妙義の岩峰群を飾る絢爛豪華な紅葉絵巻。知る人ぞ知る裏妙義の「もみじ谷」を訪れる

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岩峰で人気の妙義山は、紅葉でも人気があります。その妙義山の北の裏妙義エリアにも、通称「もみじ谷」と呼ばれる人気の紅葉スポットがあります。

 

岩峰連なる妙義山の稜線を背景に燃え立つ紅葉

 

岩峰立ち並ぶ妙義山は紅葉の名所として名高く、シーズンには多くの人出で混み合うこともしばしば。他方、丁須の頭など岩稜が連なる裏妙義と呼ばれる北側の縦走路は閑散としていることも多い場所です。知る人ぞ知る紅葉の絶景ポイント、通称「もみじ谷」は11月中旬以降にピークを迎えます。タイミングが合えば、じっくり豪華絢爛の紅葉を楽しめること請け合いです。

 

モデルコース:国民宿舎跡~女道~三方境~もみじ谷~国民宿舎跡

裏妙義地図

コースタイム:4時間15分

⇒裏妙義周辺の地図


 

旧国民宿舎裏妙義の駐車場に車をおいて出発。しばらくは川沿いの林道沿いを歩きます。岩峰に朝陽が当たり始めるのを眺めながら、女道入口より、三方境への登山道を登ります。落ち葉に敷き詰められた雑木林の中を上り詰めると、紅葉の木が一面の斜面に出ました。こちらも「もみじ谷」といって良い場所ですが、残念ながらピークは過ぎたようでした。縦走路に出て、谷急山への分岐で一休み。時間の余裕があったので、谷急山への稜線を少し登ってみます。かなりの急登が続き、984mのピークを目前にして引き返します。

谷急山への分岐。高度差200mの急登で谷急山頂上に至る

 

いよいよ三方境から、烏帽子岩や丁須の頭へ続く岩稜の分岐を右に進み、巡視道を「もみじ谷」へと入っていきます。

三方境の標識。丁須の頭へは岩稜が連なる

 

標高700m付近でしょうか、谷筋に真っ赤に紅葉したモミジの林が見えてきます。進行方向には表妙義の相馬岳をはじめとする岩峰がギザギザの鋭い歯のように立ち並んでいます。

絢爛豪華な紅葉の絵巻物が広がる「もみじ谷」

 

ちょうど傾き始めた陽光が、赤い葉をきらめかせるように降り注ぎます。感動の一瞬です。まさに豪華絢爛の絵巻物を見るかのようでした。思わずその場にたちすくんで、いつまでもとどまっていたいという気持ちがわき上がります。しばらくその場に座り込んでずっと眺めてしまいました。

立ち去りがたい思いと感動の余韻に浸りながら、ゆっくりと旧国民宿舎への帰路をたどりました。

 

 

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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