南アルプス南部調査人、四国遍路を歩く⑬結願のその先へ
弘法大師・空海が修行した地・四国と、ゆかりの八十八寺をお参りする巡礼・四国遍路。南アルプス南部を主なフィールドとして長らく山歩きに傾注してきた筆者が、数カ月にわたって通い続け、歩き遍路を結願(けちがん、すべての霊場を回り終えること)した。その記録とともに、登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスをつづっていく。
写真・文=岸田 明 トップ写真=夜の高野山・根本大塔
結願後について
第八十八番大窪寺(おおくぼじ)に到着し、四国八十八ヶ所霊場・遍路の旅は無事に結願(けちがん)。筆者が結願できたのもひとえに、大師さまのご加護によるものだと思う。さて所要日数だが、本連載の区切り方に従うと、机上計算では全体13区間(大月遍路道経由)、総日程は37泊50日、総距離約1149kmだ。一方筆者の実踏結果は9区間(大月遍路道経由)で、総日程42泊51日、総距離約1252kmであった。
実踏の宿泊数が机上計算よりも多くなったのは、区切り回数の差による。意外にも、区切り回数が多いほど合計宿泊数は減るのである。実踏の合計日数が机上計算よりも1日多かったのは、竜串(たつくし)観光に1日あてたことによる。総距離は差が大きすぎるが、実踏では宿への道のりが入っているほか、霊場内お堂巡り・周辺観光・食事移動なども含めたGPS計測値によるからだろう。
筆者は区切り打ちで歩いたが、本連載の歩行ペースで通し打ちで歩く場合、遍路宿が散在している問題があり任意の地点で宿泊できないため、それほど日数は減らず理論的には45日程度で結願できるのではないかと考える。
さて結願した後どうするか。筆者はデータを持ち合わせておらず、歩きも含めて移動手段は各人各様だが、多くの遍路は徳島県に戻り、四国周回のループを完結させているのではないかと思われる。また加えて高野山にお参りし、大師に「同行二人」の感謝と、結願報告することが習わしとされている。
今回は、これまで続けてきた歩き遍路コラムの締めくくり第一弾として、第八十八番大窪寺(おおくぼじ)から第一番霊山寺(りょうぜんじ)への道と高野山参拝に関連する情報をお伝えしたい。
プロフィール
岸田 明(きしだ・あきら)
東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。
四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/歩き遍路旅の魅力と計画アドバイス
登山経験豊富な筆者ならではのアドバイスと、その記録
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