行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】歩行5時間21分
上高地バスターミナル(05:35)・・・河童橋・・・明神(06:25)[休憩 10分]・・・徳沢(07:15)・・・横尾(08:09)[休憩 10分]・・・本谷橋(09:16)[休憩 10分]・・・涸沢(10:56)
【2日目】歩行7時間30分
涸沢(06:50)・・・屏風のコル(08:02)・・・屏風ノ耳(08:38)[休憩 31分]・・・屏風のコル(09:30)・・・奥又白谷河原(10:50)・・・徳沢(11:43)・・・明神(12:25)・・・明神池(12:35)[休憩 55分]・・・河童橋(14:20)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
紅葉がそろそろピークということで、涸沢カールからパノラマ新道を歩いてきました。今週から来週にかけて紅葉を目当てに登る方も多いと思うので、とりあえず速報ベースで記録をアップしましたが、三連休も過ぎたので改題します。
<降ったり止んだりの初日>
涸沢までコースタイムより早く登れたが、雨が降ったり止んだりの天候と紅葉が今ひとつのためか気分が高揚せず結構くたびれた印象。先日雨具をきちんと着用せずに痛い目にあったので、面倒がらずに雨具も脱いだり着たりを繰り返したのだが、このシーズンにしては気温も高く、蒸し暑くなるのが堪える。涸沢ヒュッテには11時前に到着したのだが、もうそれ以上行動する気もなし。当初は晴れたら北穂高に登ろうかと思っていたのだから、雨に祟られて意気が上がらないこと甚だしい。到着後も、時折ガスの切れ間はあるものの、雨はむしろ強まるばかり。展望が得られず、涸沢に来たという実感にも乏しい。明日に期待。紅葉シーズンということで涸沢ヒュッテも大混雑を覚悟していたが、月曜日であることと悪天候のためか、一人布団一枚であったのは幸い。紅葉を写真に収めようと、本格的な撮影機材を運び上げた方々も目立つ。
<今年の紅葉は今ひとつ>
夜半から満天の星空。前穂高から冬の星座オリオンが昇り、北穂高に天の川が降りそそぐ。二日目は素晴らしい好天に恵まれ、モルゲンロートに焼けた穂高の峰々を眺める。しかし、残念ながら今年の涸沢の紅葉は、昨年に比べるとだいぶ見劣りするというのが私の率直な感想。ナナカマドも綺麗に発色せずに枯れている葉も目立つ。涸沢から下部はこれから色づくはずなので、そちらはもう少し期待できればいいのだが…。9月末とはいえ、涸沢カールの雪渓に全くと言っていいほど雪がないのは珍しいのではないか。また、気温がこの時期にしてはとても高く冷え込みが全くない。加えて、空梅雨だったこと、反対に秋の長雨で日照が足らなかったことなどが、今年の紅葉が冴えない原因かもしれない。それでもなお、涸沢の紅葉は魅力的ですけどね。もう少し状態がいいのは、歩いた範囲ではパノラマ新道の稜線。
<パノラマ新道はオススメ>
パノラマ新道からの穂高連峰や槍ヶ岳の展望は素晴らしく、まさにパノラマの名にふさわしい。痩せた岩場のトラバースや、屏風のコルから徳沢に下る道が大きな岩がゴロゴロした歩きにくい急傾斜もあるため、誰にでもオススメできるわけではないが、健脚の岩稜経験者ならまず問題ない。今回は、その魅力をたっぷり実感できた。涸沢から屏風のコルだけでも楽しめるが、是非展望がさらに素晴らしい屏風の耳まで足をのばすことをお勧めする。明神、前穂高から奥穂高、涸沢岳、北穂高、さらには槍ヶ岳、北鎌尾根まで大展望が広がる。槍穂高の展望といえば、常念岳や蝶ヶ岳が有名だが、屏風の耳は間近にそれを望むことができる。しかもこの時期、眼下は涸沢の紅葉だ。その先、屏風の頭まで踏み跡が付いていて進むこともできそうだが、ハイマツが濃く苦労する割には屏風の頭と耳とでは展望は大差がないそうだ。なお、屏風のコルー屏風の耳間のタイムが長いのは、苦しかったからではなく、絶景に何度も足を止めたため。
昨年のこの時期に比べて、気温がとても高く、汗びっしょり。汗をたくさんかいたら、風呂に入ってさっぱりしたい。計画では「山のひだや」を利用するつもりだった。「2015年版山と高原地図」によれば、「山のひだや」は日帰り入浴可能となっているが、実際には断られるので注意。今回は上高地温泉ホテルの日帰り入浴(大人800円)を利用した。
ルート定数51.8、主観的なグレード6C
フォトギャラリー:62枚
初日の天候が思わしくないことは覚悟の上。明日の好天に期待
屏風岩の勇姿
涸沢ヒュッテにて
初日は、降ったり止んだりの天候。ガスで全く展望が得られない時間も長かった。ガスの切れ間を狙って一枚
翌朝は快晴
モルゲンロート
今回の目玉は、パノラマ新道を行くこと。先日の大雨で登山道が流され閉鎖された時期もあったが、今は復旧されて安全に歩くことができる。
パノラマ新道は、屏風のコルまで切り立った斜面に付けられた狭い道をトラバースしていく
ザレているところもある
左の顕著なピークが屏風の耳
ナナカマドの紅葉は、パノラマ新道を稜線に出てからの方が鮮やかだった。
左から北穂高岳、大キレットを経て南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳に連なる峰々が展望できる
屏風のコル ここから屏風の耳を往復する(50分)
前穂高岳と木々に覆われた前穂高北尾根VIII峰。手持ちの古いガイドブックにはここを往復すると面白いと記述があるが、今回は見送った。
屏風の耳で撮影したパノラマ写真は、サイズの関係でアップできなかったので、よく似た写真を掲載。
チングルマ
左から奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳
左から前穂高岳、奥穂高岳
井上靖の「氷壁」の舞台、前穂高岳東壁。穂高山域では滝谷が有名だが、登攀はこちらの方がより困難だそうだ。
下りは、大きな岩がゴロゴロした急傾斜の歩きにくい区間もある。
「山のひだや」で汗を流し、明神池から明神岳を拝し、嘉門次小屋で岩魚を食すという完璧な計画を立てていたのだが・・・無念。
名ガイド上条嘉門次の小屋、嘉門次小屋では囲炉裏端で焼いた岩魚を食べられる。20年ぶりに訪れたが、相変わらず美味しい。
上条嘉門次が実際に猟に使っていたという村田銃を構えさせてもらい、ご満悦の出戻り登山者。
嘉門次小屋の外観
初日(雨)の天気図