行程・コース
天候
1日目:晴れ 2日目:曇り時々晴れ 3日目:曇り
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
新宿(7:35)から安曇野穂高(11:31)まで中央高速バス白馬行き
穂高駅(12:55)から中房温泉(13:47)までバス
有明荘で前泊
この登山記録の行程
【1日目】
中房・燕岳登山口(06:07)・・・第2ベンチ(06:58)[休憩 2分]・・・合戦小屋(08:20)[休憩 13分]・・・燕山荘(09:30)[休憩 11分]・・・大下りの頭(10:32)・・・切通岩(11:48)・・・大天荘(12:29)[休憩 61分]・・・大天井岳(13:37)[休憩 17分]・・・大天荘(14:00)
【2日目】
大天荘(05:46)・・・大天井ヒュッテ(06:25)[休憩 5分]・・・ヒュッテ西岳(08:37)[休憩 15分]・・・水俣乗越(09:47)[休憩 15分]・・・ヒュッテ大槍(11:42)[休憩 51分]・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ・・・槍ヶ岳山荘(13:23)[休憩 10分]・・・槍ヶ岳(13:56)[休憩 19分]・・・槍ヶ岳山荘(14:27)[休憩 13分]・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ・・・ヒュッテ大槍(15:13)
【3日目】
ヒュッテ大槍(06:15)・・・グリーンバンド・・・天狗原分岐(07:18)・・・天狗原(07:55)[休憩 15分]・・・天狗原分岐(08:43)・・・水俣乗越分岐(09:18)・・・ババ平(09:41)・・・槍沢ロッヂ(10:06)[休憩 14分]・・・一ノ俣(10:51)・・・横尾(11:35)[休憩 10分]・・・徳沢(12:38)[休憩 10分]・・・明神(13:36)[休憩 6分]・・・河童橋(14:17)[休憩 50分]・・・上高地バスターミナル(15:13)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
昨年、台風接近で引き返した表銀座コースを、見頃の紅葉の中ようやく歩き通すことができました。
コロナ禍の中での夏山シーズンも2回目。さらには群発地震に、予定していた山小屋での感染者発生に伴う一時休業など、天の時、地の利、人の和はなかなか揃わない。9月最終週にようやく取れた休暇で登山するのは大手を振ってというわけにはいかないが、思い切ることとした。候補はいくつかあったのだが、公共交通機関の運行状況などから、昨年台風接近で途中から引き返した表銀座縦走コースを歩き直すことにした。情勢がいつもより不透明な中、中央高速バス、燕山荘グループの山小屋のいずれもオンラインで予約やキャンセルの融通がきくのが、大変ありがたかった。
天候の都合で予定を繰り下げたところ、あてにしていた夜行バスが運行されないことを知り、急遽登山口の有明荘に前泊。初日から露天風呂とは贅沢な旅程だが、燕山荘グループは旅館である有明荘はもちろん、リソースの限られる大天荘、ヒュッテ大槍とも感染拡大防止に留意し、定員削減や完全予約、間仕切りなどで就寝や食事時の距離を確保できるよう最大限の配慮をしてくれていた。紅葉のハイシーズンであるにもかかわらず、結果的にスペースに余裕が生まれ快適に過ごすことができた。利用者側もインナーシーツの持参、会話を控える、マスクの着用、こまめな手指の消毒など留意が必要だが、感染症との付き合いの中で人が人として行動する上での必要なことと考える。
<1日目 合戦尾根を登り大天井岳へ>
中房温泉ー燕岳ー大天井岳ー槍ヶ岳ー上高地と結ぶ表銀座は、定番の大人気コースなので、特に付け加えることはない。昨日の雨も予報通り上がり、樹林の中を歩きやすく整備された合戦尾根を登る。合戦小屋までは樹林の中を涼しく登れるので、注意すべきはペースを守って着実に登ることだろう。桂の木の甘い香り、針葉樹の爽やかな香りを楽しむ。合戦小屋から上部は、森林限界を超えて展望が開け、所々ダケカンバの黄葉やナナカマドの紅葉が目を楽しませてくれる。
燕山荘から大天荘まではなだらかな稜線歩き。登山者もグッと減る。途中、蛙岩(げえろいわ)の区間は、夏道と冬道の区別が判然としないところもある。目の前に大きく立ちはだかる大天井岳に、体力が落ちている今シーズンあそこまで登れるのだろうかと弱気になるが、このコースの大きな楽しみは槍ヶ岳が近づいてくること。大下り頭などせっかく稼いだ標高を吐き出させられるポイントで「誰か橋をかけてくれないかな」などとバカなことを思い浮かべながら、この日最後の大天井岳への急登を凌げば大天荘前に飛び出す。
私に割り当てられたのは、昨シーズン同様に板で間仕切りされた一畳半のスペース。隣を気にすることなく快適。朝食が5時とはありがたいが、夕食が午後4時半とは驚いた。
<2日目 大天井岳から西岳を経て槍ヶ岳往復>
二日目は高曇りで時折晴れ間がある天候。風も終始穏やかな登山日和。ここから先は初めて歩く区間だ。大天荘から大天井ヒュッテまでは、がれ場のトラバースで注意して下る。大天井ヒュッテから先はなだらかで歩きやすい。森林限界まで標高が下がるたびに色づいた木々が楽しい。ビックリ平など槍ヶ岳の展望を楽しみながら歩ける。
ヒュッテ西岳から先は、岩稜に様相が変わる。事実上ここからが槍ヶ岳に連なる東鎌尾根だと気分を切り替えるべきだろう。水俣乗越までハシゴや鎖を伝わり急下降、そこからヒュッテ大槍まで岩稜を登り返していく。整備されてはいるが、足元はガレやザレで、注意が必要。ホールドも豊富で技術的に困難ではないが、3点確保などの基本動作はしっかりと。水俣乗越でヘルメットを着用したが、ヒュッテ西岳からでもいいだろう。ヒュッテ大槍に到着したのは昼前。
ランチを食べてもまだ時間が十分あったし、最終日の長い歩行距離を分割するためにも、本日中に槍ヶ岳を往復するように計画を変更。2021年9月の群発地震で東鎌尾根上部は通行禁止なので、殺生ヒュッテを経由して槍ヶ岳へ。何度か計画したもののいずれも果たせなかった槍ヶ岳山頂を6年ぶりに踏む。ヒュッテ大槍の食事は楽しみにしていたが、これは山小屋のレベルを超えている。美味しくいただきました。
<3日目 天狗原の逆さ槍に立ち寄り上高地に降る>
最終日の目玉は天狗池の紅葉と逆さ槍だ。当初計画では槍ヶ岳から南岳に進み宿泊、大キレットの展望を楽しんだ上で天狗池に降る予定だった。ところが南岳小屋で感染者が出て営業休止となり、計画を短縮したのだ。結果的には三日間の日程が今の私の限度だったかもしれない。二日目あたりから登山靴が左足に干渉し、くるぶしの辺りがひどく痛む。どうやら筋力不足でバランスが悪くなっているようだ。
痛みを誤魔化しながら天狗原の分岐まで槍沢を下ると、濃い霧があたりを覆ってしまう。足の痛みや上高地までの長い距離を思い、迷ったが、ガスが薄れる気配もあり、思い切って計画通り天狗池を目指す。ゴロゴロした岩の中をペンキや竹竿に下げた赤い布切れを目印に登る。ナナカマドの紅葉も鮮やかで、槍ヶ岳も霧の中から再び姿を表す。曇天ではあったけれど、静かな天狗池で逆さ槍をしばし眺める。天狗原への分岐を戻る途中、ガスの中からゴーっという大きな音と、カラカラ乾いた音が聞こえてきた。おそらくは群発地震の影響で岩場が崩れたのだと思われた。
紅葉の表銀座縦走のやり直し、6年ぶりの槍ヶ岳登頂、天狗池の逆さ槍と計画の目玉を達成し、残すは上高地までの下山だが、いよいよ左くるぶしの痛みが誤魔化せなくなってきた。上高地はそれ自体が景勝地だが、山を歩き通し疲れた下山者にとっては長い長い道のりだ。小梨平のキャンプ場にようやくの思いでたどり着き、入浴。さて遅いご飯でもと思ったら、上高地バスターミナル周辺の食堂はすでに営業を終えていた。明神で嘉門次小屋の鮎の塩焼きを我慢してきたのに・・・。まあ、超山小屋級の美味しいご飯も食べてきたし、パンで我慢して帰りのバスに乗り込んだ。
4ヶ月ぶりで体力低下を心配したが、なんとか歩き通すことができた(?)。天候にもまずまず恵まれ、紅葉も見頃で満足だった。筋肉痛は大したことないのだが、左くるぶしは大きく腫れ上がり痛みもひどく、受診したところ腱鞘炎とのこと。完全に腫れと痛みが引くまで2週間近くを要した。足が外側に湾曲気味だそうで、インソールを検討しようと思う。コロナ禍での運動不足、4ヶ月ぶりの登山ということで、余裕を持たせた計画としたつもりだったが、少々見立てが甘かったようだ。
コース定数105、信州山のグレーディングC。
持参したものの使わなかった装備、ダウンパーカ(さほど寒くなかった)、トレッキングポール、携帯バッテリー(大天荘は100円、ヒュッテ大槍は無料で充電できた)
フォトギャラリー:68枚
今回は夜行バスの設定がなかったので、有明荘に前泊。露天風呂を楽しんで、ご飯食べて寝るだけ。休みとしては誠に望ましいが、登山初日としては、お気楽すぎ?
中房温泉登山口からスタート
色づいた木々。合戦尾根はよく整備され、登りやすい
合戦小屋を超えると槍ヶ岳が顔を見せる
前日の雨も止み、綺麗に晴れ上がる
有明山と安曇野の雲海
燕山荘は今年で100周年。昨年に続き、今回も燕岳共々パスして先を急ぐ。
裏銀座縦走コースの山並み
蛙岩と槍ヶ岳を前方に見ながら進む。
燕岳方向を振り返る
森林限界あたりまで標高が下がると紅葉したナナカマド
大下りの頭
大天井岳へ伸びる稜線。高く、遠い。
切通岩
大天井岳への最後の登りはきつい
大天井岳山頂も踏んだが、残念ながら登頂時にはガスで展望なし
大天荘前から、ガスに巻かれる槍ヶ岳
残照
二日目の夜明け
二日目の夜明け。霜柱が立っていた。
モルゲンロートの穂高
大天荘から大天井ヒュッテまでの降りは、がれ場の厳しいトラバース
二日目は高曇りだが、晴れ間もあり眺めは良い。
大天井ヒュッテと牛首山。この展望台はなるほど眺めが素晴らしそうだが、今回はパス。
標高が森林限界まで下がると、秋色
北鎌尾根を従える槍ヶ岳が大きさを増してくるのも、このコースの魅力
ヒュッテ西岳と穂高
ヒュッテ西岳から水俣乗越へは岩稜に様相が変わり、梯子や鎖場などを経て大きく降っていく。
水俣乗越。右手は北鎌尾根を目指す人の下降点。ここからヘルメットを装着。ここからの登り返しもきつい
鮮やかに紅葉するナナカマド
東鎌尾根の険しさに、なるほど槍ヶ岳に連なるのだと納得
この角度から見る北穂高岳は、ちょっと新鮮
昼前に本日の宿、ヒュッテ大槍に到着
昼食を食べ終わってもまだ昼過ぎ。予定を前倒しして、本日中に槍ヶ岳まで往復。ヒュッテ大槍ー槍ヶ岳山荘間は群発地震の影響で通行不可。殺生ヒュッテ経由で槍ヶ岳を目指す。
できることなら最後まで東鎌尾根を進みたかったな
槍沢上部のつづら折れは、きつい。
槍ヶ岳山荘からヒュッテ大槍を見下ろす
飛騨乗越から雲湧く飛騨側の光景
小槍
穂先へ
槍ヶ岳登頂は6年ぶり
気を抜かずに降ります
常念岳と三日目の夜明け
眼下の雲海と頭上の高曇りの雲に挟まれて朝日が差し込む
二日連続で印象的な朝焼けを見ることができた
朝日に焼ける槍ヶ岳
同じく穂高の峰々
槍沢を下る
早くもガスが上がってくる
周囲はガスで真っ白。悩んだけれどダメもとで天狗原を目指す
ガスも切れてきた!
チングルマ
天狗池と逆さ槍
天狗池から分岐に戻る際、眼下の霧の中からゴーっという音とカラカラという乾いた音が10秒ほども続いた。群発地震の影響だろうか、岩場が崩れる音だったのだろう。
槍沢から上高地まで、長い長い道を痛む足を引き摺るようにして進む。




