宮之浦岳・縄文杉 | 屋久島ガイド協会

現在の縄文杉コースは、踏ん張りのきかない雪道で、足腰に大きな負担がかかり、体力をとても消耗します。十分な体力と経験が必要。

凍る苔 (2011.01.30 屋久島ガイド協会 )
凍る苔 (2011.01.30 屋久島ガイド協会 )
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天気・気温

01/12(水) 縄文杉コース◆1/8の天候:快晴。縄文杉の展望デッキ(標高1300m)の気温4℃(12:00)。デッキ上の積雪90cm。 
◆1/10の天候:小雪舞う。北西の風やや強し。荒川登山口(標高600m)の気温3℃(15:30)。
鹿児島市の天気予報
明日
曇一時雨
24℃
18℃
明後日
雨のち曇
22℃
17℃
日本気象協会提供 2024年4月29日 10:00発表
※ご利用上の注意

山と周辺の状況

年末年始にかけ、10年に1度の積雪(屋久島在住20年のガイド談)に見舞われた屋久島。1/7の昼、荒川登山口までの除雪が完了、通行止めが解除されました。

1/8、屋久島滞在の日程を伸ばし、ずっと縄文杉にトライできるのを待ちわびていた方を含め、若い男性3名と男性ガイド2名で、2011年初となる「雪の縄文杉コース」に挑みました。トロッコ道では20~30cmの積雪。ゴムスパイクを履きますが、雪が崩れやすく非常に苦労しながら歩きました。体力のある男性ばかりのチームで、トロッコ道に3時間かかりました。雪はさらに深くなり、標高約1000mのウィルソン株より、ワカンを着用。快晴なのに樹上の雪が溶けて激しく落ちて来るので、土砂降りの雨の中を歩いているような状態。何度も雪に埋まりながらたどりついた縄文杉は、デッキの手すりがほとんど雪で埋まっていました!この日はガイドツアー、一般の登山者の方合わせて10名ほどが縄文杉コースにトライしましたが、日帰りで縄文杉までたどり着けたのは、我が1チームだけでした。上り6時間、下り5時間、ほとんど歩きっぱなしで11時間かかりました。さすがの屈強な男性陣も、みんな疲れ果てて帰ってきましたが、何にも代えがたい達成感を味わわれ、大満足の1日でした。

現在の縄文杉コースは、非常に体力を消耗します。また踏ん張りのきかない雪道で、足腰に大変な負担がかかります。十分な体力とある程度の登山経験のある方以外は、お勧めできません。

1/10は、女性2名と男性ガイド2名でチャレンジしましたが、溶けかけてグズグズになった雪に足を取られ、非常に体力を消耗する行程となりました。無理をするより、楽しんでいただきたい、ということで、お客様とも相談し、ウィルソン株まで頑張って、引き返すことに。雪に埋もれて巨大なかまくらのようになったウィルソン株で、ゆっくりと昼食を食べ、余裕のあるうちに下山しました。

登山道の状況

※1/12日現在の情報(天候により状況は大きく変化しますので、かならず事前に現地の最新情報を入手して下さい。)
■宮之浦岳、花之江河、黒味岳など
・相当の積雪あり。一般者の登山は非常に困難です。1/12現在、荒川三叉路~ヤクスギランド~淀川登山口までの車道が積雪のため通行止めになっており、入山不可能な状態。開通までにはまだしばらくかかる見込みです。

■縄文杉ルート
・登山口~小杉谷付近…まばらな雪。橋の凍結に注意。
・小杉谷~大株歩道入口…シャーベット状の雪。滑りやすく、ゴムスパイクが最適。
・大株歩道入口~縄文杉…深い雪。だいぶ踏み固められて固まり、歩きやすくなっている。
 アイゼン使用。ワカンは固いので歩きにくい。大株歩道入口で5cm、縄文杉デッキで1m近い積雪あり。
雪のため非常に歩きにくく、通常より大幅に時間がかかります。余裕のある計画を立て、無理のない登山を楽しんでください。 
 
・12/1より、荒川登山口への一般車両の乗り入れが可能となりました。3月より運行されていた登山バスは運休となり、利用できませんので、ご注意ください。荒川登山口までのルートは積雪、凍結時には通行止めになります。事前に情報収集を行ってください。荒川登山口は駐車スペースが非常に少なく、混雑時は登山口手前に路上駐車をすることになります。スムーズな通行のために、しっかりと道端に寄せて駐車していただきますよう、ご協力をお願いいたします。

■屋久島観光協会 最新登山情報も参考になります。
http://www1.ocn.ne.jp/~yakukan/tozaninfo/index.htm

登山装備

南国のイメージの強い屋久島ですが、標高の高い山岳部は豪雪地帯です。年末年始の荒天で、奥岳(島の高山地帯)は深く雪に閉ざされています。体力、経験のない方の入山はお勧めできません。現在奥岳に入るには、相当な経験と装備が必要です。しっかりと事前の情報収集を行い、スノーシュー、アイゼン、ストックをご用意ください。

白谷雲水峡など、比較的低山に行かれる方も、ゴムスパイク、アイゼン、ストックが必要な場合があります。北西の冷たい季節風が非常に強く、気温も0℃前後に下がっていますので、ダウンジャケット、フリース、防風ジャケット、毛糸の帽子、ネックウォーマー、防水やウールの手袋などのしっかりとした防寒対策が必要です。またインナーも綿は絶対に避け、ウールや化繊を重ね着して下さい。濡れてしまうと非常に危険ですので、下着、靴下、手袋などは替えを用意しておきましょう。また靴はかならず防水性のトレッキングシューズをご用意ください。

また積雪の後の好天時には、樹上の雪が溶け落ちてきて、雨が降っているような状態になりますので、防水対策をしっかりとお願いします。ビニールガッパやポンチョは役に立ちませんので、しっかりとした雨具をご用意ください。空気がかなり乾燥していますので、水分、塩分補給は意識的に行いましょう。

現在、屋久島の日の出は7:20頃、日の入りは17:35頃となっていますが、天候の悪い時は日中でもかなり薄暗くなります。事前にコースの下調べを十分に行い、早めの入下山を心がけ、時間的に余裕のある登山計画を立て実行してください。必ずライト類を携帯しましょう。

※屋久島では、登山グッズレンタルショップ、幾つかのホテル、エコツアー会社などで登山グッズのレンタルが可能です。

注意点

屋久島の各避難小屋は、電気、水道、暖房等ありません。小屋内は非常に冷え込みますが、火災の恐れがありますので、小屋内での火の使用は控えて下さい。

利用スペースはコンパクトに収め、騒音など、迷惑行為にご注意ください。利用後は必ず清掃し、利用前よりも美しい状態で、気持ちよく避難小屋を後にしましょう。

また、避難小屋内にはネズミが頻発しています。ザック内にも入りこみますので、食料は丈夫な食器に入れたり、吊るして保管するなど自衛してください。

昨年の今頃の様子は?

先週は低気圧の大雨のため交通規制もありましたが、一昨日昨日は春らしい陽気となりました2023.04.19

縄文杉ルートでサクラツツジが見頃。GWは時間と気持ちに余裕を持って新緑の森を楽しんで下さい2023.04.26

GW中の人気登山道は人多くすれ違いに注意し、行動時間に余裕を持つなど安全登山を心がけて2023.05.03

GWはコロナ前の賑わいを取り戻してきたようです。小屋泊や色とりどりテントで賑わいました2023.05.10

シャクナゲ登山が増える時期。車は現地の表示に従い、駐車禁止区域に駐めないで下さい2023.05.17

屋久島もそろそろ梅雨入りの時期。傘と雨具は必携です。島内の交通機関や道路の最新情報に注意2023.05.24

屋久島ガイド協会周辺の過去の様子

  • 縄文杉ルートのトロッコ道沿いに咲くマムシグサ
  • アオモジ
  • ヒサカキ
  • ヤクシマオナガカエデの新芽
  • ヤクシマオナガカエデの新緑
  • ヤクシマゴケ
  • 隣の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット 屋久島から見えました
  • ヤクシマゴケ
  • 春を告げるサツマイナモリの花
  • 桜とモッチョム岳
  • 冬の苔むす森。森の中は雪の白さで普段より明るく感じます。
  • スギバゴケの仲間

屋久島ガイド協会

電話番号:
0997-49-4191
連絡先住所:
〒891-4207 鹿児島県熊毛郡屋久島町1436-56

地図で見る
http://www.yakushima-guide.com/

施設の詳細を見る

関連する山

鹿児島県 / 大隈諸島 屋久島

宮之浦岳 標高 1,936m

 屋久島のほぼ中央に位置し、九州の最高峰。山体は四万十層の基盤岩に貫入した花崗岩で、山容は女性的である。  屋久島は九州本土最南端の佐多岬から70kmの黒潮洗う中にある。南北25km、東西27km、周囲わずか105kmのハート型をしたこの島には、1500m以上の高峰が11座、1000mを超える山が30座以上もあり、洋上のアルプスである。  海岸線からは、宮之浦岳などの高峰は見ることができないので、奥岳とも呼ばれ、これらを囲む前衛の峰を前岳と呼ぶ。また、宮之浦岳、永田岳、黒味岳を三岳(みたけ)、または御岳と呼び、翁岳、安房岳(あんぼうだけ)、投石岳(なげしだけ)、筑紫岳(ちくしだけ)を含めて八重岳とも呼んでいる。  屋久島の骨格をなす山々の稜線は、宮之浦岳からほぼ四方に延びる。全山花崗岩からなり、山頂近くは風化、浸食された奇岩、怪石が多い。一帯は低いヤクザサに覆われ、矮小化したヤクシマシャクナゲが点在し、花期の6月上旬には登山者の目を楽しませてくれる。  豊富な雨量により渓谷も発達し、山肌を深く浸食しながら島の中央から無数の河川が海に注ぐ。宮之浦岳を源流とする宮之浦川、小揚子川、安房川などは日本有数の峻険な谷である。  山頂西側の花崗岩の割れ目には、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)を祭る宝珠大権現の社があり、宮之浦にある益枚(やく)神社の奥宮として、古くから島民の岳参り信仰の中心となった。春は日帰りで五穀豊穣、国家安穏、延命息災を祈願し、秋は大願成就のため2泊3日で参詣した。必ず各集落から参拝し、女人禁制で登られていた。  昭和40年代まで安房川中流域小杉谷を中心に、伐採が盛んに行われた。島の南東の安房集落から小杉谷まで軌道が敷かれ、トロッコによって屋久杉を運搬していた。現在では輸送手段がトラックに変わり、島の四周に林道が延び、これを利用した登山コースが多い。  花崗岩の山頂からの展望は抜群。島とは思えない雄大なスケールで、島の山岳はもとより、晴天時には遠く九州本土佐田岬や開聞岳、口永良部(くちのえらぶ)島、種子島も浮かんで見える。  島の中央宮之浦岳への登山道は四方に拓かれ、代表的なコースは、楠川―小杉谷―縄文杉を眺め、宮之浦岳まで約20km、12時間。永田―鹿之沢―永田岳―宮之浦岳は約14km、9時間。他に栗生―花山歩道―鹿之沢。湯泊―湯泊歩道―花之江河(はなのえごう)―宮之浦岳。尾之間―尾之間歩道―花之江河。屋久杉ランド―安房歩道―花之江河などがあるが、一般日帰りコースは、淀川登山口(よどごうとざんぐち)―花之江河―宮之浦岳、約8km、所要5時間などである。山小屋は淀川、石塚、鹿之沢、高塚にある。

ユーザーの登山記録から