宮之浦岳・縄文杉 | 屋久島ガイド協会

この時期の楽しみのひとつが、賑やかな蝉時雨。先日、白谷雲水峡で、ヒメハルゼミの羽化に出会いました

ヤクシマトゲオトンボの♂ (2011.07.26 屋久島ガイド協会 )
ヤクシマトゲオトンボの♂ (2011.07.26 屋久島ガイド協会 )
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

天気・気温

07/05(火) ■6月30日の宮之浦岳(標高1936m) 
曇り時々晴れ、山頂の気温・約18℃(9:40)。南の風、展望ガスでほとんどなし。登山者5~6名程度。
■7月4日の縄文杉コース(標高600~1300m)
朝のうち小雨のち曇時々晴れ、涼風。縄文杉デッキ上(標高1300m)の気温・23℃(12:30)、登山者220名程度。 
鹿児島市の天気予報
明日
曇一時雨
24℃
18℃
明後日
雨のち曇
22℃
17℃
日本気象協会提供 2024年4月29日 10:00発表
※ご利用上の注意

山と周辺の状況

先週の情報でも紹介しましたが、この時期の森歩きで楽しいのは、賑やかな蝉時雨に包まれることです。
今屋久島で鳴いているのは、ヒメハルゼミという体長2~3センチほどの小さなセミ。時雨というと、なんだか優しい雨を想像しますが、この鳴き声の賑やかさと云ったら、土砂降りの雨に叩かれているかのような迫力です。

ただ、鳴き声は大変な存在感なのですが、実際にヒメハルゼミ本体を探そうとしても、なかなか見つけられません。
そんな貴重なヒメハルゼミの羽化シーンに、白谷雲水峡で出会いました。

まだ柔らかく透明感のある繊細な身体がとても美しく、思わず見とれてしまいました。ヒメハルゼミの詳細な生態は不明ですが、幼虫は地中で数年過ごし、初夏に羽化をして成虫となり、一週間足らずで繁殖を終え、死んでしまうそうです。
羽化は通常夕方や夜間に行われるのですが、この個体は白昼堂々と、コース案内板の上で殻を脱ぎ捨てていました。
開始から完了まで、だいたい40分くらいかかるようです。

羽化に立ち会えるのは本当に稀なことだと思いますが、森の中を注意深く観察しながら歩いていると、ヒメハルゼミの小さな抜け殻を見つけることができます。
べっこう色の小さな殻には、目や、脚や、触れただけでちぎれそうな触角まで綺麗についていて、その繊細で精巧な造形にため息が出るほどです。

賑やかな鳴き声に、『ウルサイ!』と思ってしまうこともしばしばですが、小さな体で、精一杯生命を謳っているのだと思うと、自分も頑張って歩かなきゃ、と力をもらうのです。

登山道の状況

■縄文杉ルート 
※3月から11月末までの期間、町道荒川線入口~荒川登山口の区間は、車両乗り入れ規制が実施されます。
登山バスでの移動になりますのでご注意ください。
車両乗り入れ規制に関する詳しい情報はこちらで確認できます。
http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/

■宮之浦岳、黒味岳、縦走ルート
登山道上歩行には問題はありません。
今の時期、各避難小屋で宿泊をお考えの方は、小屋に入れない場合もありますので、必ずテントを持参してください。テントは避難小屋周辺以外では設営禁止ですので、注意して下さい。

登山装備

屋久島の雨は降り方が非常に激しくなることがあります。ビニールカッパ、ポンチョでは対応できません。
また高温高湿となりますので、必ず登山用の、通気性の良いしっかりした雨具をご用意ください。

脱水や熱中症、塩類不足による筋肉のつりなどのトラブルも起きやすくなっています。スポーツドリンクなどで水分や塩類をしっかり補給したり、こまめに服装の調節を行って予防して下さい。
日中は汗ばむ暑さですが、早朝、夕方や、風の強い日等は寒くなることもあります。事前にしっかり天候を確認し、必要な防寒具もご用意ください。
晴れた日の陽射しは強烈ですので、帽子や日焼け止めなど、日焼け対策も必要です。

屋久島での登山は想像以上に行動時間がかかることがありますので、日帰り登山でもヘッドライトは必須です。

注意点

縄文杉ルートでは、ルート上のトイレが非常に混雑します。また、オーバーユースのため使用不可能になる場合もあります。
ルート上には携帯トイレを使用できるブースが設けられていますので、携帯トイレのご用意をお勧めします。

お知らせ

その他、登山道、周辺の状況など詳しい情報につきましては、
株式会社屋久島ガイド協会(0997-49-4191)までお気軽にお問い合わせ下さい。

昨年の今頃の様子は?

先週は低気圧の大雨のため交通規制もありましたが、一昨日昨日は春らしい陽気となりました2023.04.19

縄文杉ルートでサクラツツジが見頃。GWは時間と気持ちに余裕を持って新緑の森を楽しんで下さい2023.04.26

GW中の人気登山道は人多くすれ違いに注意し、行動時間に余裕を持つなど安全登山を心がけて2023.05.03

GWはコロナ前の賑わいを取り戻してきたようです。小屋泊や色とりどりテントで賑わいました2023.05.10

シャクナゲ登山が増える時期。車は現地の表示に従い、駐車禁止区域に駐めないで下さい2023.05.17

屋久島もそろそろ梅雨入りの時期。傘と雨具は必携です。島内の交通機関や道路の最新情報に注意2023.05.24

屋久島ガイド協会周辺の過去の様子

  • 縄文杉ルートのトロッコ道沿いに咲くマムシグサ
  • アオモジ
  • ヒサカキ
  • ヤクシマオナガカエデの新芽
  • ヤクシマオナガカエデの新緑
  • ヤクシマゴケ
  • 隣の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット 屋久島から見えました
  • ヤクシマゴケ
  • 春を告げるサツマイナモリの花
  • 桜とモッチョム岳
  • 冬の苔むす森。森の中は雪の白さで普段より明るく感じます。
  • スギバゴケの仲間

屋久島ガイド協会

電話番号:
0997-49-4191
連絡先住所:
〒891-4207 鹿児島県熊毛郡屋久島町1436-56

地図で見る
http://www.yakushima-guide.com/

施設の詳細を見る

関連する山

鹿児島県 / 大隈諸島 屋久島

宮之浦岳 標高 1,936m

 屋久島のほぼ中央に位置し、九州の最高峰。山体は四万十層の基盤岩に貫入した花崗岩で、山容は女性的である。  屋久島は九州本土最南端の佐多岬から70kmの黒潮洗う中にある。南北25km、東西27km、周囲わずか105kmのハート型をしたこの島には、1500m以上の高峰が11座、1000mを超える山が30座以上もあり、洋上のアルプスである。  海岸線からは、宮之浦岳などの高峰は見ることができないので、奥岳とも呼ばれ、これらを囲む前衛の峰を前岳と呼ぶ。また、宮之浦岳、永田岳、黒味岳を三岳(みたけ)、または御岳と呼び、翁岳、安房岳(あんぼうだけ)、投石岳(なげしだけ)、筑紫岳(ちくしだけ)を含めて八重岳とも呼んでいる。  屋久島の骨格をなす山々の稜線は、宮之浦岳からほぼ四方に延びる。全山花崗岩からなり、山頂近くは風化、浸食された奇岩、怪石が多い。一帯は低いヤクザサに覆われ、矮小化したヤクシマシャクナゲが点在し、花期の6月上旬には登山者の目を楽しませてくれる。  豊富な雨量により渓谷も発達し、山肌を深く浸食しながら島の中央から無数の河川が海に注ぐ。宮之浦岳を源流とする宮之浦川、小揚子川、安房川などは日本有数の峻険な谷である。  山頂西側の花崗岩の割れ目には、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)を祭る宝珠大権現の社があり、宮之浦にある益枚(やく)神社の奥宮として、古くから島民の岳参り信仰の中心となった。春は日帰りで五穀豊穣、国家安穏、延命息災を祈願し、秋は大願成就のため2泊3日で参詣した。必ず各集落から参拝し、女人禁制で登られていた。  昭和40年代まで安房川中流域小杉谷を中心に、伐採が盛んに行われた。島の南東の安房集落から小杉谷まで軌道が敷かれ、トロッコによって屋久杉を運搬していた。現在では輸送手段がトラックに変わり、島の四周に林道が延び、これを利用した登山コースが多い。  花崗岩の山頂からの展望は抜群。島とは思えない雄大なスケールで、島の山岳はもとより、晴天時には遠く九州本土佐田岬や開聞岳、口永良部(くちのえらぶ)島、種子島も浮かんで見える。  島の中央宮之浦岳への登山道は四方に拓かれ、代表的なコースは、楠川―小杉谷―縄文杉を眺め、宮之浦岳まで約20km、12時間。永田―鹿之沢―永田岳―宮之浦岳は約14km、9時間。他に栗生―花山歩道―鹿之沢。湯泊―湯泊歩道―花之江河(はなのえごう)―宮之浦岳。尾之間―尾之間歩道―花之江河。屋久杉ランド―安房歩道―花之江河などがあるが、一般日帰りコースは、淀川登山口(よどごうとざんぐち)―花之江河―宮之浦岳、約8km、所要5時間などである。山小屋は淀川、石塚、鹿之沢、高塚にある。

ユーザーの登山記録から