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息もできぬ強風一瞬の霧の晴れ間に大朝日岳の素晴らしさを知る

清太岩山、ユーフン山、竜門山、西朝日岳、中岳、大朝日岳、古寺山( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

曇りのち雨(ガスガスと強風)

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビに「日暮沢避難小屋」をセットして進む。小屋手前4~5kmは未舗装。危険な個所はないが、普通車は徐行が必要。
日暮沢避難小屋の横に、大きな駐車場が整備されていた。過去の記録では10台程度と聞いていたが、拡張された模様。小屋から更に林道突き当りまで進んだところにも数台のスペースがあったが、夜間は小屋の分岐付近にあったゲートが閉じていた。
日暮沢避難小屋(日暮沢小屋)は3階建で立派な建造物。協力金として一般:1,500円らしい。中にトイレはある模様。

この登山記録の行程

日暮沢避難小屋(05:43)・・・ゴロビツ沢源頭水場(06:49)・・・清太岩山(07:33)・・・ユーフン山・・・竜門山・・・竜門小屋分岐(08:39)・・・西朝日岳(09:22)・・・中岳・・・金玉水・・・大朝日岳山頂避難小屋(大朝日小屋)(10:26)・・・大朝日岳(10:37)・・・大朝日岳山頂避難小屋(10:53)(休憩~11:10)・・・銀玉水・・・古寺山(12:32)・・・三沢清水(12:49)・・・ハナヌキ峰分岐(13:10)・・・日暮沢小屋(14:35)

コース

総距離
約20.7km
累積標高差
上り約2,089m
下り約2,088m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

仙台での用事を済ませ、一路、大朝日岳へ。
予定では明るいうちに移動するつもりが、すっかり暗くなってしまった。
待望の大朝日岳。当初、朝日鉱泉からの周遊を考えていたが、他の記録を見ているうちに、ふと日暮沢避難小屋からの周遊に心が動いた。
宮城から山形の県境を超えた付近から、激しい雨が降ってきた。遠くの山では雷が光っている。悪天候とは聞いていたが、「明日までに止むのだろうか」と不安になる荒れ方だった。
暗がりの中、ハイビームにして細い林道を進む。
危険な個所はなかったが、大きな水たまりを過ぎる度に、小さな車体が左右に大きく揺れた。
小屋手前のカーブ。ハンドルを切ったところで、目の前にあるはずの道がなく、代わりに激しく流れる濁流が飛び込んできた。思わず急ブレーキ。
大雨で沢が溢れたのか、道が川のようになっている。
ライトに反射して水深がよく分からないので、一旦車から降りて状況を確認する。車がスタック、もしくはそのまま流されたら一巻の終わりだ。かなり肝を冷やしたが、なんとか行けると判断して徐行ですり抜けた。
50m程進むと日暮沢避難小屋に到着。
車のライトで3階建ての大きな小屋が浮かび上がった。駐車場はその手前に10台程度分と聞いていたが、整地されたとても大きな駐車場があった。未舗装だが、ロープで区分けもされている。最近整備したのだろうか。
邪魔にならないように、一番端に駐車して仮眠をとる。雨はまだ激しく降っていた。
3時に一旦起床したが、終日運転していた疲労が抜けきっていなかったため、2時間程出発を遅らせることにした。
改めて5時に起床。目覚めも良く体力もかなり回復している。これならいける。
車の外に出てみる。濃い霧が立ち込めていて、正確な天候は分からなかったが、心配していた雨は止んでいた。「よし、行こう!」。
短時間で身支度を整え、日暮沢避難小屋の脇から山道へと入っていく。
数分後には斜面に取り付き、尾根沿いに樹林帯を登っていく。
樹々の間から朝日が差し込んできた。左側の山を見ると、その上に太陽が顔を出しているのが見えた。「このまま晴れてくれればよいが」。
それよりも気になるのは、先ほどから聞こえてくる「ゴーーーーッ」と唸るような風の音。樹木に守られて直接風は感じないが、相当強い風が吹いているようだった。
天気予報では、「曇りと強風」となっていたので、確かにそれなりの覚悟が必要そうだった。
ゴロビツ水場へ到着。
看板のところに「美味しいよ」と書かれたメモがあったので、試しに立ち寄ってみると、小さな沢があった。ほとんど水はなく、僅かに「ちょろちょろ」と流れているだけ。
衛生的に合格とは言えないが、気にする方ではないので躊躇せずに飲んでみる。僅かに土の味がしたが、これも山の味。あちこちの山で飲み比べをするが、意外にそれぞれ味に特徴があって面白い。
清太岩山へ到着。
樹林帯を抜けて周囲が見渡せるようになったが、期待むなしくこれから向かう先の稜線付近は、厚い雲で覆われていた。
駐車場ではau、docomoともに圏外だったが、どうにかauが繋がったので、山仲間にLINEメッセージで朝の挨拶を送っておく。
先の平ヶ岳では、食料の買出しに失敗してシャリバテで苦しんだため、今回はしっかりと食料を用意してきた。軽く朝食をとり、いよいよ大朝日岳の稜線歩きを開始する。
歩き出して直ぐに雲に突入。ガスガスで何も見えない。同時に強烈な風が押し寄せてきた。身体が持っていかれるほどではないが、気を許すと足元がふらついてしまう。一番厄介だったのは、吹き付けてくる風で呼吸ができず息が上がりそうだった。
僅かな視界の中で、真っ赤に紅葉したナナカマドを見つけた。登ってくるときにはそれほどでもなかったが、稜線付近はそれなりに紅葉しているようだった。
と、思った瞬間、雲が風で大きく流れて赤と黄色に染まった山肌が目の前に現れた。周囲の緑が、一層、赤と黄色を際立たせている。
慌ててカメラを取り出し、シャッターを切る。もうこんなに紅葉が進んでいるなんて。
結局、雲の切れ間はここだけだったが、それでも大朝日岳の紅葉の実力を知るには充分だった。秋になるとアルプスのような縦走路が、色とりどりに染まるという。「これはまた来年リベンジだな!」と歩き始め早々にそう思った。
再び、強風とガスガスの世界へ。もうどこを歩いているのかさえ分からない、ただの苦行だ。これ以上、風が強くなれば中止も考慮する必要があるが、ここではエスケープも出来ないため、とにかくスピードを上げて距離を稼ぐ。
竜門山から西朝日岳へ。朝日連峰で2番目の高さを誇るが、ここもホワイトアウトで何も見えない。西朝日岳から向きを変えて、大朝日岳方面へと真っすぐに進んでいく。
植生が変わって黄金色の草紅葉が霧の中で風に揺れていた。
途中、水場の「金玉水」を楽しみにしていたが、勢い余って見落としてしまった。
霧の中に大朝日の避難小屋がぼんやり見えてきた。立ち寄ろうかとも思ったが、後回しにして、まずは大朝日岳の山頂を目指す。
小屋の横から延びる登山道。斜面をぐいぐい登っていく。それほど遠くはないが、風景が見えないためか意外に遠く感じだ。
山頂に到着。
竜門山付近よりは収まっているものの、それでも時折、強い風が吹きつけてくる。なにより体温が奪われたのか、震えるほどに寒い。
雲が切れるのを暫く待ってみたが、残念ながらその気配はなかったので、大朝日岳避難小屋まで戻り昼食をとることにした。
食事を終えて、いよいよ周遊の後半戦。小朝日岳を目印に進む。
避難小屋から少し降ると、雲ゾーンを抜けて急に視界が開けた。広い稜線がいっぱいに赤や黄色に染まっている。紅葉に囲まれながら延びている登山道がとても素敵だった。この稜線は実に素晴らしい。
「ぽつぽつ」と冷たいものが頬に当たった。
振り返ると西朝日岳方面からひと際黒い雲が押し寄せてきている。
「これは急がねば!」とスピードを上げたら、またもや水場「銀玉水」を見落としてしまった。大朝日岳で最もおいしい水と言われているだけに、勿体ないことをした。
近づくにつれて、天を衝くように大きく小朝日岳が聳えて見える。縦走前半に遠くに特徴的な尖った山が見えたが、まぎれもなく今向かっている小朝日岳だったのだろう。少しも「小」ではない。
小朝日岳の斜面へ取り付く。
縦走の疲れもなくガシガシと登っていく。雨がぽつぽつと来ているがまだ本降りではない。今のうちに登り切ってしまおう。
看板に「日暮沢」の文字が目に入った。「よし、ここまでやってきたか」と迷わず、看板に誘導されて進む。が、これが失敗。直登からトラバースに変わった時点で気がつけばよかったが、山頂を回避して巻いていることに気が付いた時には既に結構歩いた後だった。鋭い頂に登ってみたいと思っていたのに残念だった。ま、これで確実に大朝日岳にリベンジする理由ができたということか。
水場「三沢清水」に到着。
水色のホースからバケツに向かってものすごい水量が流れ出ていた。掬ってみると。これがまたものすごく美味い。二杯のつもりが止まらず、結局、五杯飲み干してしまった。大朝日岳は自然が豊かと聞くが、これだけ水場が豊富な山も珍しい。
ハナヌキ峰分岐に到着。右に進むと古寺鉱泉。一般的なメジャーコースだ。
自分は真っすぐ「日暮沢」方面へと進む。
コースは一旦、小高く登りその後、尾根沿いに降っていく。
大した降りではないと思っていたが、これが思ったより手ごわかった。ずり落ちるような急斜面が延々続いた。
そして、下山してからがまた長かった。水平方向への移動に切り替わるが、延々と歩かされたため、橋を渡り林道に合流した時は本当にホッとした。
車に戻った後、雨でぐしょぐしょになったため、近くの沢で水浴びをする。下山後の温泉も良いが、これはこれで気持ちがいい。
さて、明日はどこの山に登ろうか。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 山屋は究極のポジティブ思考の持ち主ですね(^^)

  • そうそう。山と共に生きる!だ、
    人生マウンテンマウンテンです。^_^

  • 次は以東岳を目指します。

  • 以東岳、いいですね。。。
    飯豊も大朝日も、天気が悪かった記憶しかないので、快晴の時に、この近辺また歩きたいです。

    先週末も仕事だったので明日はどこか行きたいのですが、、、身体がだるおもでぐずぐずしています。

登った山

大朝日岳

大朝日岳

1,871m

竜門山

竜門山

1,688m

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