行程・コース
天候
1日目:雨のち曇り、2日目:曇りのち快晴、3日目:快晴、4日目:曇りのち雨
登山口へのアクセス
バス
その他:
新宿(23:15発)から富山駅(5:40着)まで高速夜行バス(片道2600円)。富山地鉄で立山駅(6:10発 7:20着)まで、さらに立山ケーブルカーで美女平、さらに室堂行きのバス(立山ー室堂片道2430円)を利用。
この登山記録の行程
【1日目】
室堂ターミナル(08:57)・・・ミクリガ池(09:11)・・・エンマ台・・・雷鳥平・・・別山乗越(10:47)[休憩 4分]・・・剱澤小屋(11:29)
【2日目】
剱澤小屋(06:00)・・・平蔵谷出合(06:55)・・・長次郎谷出合(07:13)[休憩 10分]・・・真砂沢ロッジ(07:56)[休憩 10分]・・・二股(09:03)・・・仙人峠(10:30)・・・仙人池ヒュッテ(10:40)[休憩 52分]・・・仙人峠(11:45)・・・池の平小屋(12:16)[休憩 20分]・・・仙人峠(13:02)・・・仙人池ヒュッテ(13:14)
【3日目】
仙人池ヒュッテ(06:37)・・・仙人温泉(08:15)・・・仙人谷ダム(10:34)[休憩 7分]・・・阿曽原温泉小屋(11:33)
【4日目】
阿曽原温泉小屋(06:15)・・・欅平(10:10)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
裏劔、仙人池の紅葉は見頃を迎えていました。今年は昨シーズンよりも紅葉が素晴らしいようです。一方、このコースの後半、仙人池ヒュッテから仙人温泉小屋に至る仙人谷の下りでは、私が通過する前日に一件、当日は2件の転滑落事故が発生しています。一件は残念ながら死亡事故だったと聞きました。2件目の転滑落事故では私自身通報者として関わることになり、楽しいはずの山行が一転して緊張したものとなりました。お互い安全に十二分に留意した上で、山登りを楽しみたいものです。
紅葉の様子などは写真を見て頂ければと思います。取り急ぎ、コースの注意点だと思われたものを書き記しておきます。なお、申すまでもありませんが、秋の北アルプスは天候が急変すれば冬山同然になる恐れもあり、雪渓などの状況も年によって異なり、また刻々と変化しています。山岳警備隊や山小屋などで最新の情報を集め、十分な注意と万全の装備で臨むべきでしょう。
仙人池に映る紅葉の裏劔は、写真の題材にもよく取り上げられる憧れの絶景ですが、たどり着くのに二日と距離も長く、雪渓などの危険箇所もありますから、安易に行くべきではないと感じました。
<劔沢雪渓の状況>
今回の劔沢雪渓に関していえば、6本爪のアイゼンで十分対処できました。雪渓の上端や下端は雪が薄く崩落の危険があるので、雪渓の上に出るあるいは雪渓から夏道に移るポイントについて最新情報を山小屋などで聞くようにしてください。今回の劔沢雪渓については、私は通過に何ら困難を感じませんでした。
くどいようですが、劔沢雪渓に限らずこの山域は、年によって、時期によって雪渓の状態が大きく異なり、難易度も変化します。例えば、2016年8月7日に劔沢から剣岳登山をした際には、劔沢雪渓にあちこち裂け目が生じ状態が悪いので、下降は自粛するように山岳警備隊にアドバイスされました。
<仙人谷の下降に要注意>
今回、より注意が必要だと感じたのは、前述の仙人谷の下降です。仙人池ヒュッテから仙人温泉小屋までの区間は、谷筋のガレ、ヘツリ、雪渓などが出てきます。当日早朝は、水が流れている箇所で所々薄氷が張っていて滑りやすい状況でした。段差が大きな下りなのでポールが欲しくなるのですが、ヘツリもなんども出てくるので面倒がらずに出し入れを繰り返すか、谷側一本だけにする、あるいは最初からポールに頼らず両手をフリーにしておくか、慎重に判断すべきだと感じました。私自身は、ヘツリが多く出てくるので途中でポール使用を諦めて、両手をフリーとしました。
仙人温泉手前(上部)の雪渓はハシゴを使って上がり、トラバースします。雪渓から夏道への出口を慎重に探して(赤い旗が対岸のやや下ったところになります)、目標を見定めてから歩き始めた方がいいでしょう。雪渓の末端は崩落の危険が大きいです。この雪渓のトラバースでは、アイゼンを使いませんでしたが、斜度もあり少々不安に感じたのも事実です。
さて、私が通過した日に発生した2件の転滑落事故は、この雪渓のトラバース地点の手前と、雪渓通過後にヘツルところで起こったようです。ロープの手がかりや、足元に丸太の桟橋がかけてあったりしますが、両手を自由な状態にして慎重に通過することが事故を防ぐポイントのように感じました。
仙人温泉小屋から源泉に登り返した先の下部は、いわゆる雲切新道で急斜面にロープ、ハシゴなどが次々出てきます。疲れが溜まってくると、転んだりしやすいでしょうから、余裕を持って通過できるよう、日頃から体力の維持増進に励みたいものです。
なお、このコースの主観的グレードを長野県山のグレーディングなどに準拠してCとしましたが、これはあくまでも私の主観です。体調や天候など条件が悪ければ、より困難になるはずです。長野県などが発表しているグレーディングには、違和感を感じる部分もあるのですが、自分の経験に照らして次に登るコースの「目安」とするには大変有益な試みだと考え、また自分の個人的記録としてあえて掲載しています。ルート定数91.4。
山と渓谷社の「アルペンガイド 劔・立山連峰」にはこのコースは「上級」・技術度4とされています。比較のために、同書では劔岳・別山尾根ルートは「上級」・技術度5とされています。ご参考までに
<追記>2021年8月時点に富山県が山のグレーディングを発表していることを知り、参照したところ剣沢小屋ー真砂沢ロッジ間(剣沢雪渓)、及び仙人谷区間がDと判定されていましたので、評価をCからDに変更します。
なんだかこのコースの注意点ばかり書き連ねてしまいましたが、雄大な劔沢、仙人峠への登りから仰ぎ見る八ツ峰の威容、仙人池や池の平から眺める紅葉の裏劔、黒部渓谷の深さなど、このコースは大きな魅力に溢れています。さらに、このコース上の小屋は全て温泉(阿曽原)、シャワー(劔沢)あるいはお風呂(仙人池)があるのは、とても贅沢な特色でしょう。ピークを一つも踏むことはありませんが、存分にその魅力を味わいたいものです。
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