初心者から楽しめる、関西の日帰り登山コース

伊吹山山頂(写真:大山クガイソウさんの登山記録より)
文/鈴木志野
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3~4時間で気軽に登れる、滋賀・京都・奈良・大阪・兵庫にある人気・定番コース6選

週末にさくっと山歩きを楽しみたい、登山を始めたばかりなので近場の山にいろいろ登ってみたい、子どもと一緒にハイキングをしたい。そんな関西エリアのハイカーにぜひオススメしたいのが、今回ご紹介する6コース。

登山時間はいずれも約3~4時間で、登山口は駅やバス停に近くアクセスも便利。さらに危険箇所もなく、安心して山歩きを楽しめる。

だが近場の低山とはいえ、日本百名山あり、賑わう街並みを見下ろす都市山あり、史跡巡りを楽しむ山あり、雪山歩きの人気の山あり、下山後の観光も楽しめる山ありと、バラエティも豊富。ぜひ日帰り登山の計画を立てる際の参考にしてほしい。

京都・大文字山にある火床と展望(写真:ユウジさんの登山記録より)

日本百名山・花の名山として人気の滋賀県最高峰、伊吹山(滋賀)

標高1377メートルで滋賀最高峰の伊吹山。1300種の植物が育ち、山頂のお花畑は滋賀県指定の天然記念物で、周辺は琵琶湖国定公園に指定される。とくに7月下旬~8月中旬の花の最盛期には賑わい、シモツケソウのピンクの花が絨毯のように美しく広がる。

シモツケソウの花畑(写真:hikone-isayannさんの登山記録より)

伊吹登山口バス停から登山口へ進み、まずはここで入山協力金を支払おう。旧スキー場の斜面を登り、山頂が見え始める3合目付近を過ぎ、草地の斜面を進むと避難小屋がある。その後、8合目を過ぎると石灰岩が露出した急登に。登り切った山上台地のお花畑を歩くと、やがて日本武尊の石像や山小屋のある山頂に到着し、琵琶湖や比叡山、御嶽山、日本アルプス、鈴鹿山脈などの眺望が楽しめる。帰路は東登山道を進み、伊吹山バス停に下山する。

夏季は樹林が少ないため日よけや暑さ対策を忘れずに。

9合目付近の展望(写真:大山クガイソウさんの登山記録より)

行程・コース

最適日数:  日帰り 4時間10分
総歩行距離:  1m  上り標高: 1m  下り標高: 1m
伊吹登山口バス停・・・一合目・・・五合目・・・伊吹山・・・伊吹山バス停

高低図

関連する登山記録

京の街の大パノラマを楽しむ送り火の山、大文字山(京都)

比叡山から続く東山三十六峰の第11峰如意ヶ岳の西峰にあたる大文字山。京都の夏の風物詩、五山送り火の大の字の山として知る人も多いだろう。地元では早朝登山や京都一周トレイルのコースとしても親しまれ、標識や道も整備されているので歩きやすい。

火床から京都市街(写真:ヤマちゃんさんの登山記録より)

まずは地下鉄蹴上駅から「東山30」と標識が出ているトンネルねじりまんぽへ。さらに日向大神宮の境内を抜け、石段と急坂を登ると七福思案処に到着する。そこから標識「39」へと山科盆地を見下ろしながら主尾根を進み、近くに見晴らし台もある分岐「41」へ。そして大文字山と鹿ヶ谷の分岐「45」を過ぎ、やがて標高466メートルの山頂に到着する。開けた山頂からは京都市内や大阪方面も望めるが、大の字まで下って市街を一望する大パノラマを楽しみたい。

帰りは銀閣寺方面に下るので、哲学の道と合わせて散策するといいだろう。

火床(写真:ヤマちゃんさんの登山記録より)

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間20分
総歩行距離:  6,300m  上り標高: 413m  下り標高: 413m
行程: 地下鉄蹴上駅・・・日向大神宮・・・七福思案処・・・道標「東山45」・・・大文字山・・・大文字・・・銀閣寺・・・銀閣寺バス停

高低図

史跡と寺社巡りを楽しむ釈迦岳・ポンポン山コース(大阪・京都)

京都と大阪の境にある釈迦岳とポンポン山。ポンポン山のユニークな名前は、山頂で足を踏むとポンポンと音が響くことから来ているという。周辺には史跡や社寺が多く、登山・下山口の善峰寺は西国三十三所観音霊場の第20番札所で、天然記念物「遊龍の松」でも知られる。他にも、サクラの名所の勝持寺や春日造本殿の大原神社など、ぜひ訪れてみたい。

善峰寺バス停から東海道自然歩道を右に見ながら山道へ。いくつか谷を渡り、急登を進むと京都市街が望める展望地へ出る。さらに、おおさか環状自然公園の道標を過ぎると、ベンチのある釈迦岳へ到着する。そこからは杉谷への分岐を過ぎ、ツバキやアセビが多い緩やかな道を進み、階段を登るとポンポン山山頂だ。

広々とした山頂からは生駒山や京都市街、丹波の山並みまで望め、三等三角点には正式名称の加茂瀬山と書いてある。下山は杉谷の分岐まで戻り、杉谷の集落へと進む左のルートを取ろう。

オススメの季節はサクラが咲く4月から新緑の初夏、11月には善峰寺の紅葉が美しい。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間25分
総歩行距離:  6,700m  上り標高: 493m  下り標高: 493m
行程: 善峰寺バス停・・・釈迦岳・・・杉谷分岐・・・ポンポン山・・・杉谷分岐・・・杉谷・・・善峰寺バス停

高低図

美しいブナ林を歩く大阪を代表する人気の名山、金剛山(大阪)

金剛山地の最高峰、標高1125メートルの金剛山。葛木岳、湧出岳、大日岳の三峰からなり、名前の由来は金剛転法輪寺の建立による。四季を通じて多くのハイカーが訪れるが、毎日登山しライブカメラで記念ポーズを取るのが定番という強者も。ここでは道幅が広く、売店やトイレが要所にある初心者向けコースの千早本道を紹介する。

金剛登山口バス停から千早本道に入り、千早城跡、千早神社へ。神社の右横を下ると長い階段が続き、新道と旧道の分岐へ。ここはブナ林が広がる右の新道を進もう。やがて金剛山錬成会員の登頂回数の看板や転法輪寺社務所、売店のある国見城跡広場に着く。広場からは大阪平野が望め、休憩にオススメだ。

葛木神社(写真:K-TANさんの登山記録より)

そこからさらに進み、葛木神社へ。ここが最高点になるが、神域で立ち入り禁止になっている。下山は一等三角点のある1112メートルの湧出岳、伏見峠方面へ。渓流沿いに樹齢約年の千早のトチノキが見えたらゴールの金剛山ロープウェイ前バス停まですぐだ。

山頂(写真:K-TANさんの登山記録より)

オススメのシーズンはサクラの4月上旬からブナの新緑の5月、秋の黄葉も魅力的。厳冬期の霧氷見物も人気が高いが、アイゼンが必要になるのでレベルはややアップする。ちなみに転法輪寺にある古木の金剛桜は5月上旬に薄緑の珍しい花を咲かせる。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間25分
総歩行距離:  7,100m  上り標高: 737m  下り標高: 590m
行程: 金剛登山口バス停・・・千早城跡・・・転法輪寺・・・ダイヤモンドトレール合流点・・・湧出岳(金剛山)・・・ダイヤモンドトレール合流点・・・伏見峠・・・ロープウェイ前バス停

高低図

史跡や植物の群生を楽しむ大和葛城山(大阪・奈良)

金剛生駒国定公園のほぼ中央に位置する標高959メートルの大和葛城山。山頂は広い草原状の台地で、秋には一面ススキの銀穂が美しい。一方、4~5月には山肌を赤く染めるヤマツツジ、夏にはリョウブが個性的な白い花をつけ、山道を美しく彩ってくれる。ルートは四方にいくつも延びているが、ここでは最短で山頂に到着するコースを紹介する。

山頂直下のツツジ園(写真:sirouさんの登山記録より)

スタートは水越峠のバス停で、すでに標高は510メートル。ここから北に延びるダイヤモンドトレールを進んでいく。いきなりの急坂だが、後ろには金剛山、そしてリョウブやヤマツツジが登山者の目を楽しませてくれる。パラグライダー離陸場を右に過ぎてさらに登ると、コーヒー休憩や日帰り入浴もできる葛城高原ロッジのある山頂に到着する。下山は弘川城跡、そして西行法師の墓があり、春には1500本のサクラが咲き誇る弘川寺へ。

サクラやヤマツツジが咲く春と、コナラが黄色に色づく秋が最適なシーズン。冬には軽アイゼンを用意しよう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間50分
総歩行距離:  10,000m  上り標高: 777m  下り標高: 955m
行程: 葛城登山口バス停・・・鎖場・・・林道合流点・・・葛城山ビジターセンター・・・大和葛城山・・・葛城山ビジターセンター・・・林道合流点・・・五ツ辻・・・碓井谷林道・・・弘川城跡巨石・・・弘川寺・・・河内バス停

高低図

霧氷の山として人気の関西のマッターホルン、高見山(奈良)

台高山脈の北端に位置する標高1248メートルの高見山。円錐型の山容のため、関西のマッターホルンとも呼ばれ、とくにブナの木が霧氷をまとう冬は一層その姿を美しく見せてくれる。もちろん他の季節でも、ブナの新緑や紅葉、アジサイの花など、折々の景色がハイカーを楽しませてくれる。

山頂の祠(写真:しわっちさんの登山記録より)

登山口は高見山登山口バス停近く。そこから伊勢南街道の石畳の道を進み、撞木松や古市場跡などの史跡を過ぎ、小峠へ。ここからは林道になり、乳岩を経て平野道分岐に到着する。この後、山頂までの間には国見岩や息子岩、揺岩、笛吹岩と名づけられた岩が並び、やがて八咫烏建角命を祀る高角神社のある山頂に到着。展望台で360度のパノラマを楽しもう。帰りは平野道分岐まで戻り、たかすみ温泉のあるたかすみの里に下る。

冬は霧氷で人気(写真:犬山好人さんの登山記録より)

賑わうシーズンは冬季だが、軽アイゼンではなく、6~8本爪のアイゼンが必須だ。

行程・コース

最適日数:  日帰り 4時間50分
総歩行距離:  8,083m  上り標高: 957m  下り標高: 949m
行程: 高見山登山口(08:00)・・・小峠(09:10)・・・高見峠(09:40)・・・高見山(10:40)・・・平野分岐(11:15)・・・高見杉避難小屋(11:55)・・・たかすみ温泉(12:50)

高低図

ロープウェイとケーブルを使って初心者から楽しめる西六甲、摩耶山(兵庫)

神戸の街を見下ろすように東西に延びる六甲山地。その西端にあるのが摩耶山だ。標高は702メートルだが、海岸からわずか8キロメートルにあり、その険しい山容がうかがい知れる。ここでは景勝地の布引ノ滝や飛び石で川を渡るトエンティクロス、下山にロープウェーを使う初心者向けのコースを紹介する。

スタートの新神戸駅から北に進み、布引ノ滝へ。探勝路に沿っていくつか滝をたどり、やがて尾根道を行くと、展望所に到着する。さらに渓谷沿いに進み、国重要文化財の五本松堰堤、茶屋が建ち並ぶ市ヶ原を過ぎ、渓谷路のトエンティクロスに。森林植物園東口まで進んだら、歴史の道・徳川道をたどり穂高湖に出る。さらに摩耶別山、摩耶山山頂に到着する。下山は神戸市街や大阪湾を一望し、日本三大夜景の展スポットの掬星台からロープウェー・ケーブルを使おう。

このコースは主に渓谷路なので、雨後の増水には十分注意が必要だ。

布引の滝(写真:みんたいさんの登山記録より)

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間20分
総歩行距離: 
行程: 新神戸駅・・・布引ノ滝雄滝・・・市ヶ原・・・森林植物園東口・・・穂高湖・・・掬星台・星の駅

高低図