ドラゴンアイを求めて八幡平を歩き、藤七温泉彩雲荘で絶景露天風呂に浸かる

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第29回は八幡平と絶景の秘湯・藤七温泉彩雲荘へ。

写真・文=月山もも

岩手県と秋田県にまたがる高原台地、八幡平。

紅葉が美しいことで知られますが、5月下旬から6月上旬にかけて沼に積もった雪が溶ける際に目玉のように見えることから「ドラゴンアイ」と呼ばれ、人気を集めています。

美しいドラゴンアイに出会うのはなかなか難しいと聞いていましたが、1度は見てみたいと思い、6月上旬に八幡平を歩く計画を立てました。

 

霧と残雪の八幡平、開眼はもう少し先

朝1番の新幹線で盛岡駅に向かい、季節運行の「八幡平自然散策バス」に乗車します。1時間45分の乗車の後「八幡平頂上」停留所へ到着。

盛岡駅では薄曇りでしたが、厚い雲が垂れ込めていました。雨が降り出さないよう祈りながら登山口を出発。

歩き始めは舗装された歩きやすい道ですが、間もなく登山道にも残雪が現れ始めます。

日当たりの良い場所には鮮やかな紫色のミヤマスミレが咲いていました。

ドラゴンアイが現れるのは、八幡平の山頂手前にある「鏡沼」という直系50メートルほどの沼です。

歩き始めて20分ほどで鏡沼にたどり着きましたが、ドラゴンアイは……?

もう少し溶けてくると目の形がはっきり現れてきそうですが、開眼には少し早かったようです。

鏡沼を通り抜け、八幡平の頂上へ。

頂上の展望台からは、晴れていれば岩手山や秋田駒ヶ岳などの近隣の山々も眺められるのですが、今日は雲の中でした。

八幡平で最も大きな沼の「八幡沼」へ行ったものの、霧が濃いので何も見えず、ガマ沼を眺めて登山口に戻ることにしました。

 

テレビのない、スマホもつながりにくい秘湯

霧が濃かったため1時間ほどのハイクとなってしまい、少し物足りなかったので宿まで歩くことにしました。

少し標高を下げると霧が晴れてきて、20分ほどで本日のお宿、藤七温泉彩雲荘に到着。通常は宿に連絡すれば八幡平頂上のバス停まで送迎していただけます。
 

チェックインして本日のお部屋へ。各部屋に八幡平に咲く花の名前がついており、ドアの橫に花の写真が飾ってあります。

部屋はシンプルな和室で、あらかじめ布団が敷いてありました。テレビや冷蔵庫はありませんが、浴衣やバスタオル、お茶セットとポットはあります。
スマホの電波もキャリアや場所によっては入りにくい秘湯ですから、下界のことは忘れて温泉を楽しもうと思います。

 

混浴露天は開放感抜群!足元湧出で湯も極上

彩雲荘には男女別の内湯と混浴の露天風呂。それから建物の反対側に宿泊者専用の男女別の露天風呂があります。

 

まずは内湯へ。

木造りの雰囲気ある湯小屋で体を洗い、白く濁る湯に浸かって体を温めたら、湯浴み着を着て混浴露天風呂へ。浴室内のドアから露天風呂に出られるようになっています。

混浴露天風呂は5つの浴槽が広い敷地内に点在しており、ものすごく開放感があります。バスタオル巻きや湯浴み着の着用OKなので、私は自前の湯浴み着で入りました。

ロケーションだけでなく、浴槽の底からぷくぷくと湧き出てくるすばらしいお湯なのです!レンタルのバスタオルもありますし、目隠しの囲いがされた女性専用の浴槽もあります。女性専用時間もあるので女性の方にもぜひ体験していただきたいです。

 

もう1ヶ所、宿泊客限定の男女別の露天風呂からは、天気が良ければ日の出を眺められるんだそう。

翌朝は曇りで日の出は見れませんでしたが、こちらも絶景を楽しめる露天風呂です。

 

朝夕バイキングで山のごちそうを楽しめる

 

彩雲荘の食事は朝夕バイキング。

アクリル板の設置やトングは共用しないなど、しっかり感染対策が取られていました。

 

お酒は、八幡平市内に醸造所のある暁ブルワリーの、その名も「ドラゴンアイ スカイ」を。

すっきりと飲みやすいピルスナービールで、お風呂上がりの喉を潤しました。

バイキングの料理は、八幡平周辺の食材を使った料理がこれでもかと並びます。

今が旬の「じゅんさい」をたっぷりといただきました。ニジマスのお刺身や焼き筍もうれしい。

山菜入りの「稲庭うどん」や、小麦粉をこねたものをちぎって入れる岩手の郷土料理「ひっつみ鍋」など、地物食材と地元の料理をめいっぱいいただける、楽しくもおいしいバイキングでした。

 

朝食もバイキングです。ご飯がすすむ漬物や山菜のおかずが並び、朝からお腹いっぱいに食べてしまいました。

 

公共交通機関利用だと特に、便がいいとは言えませんが、それでも「また行きたい!」と思う大好きな秘湯の宿です。

 

*紹介した食事、サービス、登山道の情報は2021年6月取材時の内容です。
 

藤七温泉 彩雲荘

料金:1泊2食付き/1室1名利用13,350円~、2名12,250円~ ※プラン、時期によって変動
住所:岩手県八幡平市松尾寄木北の又
電話:090-1495-0950(衛星電話)
HP:https://www.toshichi.com/

八幡平データ

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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