日本アルプスに登るためのウェアの選び方 ミッドレイヤー・アウターレイヤー編

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日本アルプスに登るための登山ウェア選びの基本を紹介する連載企画。第2回は、ミッドレイヤーとアウターレイヤーの特徴と選び方を紹介する。

文=辻野 聡、監修=田中 敦

目次

ミッドレイヤーの選び方

保温性と通気性に優れるフリースがいちばん

ベースレイヤーの上に着用するのがミッドレイヤーだ。その重要な機能は「保温」すること。

ミッドレイヤーには、さまざまな種類があるが、好日山荘登山学校校長の田中 敦ガイドいわく、「フリースを選べば間違いはないです」。ただし、フリースにも多くの種類がある。厚いもの薄いもの、起毛しているもの起毛していないものなど多種多様だ。どんなフリースを選べばいいのだろうか。

ミッドレイヤーのフリースは種類が多い。どこでどういう使い方をしたいのか明確になれば選びやすくなる
ミッドレイヤーのフリースは種類が多い。どこでどういう使い方をしたいのか明確になれば選びやすくなる

「フリースは適度に通気性があります。1着で対応可能な温度域が広く、気温や湿度が高くなっても熱がこもらないのでおすすめです。どれくらいの気温の場所に行くのか、自分が暑がりか寒がりか、適性を考えた上で最適な厚みのものを選んでほしいです。サーマルウェアとの組み合わせもポイントで、厚手のダウンジャケットを持っていくという人は薄手のフリースがいいだろうし、薄手のダウンで山小屋でしか使わないという人なら中厚手のフリースがいいでしょう」(田中さん)

メッシュ構造のフリース(写真上)と起毛製のフリース(写真下)。生地の質感がまったく異なっているのがわかる
メッシュ構造のフリース(写真上)と起毛製のフリース(写真下)。生地の質感がまったく異なっているのがわかる

また、最近のフリースは、保温性のほかにも、さまざまな機能を備えているモデルが多い。編み方を工夫してストレッチ性を出したり、ウールのように温度調節機能を備えていたり、ベースレイヤーから汗を吸い取って拡散させて乾燥させたり、汗のにおいを防ぐ消臭効果をもたせたり・・・。保温性を第一に考えた上で、自分の登山スタイルや体質によって適した機能を選べるようになると、より快適に登山が楽しめるようになる。

なお、ウールのシャツ(山シャツ)を愛用している人もいる。山シャツは風に強く体温調節をしやすいというメリットがあるが、フリースに比べるとやや保温性が落ちる。また、冬季に中綿が化繊のミッドレイヤーを使うというのは一般的だが、水抜けが悪いので、気温、湿度が高くなる夏季には向いていない。

田中さんchoice

ミレー
ミドラーメッシュ フーディ

ミレー/ミドラーメッシュ フーディ

通気性の優れたメッシュ構造の薄手のフリースです。体のラインに沿ったスリムなフィットと高い伸縮性によって、動きやすさと重ね着のしやすさを実現しています。微細な凹凸模様の薄手フリース生地は適度な断熱性と優れた通気性を備え、衣服内を温めすぎず、そしてかいた汗を素早く拡散し、常にドライを保つのに役立ちます。暑い夏や運動量の多い登山におすすめです。

価格 11,990円(税込)
サイズ XS〜XL
カラー 3色
詳細を見る

ザ・ノース・フェイス
マウンテン バーサ マイクロジャケット

ザ・ノース・フェイス/マウンテン バーサ マイクロジャケット

軽量で優れた保温性をもつフリースです。リサイクルフリース素材を使用した、環境問題に配慮した商品です。静電気の発生を抑える静電ケア設計です。パックのショルダーハーネスが当たる肩部分は、耐摩耗性に優れたナイロン生地を使用しています。森林限界を超える登山シーンから肌寒い季節のキャンプまで、シーンを問わず幅広く活用できる中間保温着です。

価格 12,650円(税込)
サイズ S〜XXL
カラー 5色
詳細を見る

アウターレイヤー

雨と風を防ぐ防水・防風性と湿気を拡散させる透湿性が重要

アウターレイヤーの基本的な役割は、雨や風を防ぐことだ。

「標高の高い場所で冷たい雨に体が濡れてしまうと、体温を奪われます。風は、風速が1m上がると体感温度が1度下がると言われており、冷たい風にさらされ続けると体温が下がってしまいます。雨と風に体温を奪われないためにも、アウターは欠かせません」(田中さん)

防水・防風機能に優れたアウターレイヤーの代表格が、レインウェアだ。防水性をなくして風だけを防ぐことに特化したウインドシェルも存在するが、登山に一着持っていくなら、雨と風の両方を防ぐことができるレインウェアがいい。レインウェアを選ぶ時の注意点はなんだろうか。

「レインウェアは、裏側の縫い目から水が染み込まないようにシームテープが貼られている完全防水のものを選ぶことが重要です。撥水加工がされているウインドブレーカーなどは日帰りの低山ではいいですが、完全防水ではないので気象条件の厳しい日本アルプスでは大雨に対応できません。日本アルプスに登るなら完全防水のレインウェアをそろえましょう」(田中さん)

山の天気は変わりやすいので、天気予報が晴れでもレインウェアは必携。ジャケットだけでなくパンツも一緒に購入しよう
山の天気は変わりやすいので、天気予報が晴れでもレインウェアは必携。ジャケットだけでなくパンツも一緒に購入しよう

レインウェアで防水・防風機能と並んで重要なことが、ウェア内の蒸れを外に放出する透湿性の高さだ。

「レインウェアは透湿性も重要です。かいた汗は水蒸気となって衣服内に留まります。この水蒸気をウェア内にとどまらせておくと汗冷えの原因になるので、外に出す必要があります。前提としてレイヤリングで汗をなるべくかかないようにすることが必要ですが、気象が変動が激しい日本アルプスの登山では難しいです。防水・防風も大切ですが、汗の水蒸気を外に出す高い透湿性も忘れてはなりません」(田中さん)

レインウェアには、ゴアテックスをはじめ、いろいろな防水透湿素材が使われている。機能的にはそれぞれ特徴はあるが、好日山荘などの登山用品店の店頭に並んでいるメーカーのものなら、基本的にはどれを選んでも安心だ。

田中さんchoice

ミズノ
メンズ ゴアテックスパックライト レインウェア

ミズノ/メンズ ゴアテックスパックライト レインウェア

好日山荘限定モデルの新作レインウェア。防水性30,000mm以上、透湿性30,000g/㎥/24hという高い数値を誇ります。2層GORE‑TEX ファブリクスは軽さと持ち運びやすさを実現します。表地は75デニールポリエステルと耐久性を備えつつ、厚みを感じさせないしなやかな着心地が特長です。これだけの機能をそろえながら比較的リーズナブルな価格なのも魅力的です。

価格 39,600円(上下セット)
サイズ M〜XL
カラー 3色
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ミレー
ティフォン 50000 ストレッチ ジャケット

ミレー/ティフォン 50000 ストレッチ ジャケット

高い防水透湿性と快適な着心地を両立した高透湿防水ジャケットです。独自に開発された7ミクロンの極薄メンブレン「DRYEDGE TYPHON 50000」は、登山向けとしても充分に高い耐水圧(20,000mm)と、50,000g/㎡/24hという最高度の透湿性を両立し、あらゆる天候で衣服内を常にドライに保ちます。適度なストレッチ性を備えアクティブな動きのなかでも常に自然な着心地を実現します。

価格 31,900円(税込)
サイズ XS〜XL
カラー 5色
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取材にご協力いただいたお店

好日山荘 池袋西口店

所在地 〒171-0021 東京都豊島区西池袋3丁目27-12 池袋ウエストパークビル
営業時間 11:00~20:00
定休日 なし
公式サイトを見る 好日山荘 池袋西口店

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プロフィール

田中 敦(たなか あつし)

日本はもちろん海外での登山ガイドの経験も豊富。好日山荘登山学校校長。好日山荘池袋西口店勤務。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイド ステージⅡ、Nature Instructors Academy of Japan所属

日本アルプスに登るためのウェアガイド

登山初心者にもわかりやすい登山ウェア選びの基本を、好日山荘登山学校校長の田中敦さんが解説。これを読めば、登山ウェア選びの悩みは即解決!

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