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越後三山 中ノ岳 これは遭難 何とか生還

中ノ岳、日向山( 上信越)

パーティ: 1人 (鋸太郎 さん )

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行程・コース

天候

快晴もガスが出たり

登山口へのアクセス

マイカー
その他: マイカー。十字峡登山センターに駐車。

この登山記録の行程

十字峡登山センター0454……0525一合0525……0602二合0602……0632三合0632……0701四合0701……0746五合(日向山)0815……0830六合0830……0857七合0918……0958八合0958……1038九合(池ノ段)1038……1058中ノ岳1112……1117九合(池ノ段)1145……1210八合1210……1237七合1306……1320六合1320……1336五号1357……1431四合1431……1455三合1455……1527二合1527……1614一合1614……1700十字峡登山センター

コース

総距離
約11.4km
累積標高差
上り約1,809m
下り約1,809m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

十字峡登山センターから中ノ岳をピストンしました。
駐車場には午前3時頃着きましたが、雨がシトシト降っています。
4時頃には出発したかったのですが、様子見で結局5時出発となりました。
  
のっけから急登です。片道6kmで1600m近く登ります。
一合、二合と都度標識が迎えてくれますが、ひとつひとつが遠かったです。
加えて強烈な暑さ。途中同行して頂いた方々ともお話ししたのですが、2000m級の低山とは言え新潟県までくれば涼しかろうと思うのは、近年は当てはまらないとの事でした。
持参した水分がどんどん無くなっていきます。
それでも総量を半分に割って、降りに備えました。
思慮が至らなかった点をひとつ上げれば、午後の方がより暑くなると言う事ですね。
  
眺望が開けた頃には八海山、越後駒ヶ岳、そして今回登る中ノ岳と、越後三山がきれいに見えました。
やっぱり夏山は早朝ですね。
十分姿を堪能しましたので、登るに連れてガスが出てきてもそれ程気にはなりませんでした。
とは言えお山は気まぐれで、ガスが出たかと思うと晴れて、晴れると強烈な熱が襲います。
時たま「そよそよ」程度に吹く雪渓の吹き上げにほんの少しだけ涼を取りながら、頑張って登り続けました。
ほんと風は全くなかったです。
  
助かったのはトンボ軍団でしょうか。アブやブヨが飛び回っていましたが、彼らのお陰で食われることは全くありませんでした。
死に物狂いで11時頃登頂。途中30分位寝ましたから、あの暑さではまずまず頑張ったペースではなかったかと思います。
  
その後は急斜と暑さに、早々に下山を開始しました。
九合目付近の雪渓の雪を保冷バッグに仕込み、残しておいた水分を冷やします。
この雪が後々自分を救うとは思いもしませんでした。
  
先に書いておきますが、中ノ岳は素晴らしい山でしたよ!
秋口に登るのがベストでしょうね!
真夏は避けた方がいいと思います……。
  
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■ここからは「遭難」の報告になります。
  
ひと言で言えば熱中症です。
3L持って行って、下山時五合目で残りの水分が500cc。
疲労もありましたが、気温は30度を優に超えていたでしょう。
ここでご挨拶させて頂いた方々と別れ、自分は最後尾、マイペースで降りて行きます。ただ五合目とは言え、ここから距離にして3kmで、1000m以上降ります。
  
熱感が異常に上がってきているのはすぐに分かりました。
自分の汗で十分水分を含んでいるタオルで、うなじを保護します。
ですが斜面は強烈で、足や腹筋に負担がどんどんかかっていきます。
すぐに熱中症と分かる症状が現れ始めました。
立ちくらみ、筋肉痛、痙攣、吐き気などです。
登山と平行して趣味で剣道を続けていますが、剣道での熱中症は瞬間的な劇症、登山のはじわじわ型ですね。
  
さて熱中症を確認したら、患者(=自分)には何をするか。
木陰で休ませる、欲しがるだけ水分を与えるなどが模範解答ですが、木陰で休ませるにも山全体が強烈な暑さです。水分に至ってはそもそもありません。
  
それでも何とか排熱しながら下山しなければいけません。
生憎周囲に他の登山客の姿はありませんし、放って置くと熱中症はどんどん悪化していきます。
  
幸い、九合目付近の雪渓で雪をかき集めて保冷バッグに入れていました。
残りの水分をゴチソウにするためだったのですが、この溶け出した水分が大活躍してくれました。
タオルに浸して、うなじを何度も拭いて排熱します。
ただ泥だらけで、飲むのはさすがに無理でした。
  
とにかく少しづつ降っては、木陰で大の字になりました。
身体は苦しいのですが、水分の摂取は計画的に行います。
眠れるなら、少しでも眠ります。とは言え木陰でも風はほとんどなく、岩場だと岩自体が強烈な熱を含んでいました(自分がフライパンのソーセージの気分でした)。
無理はしません。50m降って「無理だ」と思ったらすぐに大の字になりました。
  
後はもう、日差しが弱まるのを待ちました。
何とか凌げる場所で夕暮れを待ちます。
その後も少し降っては休憩と排熱。ただそれも限界が来て、ついには汗が出なくなり、強烈な寒気が襲い始めました。
こうなるともう、勝負をかけるしかありません。
悲鳴をあげ続けるフトモモに無理を言って、滑落しない様に必死に降っていきます。
一瞬の勢いで降りきれる距離ではありませんでしたが、それでも何とか下山。
駐車場ではマイカーの後ろに広がる雑草帯に転がり込みましたが、右に左にのた打ち回って、しばらく起き上がれませんでした。
「頑張った自分ポーズ」なんかじゃなかったんです。
  
ともあれ、無事故で生還は果たしました。
付近にはゼンマイとか自生していましたから、最悪それらを齧りながら夜を待つことも考えていましたが、朦朧としながらも、変に冷静でもありました。
救援を頼むことだけは、全く考えませんでしたね。
  
その後は兎に角水分をリットル単位で摂って、PAで2時間ほど眠って回復。
高速も300km、無事走りきれました。
帰宅後すぐに冷水シャワーを浴びましたが、熱は全く抜けませんでした。
  
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■反省会
  
思いつく原因はいっぱいありますが、列挙して反省です。
  
・睡眠不足。途中のSAで給油を忘れ、新潟県内の24hのガソリンスタンドを探すのに深夜1時間のロス。結局仮眠は1.5h程度でした。
(因みに近隣の24hガソリンスタンドは、小出IC近くまで行く必要がありました)
・水分不足。当てにしていた訳ではありませんが、事実上水場がない事はしっかり計画に入れておくべきでした。因みに途中にある、60m降る水場は枯渇状態、避難小屋の雨水は衛生状態が宜しくない様でした。どうしても飲むのなら、煮沸とろ過が必要でしょう。自分はいつもコーヒーフィルターも持ち歩いていますが、使うべきでしたかね。
・帽子。できればうなじを隠せるものを準備すべきでした。麦わら帽子、欲しかったんですが、近所のスーパーで売ってたのは女性向けばかりで、自分のアタマには入らなかったんです……。
・冷却グッズ……はそれでも余り必要だと思いません。
・行動食……は摂ってましたね。ゼリーとか。
  
道中、下山してきた方々も「水切れが怖いから降りてきた」と口々に言ってました。
折角ヒントを貰っていたのに、適用できなかったのはホント反省です。
  
夏山はお水が生命!
  
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■追記
  
復路の車内では兎に角水分を取り、PAでは何時間も寝て深夜零時前まで時間をかけて帰宅しましたが、床につくも翌朝午前五時には全身の疲労と筋肉痛で起床。
仕方ないので山行記録を書いていましたが、午前十時頃自覚ないまま自宅で倒れ込みました。
  
頭を強く打って救急車で搬送、入院。
この追記をこっそり集中治療室で書いています。
(バレるとスマホ取り上げられちゃうのですが)
  
劇症の脱水症状だった様です。腎臓の数値も相当悪かったので、強烈な頭痛にもロキソニンを貰えませんでした。
生きて下山、高速を無事故で走らせて帰宅を果たしたものの、最後の最後で大反省です。
下山後水を2~3リットル飲んで休む程度じゃ回復しきれないのですね。
でもどうすりゃ良かったのかなあ。
症状を自覚して、展開を予想して打てる手を打って、それでも下山後16時間での時間差熱中症です。
  
因みに退院後確認した、倒れる直前の自分の行動ですが、この山行記録を仕上げて公開して、費用の精算をして家計簿をつけて、洗濯機も回してました。
午後には剣道の稽古に行くつもりでした。
直前に娘に「おはよう、ただいま」と言った記憶もありますから、気が抜けたんでしょうかね。
ごめんね迷惑な父ちゃんで……。
もう娘の言うがまま、ずっとポカリスエットばかり飲んでいます。
  
※追記の追記
下山後16時間で卒倒、救急車で運ばれた直後の血液の状態は、それでも極度の脱水状態だったそうです。あんなにガブガブ飲んだのに。
個人差はあるでしょうが、ひと度劇症の脱水状態になったら経口補水では間に合わなく、もう点滴してもらうしかないとのことです。
  
  
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■追記2
  
お隣のサイトには、当日ご一緒させて頂いた二組の方の記録がアップされていました(地元のお二方+駐車場もお隣だったお一方)。
他にもソロの方が二方いらっしゃいました。
ほんと皆さんにご迷惑をかけずに済んで良かったです。
当日は厳しかったですねー!
  
でも中ノ岳、いいお山でしたね!

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フォトギャラリー:54枚

十字峡登山センターから出発です。

目の前にある階段が登山口。

6.9km、頑張ります。

行ってきます!

階段を登ると

どんどん急登になります。

アカハツですね。

一合到着。

お山方面はまだガスってました。

オニイグチの仲間でしょうか。

ピークは全て越えて行きます。

鎖場登場。
ただし一合目近辺だけでした。

二合目に到着。
地味に遠いです。

これはタマゴダケでしょうね。
食用です。

三合目。

朝摘みオレンジの冷凍版。
ゴチソウです。

八海山が見えました。

四合目です。

急斜が続きます。

暑いー!!

五合目、日向山に着きました。
靴下を搾るととんでもない汗が!

向かう先の中ノ岳。

お隣には越後駒ヶ岳。

日向山山頂の雨量観測計です。

残雪登場。

六合目はこじんまりと。

七合目。
ここで15分ほど仮眠を取りました。

雪渓が大分残ってました。

スカシユリですね。

トンボは大群でいました。
人懐っこかったです。

オカグルマ、かな?

ウツボグサでしょうね。

八合目もひっそりと。

ヤマエンゴサク……?

さあ稜線が見えてきました。

九合目、池ノ段着です。

残雪がありました。
帰りにしゃくしゃく遊ぶことになります。

中ノ岳山頂方面ですが、見えているのはまだ山頂ではありません。

中ノ岳山頂です。

お社がありました。

山頂標識です。

標識がありました。

残念ながら水平方向はガスってましたが、気分だけでも。

ピンクのウサギさんを連れてきました。
本当は兎岳に連れて行くつもりだったのですが、五合目時点でピストンに変更を余儀なくされました。

チョウチョが一頭、ずっと腕に止まっていました。
貴重な塩分?

帰り道も厳しいでしょうから、そろそろお暇します。

ですが九合目の残雪で残りの水分を冷蔵。

保冷バッグにも雪を投入しました。
これが後に自分のうなじを救う事になります。

ガスガスですが、涼しさは期待できるかも。

必死に五合目まで戻りました。
そんな事はなかったぜ……。
午後に入って、もう滅茶苦茶暑かったです!

フラフラになりながらも二合目を通過。

死に物狂いで下山しました。
キツかったなあ!

おみやげは新潟のえびせんだよ!
「それでもおみやげは買ってくるんだね?」
あたりまえでしょ!

生きて下山、無事故で帰宅を果たしたのに、まさかの自宅で卒倒。
入院は五日間に及びました。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 レインウェア
登山靴 バックパック スタッフバック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス ヘッドランプ
タオル 帽子 グローブ 着替え 地図 コンパス
ノート・筆記用具 腕時計 カメラ 登山計画書(控え) ナイフ 修理用具
ツエルト 健康保険証 ホイッスル 医療品 虫除け 熊鈴・ベアスプレー
ロールペーパー 非常食 行動食 テーピングテープ 軽アイゼン トレッキングポール
燃料 ライター カップ
【その他】 2バンドラジオ、アマチュア無線機、予備ヘッドライト、モバイルバッテリー、風力計、カラビナ、細引き、スリング、プルージックコード

みんなのコメント

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  • 新潟は暑いでしょう。無事に下山できてなによりせす。暑さ対策は「荷物を極力減らす」ことですかね。荷物が多いと時間と体力がかかって、その分水がたくさん必要になって、さらに荷物が増えるという悪循環になるので、その逆をやると意外と2Lもいらずに登れてしまうことがあります。

  • コメントありがとうございます!
    新潟ホント暑かったです!

    登り五合目時点で、特に水溜りに足を突っ込んだ訳でもないのに、靴下と靴の中は汗でダバダバでした。脱いで搾りましたが、手袋も同じでした。

    余りの暑さに登りの途中で既に撤収すら考えたのですが、八合目付近でザックの大部分をデポって、天蓋だけをアタックザックとして、何とか登頂だけは果たしました。
    何時ものクライミングギアがかなり堪えましたが、一番は風がほとんど吹かなかった事ですね。

    荷物は見直します。
    アドバイスありがとうございました!

登った山

中ノ岳

中ノ岳

2,085m

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