大雪渓は落石とルート間違いに注意。小雪渓はステップ切りましたがアイゼン必携です。ツクモグサなど開花。
天気・気温
山と周辺の状況
今朝は長野側が雲海になっていたので、山麓からは白馬岳などの山並みは見えなかったかもしれませんが、白馬山荘からはすばらしい展望が開けていました。下界では山の上でこんな景色が広がっているとは想像できないでしょうね。まさに山の醍醐味が味わえた雲海の朝でした。
この貴重な晴れ間を利用して、今日は村営頂上宿舎と合同で小雪渓のステップ切りが行われました。例年この時季の小雪渓は急傾斜で滑落の危険性が増しています。滑落事故防止のためにスコップでトラバースルートを切り開いていきます。
小雪渓トラバース・ルート完成です。これでだいぶ安心して小雪渓を通過できますが、それでも下りの際にはアイゼンをつけて慎重に下るようにして下さい。
●これまでの状況
6/5午前中は曇り空で、一昨日夕方からのいい展望が持続されていましたが、昼過ぎから雪が降り出してきました。夕方にはいい降りになって、山荘の周りは真っ白になってしまいました。
6/6はすっきりとは天気が回復せず、なかなか霧の中から抜け出すことが出来ませんでした。日没間際になってようやく霧が晴れて視界が開けてきました。突然展開した素晴らしい日没シーンにあちらこちらで感嘆の声が上がりました。太陽が沈んで見えなくなるまで、心ゆくまで夕景シーンを楽しんでいました。
昨日の雪で冬に逆戻りかと暗い気分になりましたが、今朝外に出てみると前日積もっていた雪はほとんど解けて消えていました。どうやら夜のうちに雪は雨に変わって、その雨が積もった雪を解かしてくれたみたいです。一安心です。
そして前日の雪と2日前の氷づけで相当なダメージを受けたはずの
ツクモグサ
ツクモグサ
ですが、朝見に行ってみると健気に咲いていました。多少傷んでいたり変色したりしている花もありましたが、ほとんどの花は次の太陽の光を待ちわびてスタンバイ状態になっていました。晴れるとまたその花びらをいっぱいに開いた
ツクモグサ
ツクモグサ
に会えそうで、こちらもホッと一安心でした。あっぱれ!
ツクモグサ
ツクモグサ
。
6/7朝も早朝は山荘周辺だけ霧にすっぽり包まれていて景色が見えませんでした。またダメかと思っていると6時頃から徐々に霧が晴れて山並みが見えてきました。青空も広がってきて、いつの間にか素晴らしい朝の光景が展開していました。風もあまりなく久しぶりに穏やか朝を迎えることが出来ました。
6/8は朝方晴れていて視界も良く、剣・立山連峰や能登半島までよく見えていましたが、徐々に天気は下り坂で雲が増えてきました。夕方には雨降りとなりしました。
夜は黒い雲が垂れ込めていて、いつ雨が降り出してきてもおかしくない感じでしたが、なんとかもって9時頃までは曇りで推移していました。そして富山側の視界が思いの外よく、夜景がとてもきれいに見えました。山荘からは旭岳のシルエットを挟んで左側に眩いばかりの富山市の街の明かりが…….右側には黒部川流れる黒部市の街の明かりと海を挟んで能登半島の街の明かりが帯状によく見えました。
●鉱山植物情報
山荘周辺で一番多く見かける花は
ツクモグサ
ツクモグサ
とオヤマノエンドウですが、最近咲き出す花も増えてきました。
イワベンケイ
イワベンケイ
は開花間近、
ウメバチソウ
ウメバチソウ
一部開花、
シナノキンバイ
シナノキンバイソウ
も咲き始めました。
ウルップソウ
ウルップソウ
の見頃はもう少し先になりそうです。
●天気と気温
6/8 朝は晴れ 11:00の気温11℃(例年並み) 夕方雨
登山道の状況
●大雪渓ルート
・猿倉から白馬尻に至る林道の雪は融雪が進みました。
・林道の終点から先の木道は雪の踏み抜きに注意が必要です。
・白馬尻小屋は、現在まだ除雪作業中。今シーズンの白馬尻小屋がお目見えするのはまだ先ですが、近日中に登山者のためにトイレの小屋のみが先行オープンする予定です。
・大雪渓の始まりから、落石が目立ち始めてきていますので十分に注意して通行して下さい。現在一番落石が多いのは葱っ平に取り付く手前のところで、頂上側からの黒っぽい落石群跡が帯状に残っているのと杓子側からガラガラと音を立てて石が落ちてきていますので、いずれにも近づかないコース取りをして下さい。
・現在頂上側からの落石は収まっていますが、杓子側からは絶えずガラガラと音を立てて石が落ちてきていますので注意が必要です。落石帯には近づかないようにして下さい。
・落石帯を抜けるといよいよ葱っ平の登りになります。一部夏道が露出していますが、ほとんどの方はその脇の雪を直登していました。急傾斜の登りですので、休憩される際やあまり雪に慣れていない方は夏道に取り付いて下さい。
・上部で夏道露出部分を杓子側に回り込みます。そしてその先小雪渓はさらに傾斜が急ですので、滑落しないように慎重に登っていって下さい。まだ小雪渓のトラバースのステップは切ってありますが、特に下りではアイゼンをつけて慎重に下るようお願いします。※この時期最大の滑落危険箇所です。
・小雪渓をクリアーすると傾斜が緩やかになりますので、やっとほっと一息つけます。杓子岳の雄姿を見ながらしばしの休憩できます。
・そこから先は夏場のお花畑を右に回り込むように進みます。ガスっていると真っ直ぐ登っていきがちですので、注意して下さい。村営頂上宿舎経由で稜線に出ます。
・稜線に出れば、白馬山荘までもう少しです。
登山装備
雪に対応する装備が必要です。8本爪以上のアイゼンとピッケルの用意を。防寒装備は必携です。アイゼンは最低でも6本爪以上をお持ち下さい。
注意点
登山に際し、もうしばらく冬山に準じた心づもりをお願いします。装備と天気状況の把握、登山道の状況などよく調べた上で、安全登山でお願いします。
雨天での登山はよくよく落石の判断が遅れたり、ルートを間違ったりとリスクが高まります。
登山の原則、早出早着で安全登山を心がけましょう。
お知らせ
白馬山荘HP
http://www.hakuba-sanso.co.jp/
本年の営業は4月28日~10月17日。7月の週末を中心に予約が入っています。
宿泊予約・お問い合わせ(株)白馬館 電話0261-72-2002
2015年 関連山小屋開設期間は以下の通りです。
白馬山荘 4/28(火)~10/17(土)
五竜山荘 4/28(火)~5/6(水)6/20(土)~10/17(土)
白馬大池山荘 6/27(土)~10/11(日)
白馬鑓温泉小屋 7/15(水)~10/3(土)
白馬尻小屋 7/11(土)~10/3(土)
キレット小屋 7/3(金)~10/3(土)
栂池ヒュッテ 4/25(土)~5/5(火)6/1(月)~10/24(土)
●イベント
・ツクモグサ&ウルップソウ花祭り 6月20日(土)~6月30日(火)
ツクモグサを本州で見れるのは、八ヶ岳と白馬岳。他では北海道に分布するだけの希少な植物。この時期にしか見られません。期間中にツクモグサの写真の展示、甘酒の振る舞い、ツクモグサの記念スタンプ設置、記念品プレゼントなど。
まだゆとりあります。
昨年の今頃の様子は?
2023年の営業は4/29から(宿泊要予約)。入山には前爪のあるアイゼンやピッケルなど雪山登山装備必要2023.04.25
大雪渓は融雪早目。踏み抜き、落石に注意。前爪のあるアイゼンやピッケルなど雪山登山装備必要2023.05.11
大雪渓は踏み抜き、落石に注意。急傾斜あり前爪のあるアイゼンやピッケルなど雪山登山装備必要2023.05.19
雪に対応できる装備必要。大雪渓上部からは降雪することもあります。視界不良時の入山は慎重に2023.05.24
白馬山荘周辺の過去の様子
白馬山荘
- 電話番号:
- 0261-72-2002
- 連絡先住所:
- 長野県北安曇郡白馬村北城6307-ロ 白馬館