新潟県・坂戸山で残雪に映えるカタクリの群舞を楽しむ

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豪雪地帯、新潟県南魚沼市の坂戸山。残雪が融け始めるといっせいに春の花々が目を覚まします。とりわけカタクリの群生が見事です。

坂戸山山頂。八海山、中ノ岳、巻機山など越後の山々の大展望が広がる(写真=奥谷 晶)

新潟県六日町駅からほど近い坂戸山は、戦国時代には山城があった歴史もあり、地元の住民から愛されている山です。標高634mと低山で、毎日のように登っている人もいるそうです。
雪が融けると、カタクリやサクラなど花の名所となり、県内外から多くの人が訪れます。

薬師尾根コースから城坂コースと花を楽しむ周回コースを紹介します。

モデルコース:薬師尾根登山口~薬師尾根コース~坂戸山~城坂コース~薬師尾根登山口

コースタイム:約3時間

残雪の間に咲き誇る花々を愛でる

2018年4月12日、くもりのち晴れ。豪雪地帯にあるだけに、坂戸山では4月になってもたっぷりの残雪が残っていました。ここ数日の陽気でようやく一気に雪が消え始め、春の陽光を浴びて一斉に花々が開花し始めたようです。

雪が消えて使えるようになった薬師尾根登山口の駐車場からスタート。鳥坂神社脇から登り始めます。薬師尾根コースは急傾斜の直登コースですが、南に面しているため、まったく雪がありません。麓からの登山道沿いには石仏が点在し、道案内をしてくれるかのようです。麓のオオヤマザクラも満開で迎えてくれます。

麓ではオオヤマザクラが満開(写真=奥谷 晶)

尾根筋に入ると登山道の階段の両脇はそこかしこにイワウチワの群生が広がり、まさしくイワウチワロードという様相でした。

薬師尾根に咲くイワウチワの群落(写真=奥谷 晶)

撮影しながらも1時間半あまりでお堂のある山頂へ。ショウジョウバカマがあちこちで咲いています。山頂からは残雪の八海山、中之岳の稜線、巻機山を望むことができ、眼前に魚沼盆地が広がります。頂上から少し足を伸ばして631mのピークまでピストンします。関東の低山ではあまりみられない、尾根に咲くカタクリの群生を見ることができます。残雪の越後の山々がよい背景となって可憐さが目立ちます。

頂上に咲くショウジョウバカマ(写真=奥谷 晶)

下りは、沢沿いに雪が残る城坂コースをジグザグに下ります。こちらはまさにカタクリロードです。登山道の一部に残雪に覆われている部分もありますが、歩行には問題ありません。沢には大きく穴が開いた雪渓が残っています。雪の消えた斜面には一斉に開花したカタクリの群落が現れ、花と雪の見事な色彩のハーモニーを存分に楽しむことができました。午後になって日が差し始め、カタクリのピンクや赤紫色の色彩を一層際立たせてくれました。

雪渓の残る沢沿いに広がるカタクリの群落地(写真=奥谷 晶)

さらに一本杉の分岐から家臣屋敷跡まで下ると、そこは一面に白と青紫のキクザキイチゲの群落が咲き始めていました。

家臣屋敷跡のキクザキイチゲ(写真=奥谷 晶)

 

坂戸山データ

 

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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