ひとり温泉登山のプランニングと必須アイテムを紹介。無理せず快適に楽しむコツとは?

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。今回は、特別編として、ひとり温泉登山の計画のコツを教えてもらいました! 2023年の年間計画を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

写真・文=月山もも

 

目標や年間計画は立てないが「テーマ」を決める

年が明けてひと月ほど経ち、今年の登山の目標や年間計画を考えた方も多いかもしれませんね。

実は私は「今年の夏はこの山に登りたい!」とか「○座登頂したい」というような具体的な目標は、あえて持たないようにしています。目標を持つと「なんとかして達成したい!」と思ってしまい、体調・天候・装備が万全でないときでも無理を押して登ってしまうことがあるからです。

自分以外頼れる人のいないひとり登山では無理をしたくないし、「ちょっと体調微妙だから今日はやめた」と誰にも気を遣わずに中止できるのがひとりの良さでもあると思います。無理なく気ままにひとり登山を楽しめるように、あえて目標は持たないのです。

ただ「今年はこんな登山をしてみたいな」というような、ゆるいテーマを持つことはあります。たとえば「テント泊登山を多めにしたいな」とか「食事がおいしい山小屋に泊まりたい」というような。

最近だと「気軽に登れる低山をもっと探して登ろう」というテーマを持っていて、それで湯河原の「幕山」や、伊東の「大平山」に登りました。特に梅の盛りの幕山はすばらしかったです。

 

これまでも湯河原や伊東の温泉には何度も泊まっていましたが、あまり低山に興味がなかったので近くに山があるかどうかを調べたことがなかったのです。新しいテーマを持ったことで山の選択肢が広がり、旅の楽しみも増えました。

 

土日休みなら「ターミナル駅で前泊+現地1泊」もおすすめ

計画を立てるのは1〜2ヶ月前。宿や交通機関を予約するタイミングです。

金曜日や月曜日に休暇を取って「山で1泊、温泉宿で1泊」の2泊の旅をすることもたまにはありますが、頻繁には休めないので基本的には土日の2日間で旅の計画を立てることが多いです。

「山で1泊」「温泉宿で1泊+日帰り登山」などパターンはいくつかありますが、最近多くなったのが「金曜日の最終の電車で現地のターミナル駅まで移動し、ビジネスホテルに1泊して土曜日の早朝に登山口へ移動」というパターンです。

以前なら夜行バスを使っていたのが、コロナ禍でバスが減便されたことで苦肉の策として取った方法でしたが……バス移動よりお金はかかるけど、登山前夜にしっかり睡眠が取れるのは大きかったです。

昨年は福島県の郡山駅まで金曜夜に移動し、翌日早朝に猪苗代駅に移動して磐梯山に登りました。

 

早朝から登山開始したので午後早めの時間に下山し、土曜日の15時には予約していた温泉宿にチェックインできました。

登山前後に温泉宿に泊まる際は、できれば下山後に泊まるほうが疲れを癒やせるし、夕食のお酒も気兼ねなく飲めるので好きです。ですが前泊は前泊で、登山口まで送ってもらえたり食べたぶんのカロリーを山で消費できるので、悪くはないと思います。

 

天気が悪くて登れないときも楽しめる宿を選ぶ

宿を予約していたけど天気予報が悪くて登山は難しそう……と、1週間ぐらい前にわかってしまうこともあります。そんなときも交通機関に影響するほどの悪天候でなければキャンセルせず、温泉宿での滞在をじっくり楽しむようにしています。

そのために宿選びの段階から「食事」と「温泉」の少なくともどちらかは魅力的な宿を選ぶようにしています。

尾瀬檜枝岐温泉に泊まって会津駒ヶ岳に登るのが好きで、これまで何度も計画していますが、残念ながら雨で登れなかったこともありました。

 

そんなときも旅館ひのえまたで地酒と郷土料理を楽しみ、宿のお風呂はもちろん、共同浴場で湯めぐりもして温泉旅を満喫しました。

また、八幡平にドラゴンアイを見に行ったときも天気は思わしくなく、きれいなドラゴンアイは見ることができませんでしたが、宿に着いたら晴れてきて野天風呂を楽しむことができました。

 

同じエリアに「食事」と「温泉」が良さそうな宿が複数あって迷ってしまう場合は、登山口までの送迎サービスがあるなど、登山者に優しそうな宿を選ぶことが多いです。

 

宿で快適に過ごすための荷物は削らない

登山中には必ずしも必要ではありませんが、宿でゆっくりお茶やコーヒーを楽しむためにステンレスのマグは必ず持っていきます。

 

宿での滞在中や移動中の読書にiPad mini、iPadに接続して使用するBluetooth接続のキーボードも欠かせません。温泉旅館の浴衣はちょっと落ち着かないので、部屋着としてTシャツ&パンツも持参します。山では必要ないものもけっこう持っていってしまいますね。

そのため、登山中はできる限り、コインロッカーや観光案内所、宿泊する宿などに登山に必要ない荷物を預かってもらうようにしています。

槍ヶ岳にテント泊登山した後に温泉宿に泊まった際も、登山後に温泉宿で使う荷物は上高地の荷物預かり所で預かってもらい、登山中も下山後も快適に過ごすことができました。

 

温泉宿でも山でも楽しく快適に過ごせる旅のプランを、これからも模索していくと思います。

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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