| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.04.26
新緑の美しい季節となりました。寒暖差あり対応できる装備で。入山前に計画を立て無理ない登山を
早春の山を最初に彩る花の1つが「カタクリ」だ。赤紫の花びらを、下向きに大きく広げながら咲く姿は、多くの登山者から愛されている(花びらの色は白いものも稀にある)。
その名前の通り、片栗粉が取れる植物としても知られ、球根は良質のデンプンを多く含んでいる。
カタクリの生態は実にひたむきで、応援したくなるような生き方をしている。ブナ林などの落葉樹林の林床で、冬の間は落ち葉の下で寒さにじっと耐え、まだ樹木が目覚める前の早春に芽を出して葉を出し、花を咲かせる。
春が深まり周囲の草木や樹木に葉が覆い茂り光が差さなくなると、葉を落として再び土の中で眠りにつく。そして体力を温存しながらじっと春を待つ。まさに早春限定の草であり花なのだ。
そして種から花が咲くまでに、最短でも7年もかかることも応援したくなる理由だ。1年目は芽を出すのみで地上部は枯れる。2年目~6年目は春に葉を1枚だけ出すのみ。7年目にようやく葉を2枚出して花を咲かせる。7年かけて、じっくりと球根に栄養をためて、花を咲かせる準備をするそうだ。
花を付けた翌年に必ず花をつけるとは限らず、栄養が足りなければ、翌年は葉だけを1枚出して、翌年に備えるという。そんな、ひたむきで可憐な花なのだ。
カタクリは、かつては里山であれば簡単に見つけることが出来たそうだが、現在はその姿を見る場所は少なくなっている。林業と共存することで生息地を広げていたものの、森林の荒廃で笹などの別の草木に生息域を奪われたという。さらに乱獲も手伝って、群生地は少なくなっている。
場所によっては絶滅危惧種の指定を受けていて、植生地を整備することで守られている場所も少なくない。
そんな貴重なカタクリ群生地がある山を紹介する。
奥多摩では浅間嶺や海沢など数ヶ所でカタクリの群生地を見ることができるが、登山者に最も人気のあるのは御前山だろう。4月初旬から咲き始め、見頃は4月中旬~下旬。
咲く場所は大ブナ尾根の御岳山~御前山あたりで、可憐な花を多く見かける。シーズンの週末には山頂付近はカタクリを見る登山者で賑わう。
なお、カタクリの咲く頃は、山麓ではサクラやツツジの花が美しい時期で、春の花を満喫する登山を広く楽しめる山となっている。
高低図
| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.04.26
新緑の美しい季節となりました。寒暖差あり対応できる装備で。入山前に計画を立て無理ない登山を
新潟県のJR上越線六日町駅のすぐ東にそびえる坂戸山は、随一のカタクリ群生地として知られる。雪が消えるかどうかの4月中旬から5月初旬は、登山コース中に麓から山頂までカタクリの群生地が点在する。約3時間の周回コースのほとんどで、カタクリの花を楽しむことが出来る。
標高634mと小さな山だが自然豊かな場所で、カタクリ以外にもさまざまな春の花を楽しめる。
なお、六日町駅周辺は、坂戸山以外にも六万騎山や飯縄山古墳などもカタクリの群生地として知られる場所が点在するので、併せてこちらを訪れるのも興味深い。
高低図
新潟県の日本海に面した位置にある角田山は、バラエティに富んだ楽しみが待っている。登山中は海の展望が眩しく、晴れれば日本海を挟んで佐渡ヶ島がクッキリと見える。
雪が融けてカタクリが咲きはじめる3月中旬~4月中旬の角田山は山野草の宝庫。カタクリだけではなくユキワリソウほか、春の花が咲き乱れる。登山コースも7つ用意されていて、さまざまなコース取りもできる楽しみが非常に多い山だ。
花と展望を楽しむなら、海抜0mからスタートする灯台コースがおすすめだ。
高低図
東北自動車道の佐野SAの隣、平野に浮かぶようにそびえるのが三毳山(みかもやま)だ。山全体が「みかも山公園」として整備され、四季を問わずハイカーで賑わう山だ。229mと標高は低いものの、稜線のミニ縦走が楽しめて人気も高い。
最北部は「カタクリの里」として整備され、一帯はカタクリ群生地となっている。カタクリの見頃は3月中旬から4月上旬。山全体を縦走しても2時間弱のコースなので、三毳山の自然をじっくりと楽しみたい。
高低図
福井県福井市の南、鯖江市との境界にある文殊山は、文殊菩薩が祀られている信仰の山で、山中にさまざまな史跡が残る。霊泉、御神木、山姥の洞窟、胎内くぐりの大岩など、見どころも多い。
4月初旬~中旬はカタクリのほか、山麓・山腹のサクラも咲き出し、さまざまな花が楽しめる。
高低図
愛知県との県境、岐阜県可児市にある鳩吹山。カタクリの群生地は登山口付近にあり、あまり登らなくても見られるので登山者以外にも人気がある。
標高313mと低山ながら山頂は展望がよく、木曽川や遠くに御嶽山やアルプスの山も望める。
サクラやツツジなども合わせて楽しめるので、花期は多くの登山者で賑わっている。登山口周辺に駐車場は複数あるが、シーズン中は満車になることもあるので、可児川駅からのアクセスがおすすめだ。
継鹿尾山方面へ縦走もできるので、体力に合わせて計画してみてもいいだろう。
高低図
日本神話に登場する頭と尾が8つある大蛇、ヤマタノオロチ。その伝説が残る場所が船通(せんつう)山だ。山頂には、大蛇を倒して尾から出てきたとされる天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)の記念碑が立っている。春には山頂の群落でカタクリが一面に咲き誇る。
鳥取と島根の県境に位置し、どちらの県からも登山道が整備されている。
島根県側のコース情報はコチラ。
高低図
岡山と鳥取の県境に位置する毛無山(けなしせん)・白馬山は、自然豊かで展望の山として知られる。季節を問わず楽しめ、春の花、初夏の新緑、秋の紅葉、さらには雪の季節でも雪山登山・スノーシューハイキングが楽しめる。
春はカタクリの山として人気がある。カタクリは4月の中旬頃から5月初旬に、毛無山と白馬山の稜線の途中「カタクリ広場」に群生していて、カタクリの可憐な姿とともに、大山などの中国地方の山々の展望ほか、晴れれば日本海や壱岐まで見渡せる。
高低図