冬ならではの景色、氷の神殿「氷瀑」を見に行こう!

栃木県・雲竜渓谷の氷爆(写真:ゆうゆう さんの登山記録より)

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1月~2月限定! 自然が作る造形美・冬限定の景色をめざす

冬山と聞くと、一面が雪に包まれた真っ白の世界を思い浮かべるが、冬の山の景色は雪だけではない。厳しい自然条件のなか、雪を掻き分けながら歩くようなことをしなくても、冬限定の景色に出会える場所はたくさんある。

例えば、一年でいちばん寒いこの時期だからこそ出会える景色の一つが、滝が凍りつく「氷瀑」。ここでは、登山口から比較的簡単にアクセスできる氷瀑のコースをピックアップする。

なお、紹介している場所は、通常では深い雪を掻き分けるような場所ではないものの、天候によってコンディションは大きく変わる。また、足元は凍りついて滑りやすい場合が多い。アイゼンは必ず用意したい。

栃木県・奥日光の庵滝 (写真:すてぱん さんの登山記録より)

また、滝の凍結は気温次第ということは頭に入れておきたい。特に最近は、温暖化の影響からか充分に凍結しないケースが増えているので、行けば必ず出会えるとは限らない。

氷が落下するリスクもあるため、安全に配慮して、場所によってはヘルメットなども用意しておきたい。

山形県・西蔵王の瀧山大滝(写真:かっちゃん さんの登山記録より)

奥多摩の名瀑・百尋ノ滝は今年はどこまで凍結する?(奥多摩)

奥多摩の名瀑として知られる、落差約30mの百尋ノ滝は冬季にはみごとな氷瀑を見せてくれる場所だ。滝までなら登山口の川乗橋から往復で3時間程度でアクセスできる。

例年では2月の上旬に最も結氷が進み、蒼い巨大な氷柱が大迫力の景色を見せてくれる。

ただし、近年は暖冬の影響か、結氷はもうひとつの年が続いている。また最近は林道が通行止めで、その姿を一般登山者は確認できなかった年もあった。

百尋ノ滝(写真:てんてんさんの登山記録より)

果たして今年はどこまで凍りつくだろうか?

行程・コース

【日帰り】川苔山から本仁田山を経て奥多摩駅へ
■総コースタイム 6時間50分、標高差+1527m、−1312m
川乗橋(08:00)・・・細倉橋(08:45)・・・百尋ノ滝(09:30)・・・東の肩(11:25)・・・川苔山(11:30)・・・東の肩(11:35)・・・舟井戸(11:45)・・・分岐(12:05)・・・大ダワ(12:25)・・・コブタカ山(13:00)・・・本仁田山(13:20)・・・安寺沢(14:20)・・・奥多摩駅(15:00)

高低図

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| 東京都奥多摩ビジターセンター

麓は早春でも山はまだ冬。凍結残雪あり軽アイゼン(チェーンスパイク)+滑りにくい防水性のある登山靴で

凍結状況を日々チェックできる、檜原村・払沢の滝(奥多摩)

東京都・檜原村の払沢の滝は、結氷する滝として知られる。登山口から往復30分ほどの位置にあるので、比較的気軽に訪れることができる。

毎年、12月から3月までは「払沢の滝冬まつり」が開催されていて、さまざまな催しものが開催されている。フォトコンテストなど気軽に参加できるものもあるので、檜原村観光協会のWEBサイトをチェックしてほしい。

払沢の滝は、近年は結氷率が芳しくないが、最近では2018年に完全結氷している。

完全凍結した払沢の滝(写真:ぼっけもんさんの登山記録より)

ちなみに2018年は実に12年ぶりの完全氷結だったそうだ。凍結状況は檜枝岐村観光協会HPで発信しているので、様子を確認しながら出かけるのも良いだろう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間50分
総歩行距離:  9,000m  上り標高: 706m  下り標高: 833m
行程: 上川乗バス停・・・浅間嶺休憩所・・・浅間嶺・・・浅間嶺展望台・・・小岩分岐・・・高嶺荘・・・時坂峠・・・駐車場・・・払沢ノ滝・・・駐車場・・・払沢ノ滝入り口バス停

高低図

まさに氷の神殿! 雲竜渓谷の豪快な氷瀑(栃木)

屈指のアイスクライミングポイントとして知られる、栃木県・日光にある氷瀑・雲竜渓谷。アイスクライミングを楽しむ人のみならず、氷瀑を見るために訪れるハイカーにも人気の場所だ。

10mを超える巨大な蒼い氷柱が何本も垂れ下がるさまは幻想的で、「氷の神殿」にふさわしい景色となる。

迫力の氷の神殿が続く雲竜渓谷(写真:ootakaさんの登山記録より)

氷に触ることはもちろん、氷柱の裏を歩いたり、氷を登ったり(要クライミング技術・装備)することも可能だ。

氷瀑となるのは1月中旬から2月下旬まで。最近は多くの人が訪れるため混み合うことも多い。週末は駐車スペースが満車になることも多いようなので、公共交通機関の利用も考えたい(日光駅から2000円程度)。

行程・コース

最適日数:  日帰り 5時間20分
総歩行距離:  11,900m  上り標高: 880m  下り標高: 880m
行程: 林道ゲート・・・稲荷川展望台・・・洞窟岩・・・林道分岐・・・雲竜渓谷入口・・・雲竜渓谷・雲竜瀑周辺・・・雲竜渓谷入口・・・林道分岐・・・洞窟岩・・・稲荷川展望台・・・林道ゲート

高低図

日本三大名瀑「袋田の滝」の豪快な氷爆(茨城)

日本三大名瀑として知られるのが茨城県・袋田の滝だ。紅葉の名所として人気が高く、新緑の頃も美しいが、寒い時期も捨てがたい。豪快な氷爆が楽しめるからだ。

第2展望台からの袋田の滝(写真:すてぱん さんの登山記録より)

袋田の滝は高さ120m幅73mもある大規模な滝で4段に分かれている。近年は暖冬続きで凍結状況は今ひとつだが、「しが」と呼ばれるシャーベット状の氷が流れる現象が起きるなど、完全に凍結していなくても珍しい現象に出会えることもある。

なお、袋田の滝の凍結状況は、大子町観光協会のホームページで確認できる。

行程・コース

最適日数:  日帰り 2時間40分
総歩行距離:  8,038m  上り標高: 547m  下り標高: 547m
行程: 袋田駅(08:00)・・・町営第一駐車場(08:30)・・・月居山登山口(09:00)・・・月居山(09:30)・・・生瀬滝展望台(10:30)・・・袋田の滝観瀑台(10:45)・・・町営第一駐車場(11:10)・・・袋田駅(11:35)

高低図

スノーシューハイキングで楽しむ善五郎の滝の氷瀑(長野)

乗鞍岳の東麓に位置する乗鞍高原・乗鞍自然園は、スノーシューハイキングにピッタリのコースが整備されている。ブナの原生林の中を歩くコースは、人気のスノーシュースポットだ。スノーシュー装備をレンタルすることもできる。

善五郎の滝の氷爆は圧巻!(写真:totoさんの登山記録より)

スノーハイクのハイライトが、全面凍結する善五郎の滝の氷瀑。最短で30分ほどの往復で行くことができる巨大な氷のオブジェは、実際に近づいて触ることもできる。

また、さらに上部に登って、スキー場の中腹から先に進む「三本滝」の氷瀑もダイナミックな氷瀑ポイントとしてよく知られる。善五郎の滝の氷瀑とは違った豪快な氷瀑を見ることができる。

行程・コース

最適日数:  日帰り 3時間0分
総歩行距離: 
行程: 休暇村・・・善五郎の滝・・・善五郎滝入口・・・オルガン橋・・・あざみ池・・・牛溜池・・・休暇村

高低図

七曲滝・百間滝・似位滝…裏六甲山で氷爆めぐり(六甲山)

1月~2月初旬、寒い朝に裏六甲へ――、有馬温泉から2時間ほど山中に入ると、見事な氷瀑を楽しむことが出来るかもしれない。

暖冬続きの近年はしっかり凍りつくチャンスは少ないが、有馬温泉から紅葉谷出合へ向かうと、多くの滝の姿を楽しめる。中でも七曲滝・百間滝・似位滝などは見事な氷瀑となる。

七曲滝の氷瀑(写真:yzr400 さんの登山記録より)

行程・コース

【日帰り】森林に包まれた裏六甲の名瀑めぐり
■総コースタイム 2時間40分、標高差+約1130m、-約1130m
有馬温泉(08:00)・・・炭屋道・魚屋道分岐(08:30)・・・炭屋道入口(08:40)・・・林道出合(08:45)・・・紅葉谷出合(08:50)・・・七曲滝(09:00)・・・百間滝(09:25)・・・似位滝(09:35)・・・百間滝(09:45)・・・紅葉谷出合(10:05)・・・林道出合(10:10)・・・炭屋道入口(10:15)・・・炭屋道・魚屋道分岐(10:20)・・・有馬温泉(10:40)

高低図

九州の低山でも見られる! 福岡県・宝満山にある「河原谷の大つらら」(福岡)

氷瀑といえば、寒い北国を想像しがちだが、温暖な印象のある九州でも見ることができる。太宰府天満宮の裏手に連なる宝満山・三郡山などを擁する三郡山地には、「河原谷の大つらら(通称・難所ヶ滝)」と呼ばれる、氷瀑をみることができる。

宝満山も三郡山も標高1000mにも満たない山だが、日本海側から吹く冷たい季節風により、予想以上に雪も降り、冬のスノートレッキングも楽しめる。

難所ヶ滝の大つららは最大で20mにも達する(写真:池田浩伸 さんの登山記録より)


氷瀑を見るだけなら、昭和の森から河原谷につく登山道を往復するのが一般的だが(往復で3時間程度)、せっかくなら雪に対する装備をしっかり整えて、三郡山や宝満山まで足を伸ばすと良い。太宰府方面へと下山するのも興味深い。晴れれば宝満山から望む周辺の山々は非常に美しい。

関連記事:

福岡近郊の山へ氷瀑を見に行こう。福岡県三郡山・宝満山

行程・コース

最適日数:  日帰り 6時間5分
総歩行距離:  11,300m  上り標高: 1020m  下り標高: 1020m
行程: 一本松公園(昭和の森)・・・河原谷コース・・うさぎ道分岐・・・難所ヶ滝・・・稜線難所ヶ滝分岐・・・三郡山・・・宝満山・・・河原谷分岐・・・一本松公園(昭和の森)

高低図