行程・コース
天候
快晴
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
立山黒部アルペンルートの玄関口となる扇沢駅を目指す。扇沢駅に近い有料駐車場(400台、1日1,000円)もあるが、有料駐車場の一つ手前のシェルターのところに無料駐車場がある。結構な台数が駐車可能。ただし、観光地でもあるので、直ぐに一杯になる模様。トイレは扇沢駅を利用。
この登山記録の行程
扇沢無料駐車場(04:11)・・・扇沢駅・針ノ木岳登山口(04:24)・・・大沢小屋(05:36)・・・針ノ木峠・針ノ木小屋(07:42)・・・針ノ木岳(09:28)・・・針ノ木峠・針ノ木小屋(10:35)・・・蓮華岳(11:39)・・・針ノ木峠・針ノ木小屋(12:25)(昼食~13:04)・・・大沢小屋(14:23)・・・扇沢駅・針ノ木岳登山口(15:20)・・・扇沢無料駐車場(15:29)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
昨年、白馬の大雪渓を登って以来。久しぶりに後立山連峰にやって来た。今日の目的は白馬と並ぶ日本三大雪渓の一つ、針ノ木岳。ちなみに、日本三大雪渓の残り一つは剱沢雪渓。
高速を飛ばして夜のうちに駐車場に入る。気持ち軽く睡眠をとって4時ちょうどに行動開始。この時期、4時はすでにヘッドライトは不要。準備をしている間にみるみると空が明るくなって行く。
扇沢駅のバスターミナルの前に立つ。黒部ダムには過去何度も行ったことがあるが、こちらサイドからは一度もない。一度、ゆっくりトローリーバスに乗って行って見たいものだ(ちなみに2019年4月から電気バスになってしまうので、チャンスもあと僅か)。
針ノ木岳の登山口は黒部ダム行きのゲート脇にある。登山ポストに登山計画を提出して、いざ出発。
よく茂った森が出迎えてくれるが、すぐに道路に抜ける。九十九折りの林道を登山道はショートカットで突き抜けているのか。そんな感じで何度か道路をクロスしながら進む。
本格的な登山道は、黒部ダム行きの関電トンネル手前から始まる。
早朝の森に入ると、透き通るようないろいろな鳥のさえずりが聞こえてくる。大きな葉っぱをかき分けるたびに、夜露が水滴となってがパラパラっと落ちる。
自分が小人になったかと思うくらい草の葉っぱが大きい。サンカヨウの葉っぱもお盆くらいあって、その中央にはこれまた立派な実が何個も実っていた。自然が豊かな証拠だろう。
暫くは水平移動で森を抜けてく。ブナ林の幹も日頃見ているものより数倍は太い。沢を2、3度クロスする。結構な水量と流れがある割にはちゃんとした橋がなく、ハラハラしながら飛び石を踏みながら渡る。
1時間ほどで大沢小屋に到着。中は覗かなかったが、立派な小屋で、この時期でもトイレはちゃんと使えるようだった。
小屋から更に小一時間ほど森を歩く。徐々に登山道も傾斜が付いていく。
目の前に雪渓が見えた。所々、大きな穴が空いてて、下には勢いよく水が流れているのが見えた。
夏道が終わり雪渓歩きがスタートする。始まりは緩やかな感じだったが、さすが日本三大雪渓の一つ。見上げるとどこまでも続くかのような雪の斜面が広がっていた。どのみち着けるならと、早めにアイゼンを装着し片手にピッケルを握る。10本以下のアイゼンで歩いている人もいたが、登れば登る程斜度を増す(特に針ノ木峠の手前や針ノ木岳の山頂に向うトラバース部分はけっこう危ない)ので、個人的には12本のアイゼンをお勧めする。事実、この日も大怪我には至らなかったらしいが、2人ほど滑落者が出たと聞いている。
雪渓はとても幅広で、縦横無尽に歩けた。しかし、ただただ長いの一言。山の大きさでスケール感が狂うのか、登っても登っても峠に近づかない、そんな気がした。
それにしても、雪の上を歩いていると言うのにとんでもなく暑い。汗が多量に吹き出して、いつも以上に水を消費する。ハングしたような最後の斜面を登りきり、針ノ木小屋が見えた時には安堵感で座り込みそうになった。
が、そんな疲れを一瞬で吹き飛ばす眺望が小屋の向こう側に広がっていた。小屋の周辺には雪はなかったが、アイゼンを外す時間が勿体なくて、そのまま小屋の横までかけて行く。
真正面に鋭く尖ったピークが見える。紛れも無く、槍ヶ岳。槍を中心に北アルプスの山々が視界いっぱいに広がっている。後立山連峰には滅多に来ないため、山の配置が見慣れないためか、一層不思議な気がする。いや、同じ後立山連峰の白馬からの景色ともまた違う独特の景色だ。針ノ木岳は、後立山連峰の南部にあり、北アルプスのほぼ中央に位置することから、ちょうど均等に北アルプス全域を見渡すことが出来る。
天気予報が微妙だったので、なんとか一瞬でも眺望があればと願ってやってきたが、嬉しい誤算だ。なんと、遠くに雲を突き抜けるように聳えている富士山も確認ができた。
歩いて来た雪渓を見下ろすと、徐々に雲がせり上がって来ていた。雲が来てしまう前に、針ノ木岳の山頂を目指そうと、アイゼンを外して、岩肌が露出した小屋の右側の斜面を登って行く。
急な斜面を登り切ると再び雪渓が針ノ木岳の山頂近くまで広がっている。もう一度、アイゼンを装備。ここから先は、結構な斜度のトラバースとなるので緊張感を持って慎重に歩く。スバリ岳との間から、白い頂を持った大きな山が見えた。槍とはまた違う力強く迫力のある頂き。剱岳だ。槍と劔がこんなに近くで見れるなんて、なんて贅沢なんだろう。
針ノ木岳の山頂手前でアイゼンを外す。着けたり外したりと忙しい。山頂まではガレ場になっているので、落石しないようにゆっくり注意しながら登っていく。
視界が開けた瞬間、「おおっ」と感嘆の声が漏れる。ワイドスクリーンでも映り切らないような、大きなおおきな立山が飛び込んでくる。その横には先ほど見えた剱岳。眼下には、エメラルドグリーンの美しい黒部湖も見える。峠の方からはよく見えなかったが、高瀬ダム湖から湯㑨かけてもよく見える。ということは野口五郎岳や水晶岳、更には隠れて見えないが雲ノ平もあるはずだ。まるで北アルプスのジオラマのようだ。まだまだ未踏の憧れの山がいっぱいある。縦走路を目で追うだけでも楽しくて眺めていて尽きない。
登ってきた方を見下ろすと、予想通り雲が広がり雲海となっていた。蓮華岳の方にも雲が競り上がってきていたので、名残惜しかったが峠まで戻り蓮華岳を目指すことにする。
針ノ木山小屋に荷物をデポして、空身で反対側の斜面に登っていく。蓮華岳には全く雪はなかった。登り始めはなかなかの急登。お昼時で太陽のジリジリ感も半端ない。
急登を登りきると、急に視界が開けて今度はなだらかで美しい曲線の稜線が続く。白っぽい子砂利を敷き詰めた庭園を歩いているようだ。針ノ木小屋を境に、両側にこんなにも山容が異なる頂が並ぶなんて、とても不思議だ。
子砂利の斜面は、まさしくコマクサに最適の環境。ゆえに蓮華岳は燕岳等に並ぶコマクサの名所と言われている。毎年、高山植物の女王コマクサに謁見しないことには夏山は始まらないとばかりにコマクサを求めて歩くが、今年も早く見たいと心が逸る。
白っぽい砂利石の中に、一瞬、淡いピンクが混じって見えた。あった!と思ったら、その先にも、さらにその向こう側にも。気が付けば足元にも咲いていて、うっかりすると踏んでしまいそうになるくらい。燕岳や御岳山と、普通はロープで群生地を守っているというのに、ここではロープも柵も無しで普通に群生地の中を歩くことができる。某彦摩呂風に言うと「まるでコマクサのサファリパークや!」だ。。。(失礼) :)
斜面に寝ころびながら、できる限りのローアングルでコマクサをカメラに収める。岩肌に咲く可憐な花。その向こう側には白い雲が沸き立っている。日本を代表する山々に囲まれ、ゆっくりとした時間が流れる。至福の時だ。
針ノ木小屋に戻って遅めの昼食をとる。かなり汗をかいたので塩分濃いめのラーメンが美味しい。
雲が競り上がってきたこともあり、すっかり周囲も真っ白になってしまった。もう一回、素晴らしい眺望を見たかった気もするが、帰りの時間もあるので、視界ゼロとなった雪渓を降ることにする。。。
追記:登山中で気が付かなかったが、12時44分に山屋の先輩から一通のメールが入っていた。TJAR本戦に出場が決まったとの嬉しい知らせだ。予選会からヤキモキしていたが、先輩の二度目の挑戦。2年ぶりの暑い夏がやってくると自分のことのように嬉しくなった。
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