吹き上げるガスに耐えて1時間、12:19分やっと小至仏山に着く。
ここでも数組休憩しておられる我々も風を避け、岩陰に陣取り昼食にする。今朝山荘で作ってくれたおにぎり弁当だが、おかずの記憶が無い。山行2日目で大分疲れていたのだと思う。10分休憩で下りに掛かる。
登山者が多いのも関係しているのだが、自分の歩きに集中できていない。岩とその間の泥濘そして強風、ガス、雨と追い討ちだ。疲れも出て記録も十分出来てない。
コバイケイソウの群落が見えてくる頃には、下山路にも木道が現れてくる。しばらく木道を下ってゆくと最初に現れた指導票は笠が岳への分岐。13:17に通過した。
次のオヤマ沢1960mは13:33通過。このあたりから再び樹林の中の木道を下って行くようになる。後3kmの下りが残っている。ハクサンシャクナゲの花を見つける。
この後だんだんと足が出なくなって、先行する女子チームとの距離が開きだす。前が見えなくなるとマイペース。後続のパーティーに何組も道を譲りながら、ョッコラショ、ョッコラショと下ってゆく。
しばらく下って、トカゲ岩といわれる大岩に来ると視界が開けた。尾瀬ケ原から鳩待峠が望める。至仏山は雲の中だ。ここを過ぎると再び樹林の中の道となり、溝状の道や、沢のような道を下ってゆく、後2キロの指導表が現れ、14:11分に通過。
最後、1kmの指導票は14:57分に通過し、鳩待ち峠へは、15:20に無事到着した。先行した女子組みは、土産をゲットし、撤収する用意万端済ませ待っていてくれた。私も靴とスパッツの泥汚れを流して、帰り支度をするのだが、腰が定まらなくてテキパキ動けない。
何とか、今夜の宿の片品温泉に向けて車を出すことが出来た。
2日間雨の中を歩いたのだが、2000m高層湿原の花畑、1400mの尾瀬ケ原、そして至仏山蛇紋岩の花畑と3つの花畑を歩けて、本当によかった。お初の高山植物も沢山出会え、尾瀬ケ原の白樺にも会えた。ミズバショウの大きさに驚き、登山道の整備状況にも感動した。
自然のすばらしさを体験できたことに心から感謝です。次への活力も沸いてくるというものです。山好きの皆さんにぜひお勧めしたいエリアだと思います。そして自然保護の大切さも教えてくれた尾瀬の旅でした。
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