| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.03.15
麓は早春でも山はまだ冬。凍結残雪あり軽アイゼン(チェーンスパイク)+滑りにくい防水性のある登山靴で
冬山と聞くと、一面が雪に包まれた真っ白の世界を思い浮かべるが、冬の山の景色は雪だけではない。厳しい自然条件のなか、雪を掻き分けながら歩くようなことをしなくても、冬限定の景色に出会える場所はたくさんある。
例えば、一年でいちばん寒いこの時期だからこそ出会える景色の一つが、滝が凍りつく「氷瀑」。ここでは、登山口から比較的簡単にアクセスできる氷瀑のコースをピックアップする。
なお、紹介している場所は、通常では深い雪を掻き分けるような場所ではないものの、天候によってコンディションは大きく変わる。また、足元は凍りついて滑りやすい場合が多い。アイゼンは必ず用意したい。
また、滝の凍結は気温次第ということは頭に入れておきたい。特に最近は、温暖化の影響からか充分に凍結しないケースが増えているので、行けば必ず出会えるとは限らない。
氷が落下するリスクもあるため、安全に配慮して、場所によってはヘルメットなども用意しておきたい。
奥多摩の名瀑として知られる、落差約30mの百尋ノ滝は冬季にはみごとな氷瀑を見せてくれる場所だ。滝までなら登山口の川乗橋から往復で3時間程度でアクセスできる。
例年では2月の上旬に最も結氷が進み、蒼い巨大な氷柱が大迫力の景色を見せてくれる。
ただし、近年は暖冬の影響か、結氷はもうひとつの年が続いている。また最近は林道が通行止めで、その姿を一般登山者は確認できなかった年もあった。
果たして今年はどこまで凍りつくだろうか?
高低図
| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.03.15
麓は早春でも山はまだ冬。凍結残雪あり軽アイゼン(チェーンスパイク)+滑りにくい防水性のある登山靴で
東京都・檜原村の払沢の滝は、結氷する滝として知られる。登山口から往復30分ほどの位置にあるので、比較的気軽に訪れることができる。
毎年、12月から3月までは「払沢の滝冬まつり」が開催されていて、さまざまな催しものが開催されている。フォトコンテストなど気軽に参加できるものもあるので、檜原村観光協会のWEBサイトをチェックしてほしい。
払沢の滝は、近年は結氷率が芳しくないが、最近では2018年に完全結氷している。
ちなみに2018年は実に12年ぶりの完全氷結だったそうだ。凍結状況は檜枝岐村観光協会HPで発信しているので、様子を確認しながら出かけるのも良いだろう。
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屈指のアイスクライミングポイントとして知られる、栃木県・日光にある氷瀑・雲竜渓谷。アイスクライミングを楽しむ人のみならず、氷瀑を見るために訪れるハイカーにも人気の場所だ。
10mを超える巨大な蒼い氷柱が何本も垂れ下がるさまは幻想的で、「氷の神殿」にふさわしい景色となる。
氷に触ることはもちろん、氷柱の裏を歩いたり、氷を登ったり(要クライミング技術・装備)することも可能だ。
氷瀑となるのは1月中旬から2月下旬まで。最近は多くの人が訪れるため混み合うことも多い。週末は駐車スペースが満車になることも多いようなので、公共交通機関の利用も考えたい(日光駅から2000円程度)。
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日本三大名瀑として知られるのが茨城県・袋田の滝だ。紅葉の名所として人気が高く、新緑の頃も美しいが、寒い時期も捨てがたい。豪快な氷爆が楽しめるからだ。
袋田の滝は高さ120m幅73mもある大規模な滝で4段に分かれている。近年は暖冬続きで凍結状況は今ひとつだが、「しが」と呼ばれるシャーベット状の氷が流れる現象が起きるなど、完全に凍結していなくても珍しい現象に出会えることもある。
なお、袋田の滝の凍結状況は、大子町観光協会のホームページで確認できる。
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乗鞍岳の東麓に位置する乗鞍高原・乗鞍自然園は、スノーシューハイキングにピッタリのコースが整備されている。ブナの原生林の中を歩くコースは、人気のスノーシュースポットだ。スノーシュー装備をレンタルすることもできる。
スノーハイクのハイライトが、全面凍結する善五郎の滝の氷瀑。最短で30分ほどの往復で行くことができる巨大な氷のオブジェは、実際に近づいて触ることもできる。
また、さらに上部に登って、スキー場の中腹から先に進む「三本滝」の氷瀑もダイナミックな氷瀑ポイントとしてよく知られる。善五郎の滝の氷瀑とは違った豪快な氷瀑を見ることができる。
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1月~2月初旬、寒い朝に裏六甲へ――、有馬温泉から2時間ほど山中に入ると、見事な氷瀑を楽しむことが出来るかもしれない。
暖冬続きの近年はしっかり凍りつくチャンスは少ないが、有馬温泉から紅葉谷出合へ向かうと、多くの滝の姿を楽しめる。中でも七曲滝・百間滝・似位滝などは見事な氷瀑となる。
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氷瀑といえば、寒い北国を想像しがちだが、温暖な印象のある九州でも見ることができる。太宰府天満宮の裏手に連なる宝満山・三郡山などを擁する三郡山地には、「河原谷の大つらら(通称・難所ヶ滝)」と呼ばれる、氷瀑をみることができる。
宝満山も三郡山も標高1000mにも満たない山だが、日本海側から吹く冷たい季節風により、予想以上に雪も降り、冬のスノートレッキングも楽しめる。
氷瀑を見るだけなら、昭和の森から河原谷につく登山道を往復するのが一般的だが(往復で3時間程度)、せっかくなら雪に対する装備をしっかり整えて、三郡山や宝満山まで足を伸ばすと良い。太宰府方面へと下山するのも興味深い。晴れれば宝満山から望む周辺の山々は非常に美しい。
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