伊東・大平山から伊豆大島を眺め、温泉ホテル マストランプで伊勢海老のブイヤベースを味わう

ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第27回は伊豆の低山・大平山に登り、伊東温泉の小さなホテルへ。

写真・文＝月山もも

静岡県伊東市にある標高578メートルの低山・大平山は、気候が温暖で冬でも雪が積もることが少なく、冬から春の間も気軽に歩ける穴場なハイキングコースです。

伊東駅からは徒歩でアクセス可能でなおかつ眺望も楽しめる大平山を、春らしい風が吹き始めた3月に歩くことにしました。

「馬場の平」から伊豆大島と大室山を眺める

伊東駅から車道と林道を30分ほど歩き、まずはコース上にある眺望スポット「馬場の平」を目指します。道はよく整備されていて道標も要所要所にしっかりとつけられていました。

天気の良い土曜日だというのに歩く人は少なく、うれしいような少しもったいないような気持ちになりつつ登っていくと、40分ほどで天然の芝生が広がる開けた場所に着きます。

伊東の街と、その向こうに海を見渡すことができる、大平山の眺望スポット「馬場の平」です。

少し方向を変えると、海の向こうに伊豆大島がくっきりと見えました。

内陸側に視線を移すと「山焼き」で有名な独立峰の火山「大室山」も大きく見えます。標高580メートルの低山ですが、近くで見るとまるで浅間山のような迫力がありました。登山口から1時間足らずで、思いがけずすばらしい眺望に出会えたことに感激しつつ、歩を進めます。

馬場の平を通り過ぎた後は、柏峠を経由して山頂へ。

山頂の少し手前には、手前の木々で少し見にくいながらも、富士山を眺められるスポットもありました。山頂は広場のようになっており、昼食休憩を取ってから海を眺めつつ下山します。

すばらしい眺めと静かな山歩きを楽しめる大平山。初めて歩きましたがとても良い山でした。

広々とした和洋室でハーブティーを飲んで一休み

下山口の丸山公園から、徒歩で本日のお宿「マストランプ」に移動します。15時以降の時間帯であれば、駅から電話をすれば送迎もしていただけるそうです。

お部屋はいくつかのタイプがあり、今回は和洋室を予約しました。

左側が和室、右側がベッドルームになっており、洗面所とユニットバスもついた快適なお部屋です。

座卓の上にはお茶菓子と、ティーパックが4種類置いてありました。ハーブティーが2種類もあり、さっそく煎れてお菓子と一緒にいただきました。

広い露天風呂と雰囲気抜群の内湯を貸切で利用

館内には内湯が2箇所と露天風呂が1箇所あり、すべて貸切で利用します。

露天風呂には洗い場がないため、まずは館内にある内湯へ。「伊豆石風呂」と名のついている内湯は、その名の通り浴槽も浴室も石を組み合わせて造られています。

内湯とは言え外からいい風が入ってきて、木々の緑がお湯に映り、雰囲気の良い浴室です。伊東らしいぴりっと熱めのお湯がかけ流されており、シンプルに良いお湯だなと感じました。

隣にあるもう1箇所の内湯「石風呂」には翌朝に入りましたが、不揃いな石を組み合わせて造られていて少しだけ雰囲気が異なります。どちらの浴室も、浴槽のお湯の温度が熱すぎずちょうど良いのもうれしかったです。

露天風呂は、玄関から1度外に出て30メートルほど歩いたところにあります。

「巨石露天風呂」という名がついており、浴槽の向こうに本当に大きな石がありました。
広々とした露天風呂の周りでは梅の花が咲いており、春を感じながら湯浴みを楽しみました。

伊勢海老のブイヤベースはリゾットまで絶品

夕食はレストランで、伊豆の魚介と野菜中心のフレンチベースのコース料理をいただきます。

まずは「山ももスパークリング」をオーダー。伊豆の名産品「山もも」を使ったオリジナルのカクテルで、爽やかな香りが食前酒にぴったりでした。

前菜は「さざえのガーリック焼き」と「伊勢海老のビスク」です。温泉卵と伊勢海老がクリームスープの中に入っているビスクは、卵をくずして味を変えながらいただきました。

魚料理は伊豆の地魚金目鯛と春野菜を、ふきのとうとナッツの濃厚かつほろ苦いソースで。ワインが進んでしまい、白ワインを追加でオーダーしました。

メイン料理の「伊勢海老のブイヤベース」は大きな伊勢海老とムール貝、白身魚など具沢山。

かなりのボリュームでしたが「ご飯を追加オーダーしてリゾットにできる」と聞き、もちろんお願いし、スープまで残さずいただきました。

デザートの苺のガトーショコラまで、すべておいしかったです！

朝食も、同じレストランでいただきます。

雑穀入りのサラダやインゲン豆と野菜のスープ、焼きたてのパンなど、丁寧に作られた朝食をいただき、チェックアウトの時間までゆったりと過ごしました。

*紹介した食事、サービスは2022年3月取材時の内容です。