百名山ハンターに朗報。来年7月、岩手山の東側登山道が規制解除へ

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2024年10月以降、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)ですべての登山道が通行できなくなっている岩手山(いわてさん、2038m)について、岩手県は26年7月に規制を一部解除する方針を決めた。対象は火山活動が落ち着いている東側の4ルートで、活動が確認されている西側は規制を継続するという。この方針は来年の山開きに合わせたもので、雪解け後には現地調査が実施される予定だ。

姫神山一本杉登山口周辺から見る岩手山(写真=Yamakaeru)

姫神山一本杉登山口周辺から見る岩手山(写真=Yamakaeru

岩手山では昨年の入山規制開始以降、通行禁止を無視して登山を強行するケースが散見され、なかには遭難に至る例もある。昨年11月には行動不能に陥った男性登山者が救助されたほか、今年10月には軽装で登山していた在日米軍の兵士が遭難し、救助される事例もあった。百名山踏破をめざす人にとって岩手山の登山再開は朗報だが、引き続き警戒は必要だ。入山時には火山活動の最新情報を確認するよう心がけたい。

ヤマタイムで周辺の地図を見る

https://www.yamakei-online.com/yk_map/?latlon=39.8504598080708,141.0030682199222&zoom=14

この記事に登場する山

岩手県 / 奥羽山脈北部

岩手山・薬師岳 標高 2,038m

  ふるさとの山に向ひて 言ふことなし   ふるさとの山はありがたきかな  この山麓に育った石川啄木の作である。朝夕仰ぎ見る岩手山に対する思いをよく表わしている。山名の由来は諸説あるが春に鷲状の雪形が残ることから巌鷲山(がんじゆさん)の呼名がつき、それが転訛したものとか、岩手郡の名が先にあって、そのシンボルとして名づけられたとかいわれる。  この山は鬼ガ城を南壁とし、屏風尾根を北壁とする西岩手外輪山の東壁に、東岩手外輪山が生じた複式火山だ。東岩手外輪山は裾を長く引き富士山そっくりだが、西側はそれとは異なり尾根状の外輪に黒倉山、姥倉山と続く山容で「南部片富士」と呼ばれている。  登山口は幾つかあるが御神坂(おみさか)口、柳沢口、焼走(やけばしり)口、上坊(うわぼう)口は東岩手外輪山の一角で一等三角点のある薬師岳に直登できるコースだ。網張口、七滝口、松川温泉口は西岩手外輪山に登ってから薬師岳に至る多少の尾根歩きを伴うコース。  コースによって違った面白さがあるのが特徴で、5月中旬、御神坂の標高800mの混合樹林の中にびっしりと咲くカタクリ、イチリンソウの群落は、よそでは見られない光景。6月中旬~下旬にかけて1週間だけ、柳沢口の旧道の4~7合目の岩の間にチングルマ、イワウメ、イワカガミなどが咲きそろう。  焼走口の中腹にある噴気口から上部の火山磔の道では、初夏になるとピンクの花を咲かせるコマクサの大群落が見られる。  西外輪山に登る3コースは鬼ガ城か八ツ目湿原を経由する。田植えのころ、水田にたたえられた水がきらきら輝く雫石盆地を鬼ガ城から見下ろすと、大きな湖の中に人家が浮かんでいるように見える。八ツ目湿原は通称お花畑で、少し脇道に入るとオオシラビソの樹林に囲まれた御釜湖、御苗代湖が鬼ガ城や屏風尾根の絶壁を映して静寂の気配をたたえている。  焼走口、上坊口は合流して避難小屋のある9合目、平笠不動平に達する。ほかのコースはどれも9合目の盛岡不動平で合流する。どちらからも小さな火山礫の道を30分ほど登った東岩手外輪山の西のピークが山頂の薬師岳で、2000mを超えているだけに360度の展望が楽しめる。外輪の内側には妙高山が盛り上がり、そばに新しい火口の御室がある。馬返しコース8合目に避難小屋があり、夏山シーズン中は管理人が常駐する。頂上域で水があるのはここだけ。  盛岡駅前から定期バスで網張行があり、御神坂口、網張口からは日帰りもできる。松川温泉にもバスがあるが日帰りは無理だろう。御神坂口には電話がなく、車は呼べない。登りは松川口が5時間、他コースは4時間。

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