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馬鹿尾根

( 南アルプス)

パーティ: 1人 (nokkie さん )

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行程・コース

天候

①7/24晴れ ②7/25晴れ ③7/26夜半にわか雨のち晴れ、午後時々雨・雷鳴 ④7/27晴れ、午後雷雨 ⑤7/28晴れ、午後時々雷雨 ⑥7/29晴れ、午後霧のち雨のち曇り ⑦7/30晴れ
 7/22に関東甲信越地方が梅雨明けし、台風5号が太平洋高気圧の勢力を強め、日本列島に「クジラのしっぽ」となって張り出し、午前中を中心に全日安定した天候でした。中盤、雲は多めながら、遠望は効き、素晴らしい展望と美しい森の山歩きを満喫できました。長めの山行では週間天気図で特に低気圧・前線の無い日程を狙って決行。

登山口へのアクセス

マイカー
その他: ①5:00戸台・仙流荘幕場に荷物デポ後、下山口の鳥倉林道・第2駐車場へ。車を置き、9:29伊那バス鳥倉線乗車1,560円→11:00伊那大島駅着、セブンイレブンでおむすび2個、菓子パン1個購入、11:53JR飯田線乗車680円→13:05伊那市駅着、県道146号に出て、13:21伊那通町よりJRバス乗車530円→13:45高遠駅着。割烹だるまやにて昼食、穴子天丼850円。15:00伊那市バス長谷循環線乗車310円(土日祝運休)→15:29仙流荘帰着。②6:05南ア林道バス乗車1,070円→6:30歌宿着。

この登山記録の行程

入山日前日を、下山口への車の回送・入山口への移動に当てています。

【1日目】
歌宿(06:35)・・・馬の背ヒュッテ(11:34)・・・藪沢小屋(12:00)

【2日目】
藪沢小屋(04:48)・・・馬の背ヒュッテ(05:15)[休憩 5分]・・・仙丈小屋(06:08)[休憩 5分]・・・仙丈ヶ岳(06:44)[休憩 13分]・・・伊那荒倉岳(10:15)[休憩 15分]・・・野呂川越(12:43)・・・両俣小屋(13:30)

【3日目】
両俣小屋(05:35)・・・野呂川越(06:28)・・・三峰岳(10:31)[休憩 12分]・・・三国平(11:36)[休憩 5分]・・・熊ノ平小屋(12:15)

【4日目】
熊ノ平小屋(05:30)・・・安倍荒倉岳(6:12)・・・新蛇抜山(7:50)・・・北荒川岳(09:31)・・・雪投沢源頭部(11:50)

【5日目】
雪投沢源頭部(4:50)・・・北俣岳分岐(5:55)・・・塩見岳(6:30)・・・塩見小屋(08:00)・・・本谷山(09:48)・・・三伏峠(11:05)

【6日目】
三伏峠(06:00)・・・塩川ルート合流点(06:18)・・・豊口山間のコル(07:25)・・・鳥倉(豊口山)登山口(08:19)・・・鳥倉林道ゲート(09:00)・・・鳥倉林道第2駐車場(09:17)

予備日は1日設けましたが、消化せず。

コース

総距離
約43.5km
累積標高差
上り約4,755m
下り約4,814m
コースタイム
標準30時間56
自己32時間34
倍率1.05

高低図

標準タイム比較グラフ

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

まずは「山チャレ!」のテーマ:「仙塩尾根を幕営自炊で歩く。」

 里は連日猛暑日、樹林帯8割、森林限界より上2割なら涼しかろう!?
 父に連れられ、大菩薩嶺を歩いたのが20年前の「山の日」。山歩きを始めてしばらくすると、その父から何冊か山の本を貰った。その中に昭和41年山と渓谷社発行の「アルパインガイド19南アルプス北部 白峰・甲斐駒・仙丈」があった。著者は昨年亡くなられた白旗史朗先生。案内書として大変親切丁寧で、更に歯に衣着せぬ彼の綴る文章にも引き込まれた。
 この本では仙塩尾根の内、「三峰岳と仙丈岳をつなぐ間を馬鹿尾根とよんでいる。これは森林帯で展望もなく、馬鹿馬鹿しく長いだけという意味でこうよばれる。」とあり、更に「(両俣小屋を中継点とすると)翌日のコースはやはり北岳の方に向けられてしまうことが多い。」とも。納得!

 なぜ南アルプス?
 南アルプスの魅力は、高い森林限界、美しい森、主稜では一つ一つの山が大きく歩き甲斐があり、入山者は比較的山慣れしていて、小屋の人が温和なところ。今の自身には、北部を中心にまだ幕営料が安いところも。
 当初の計画は2009年立案で、北沢峠〜仙丈ヶ岳〜三峰岳〜間ノ岳〜農鳥岳〜奈良田。当時は現役で、お金はあっても時間が無く、山小屋5泊各2食付で計画するも実行できず。今はお金は無くとも時間はある。「山に登るということは、絶対に山に寝ることでなければならない。山から出たばかりの水を飲むことでなければならない。」(田部重治先生) モットーはルン♡キャン(ルンペンキャンプ。師匠は畦地梅太郎先生。)なので、幕営自炊で行きましょう。

 お断り
・入山前泊含め6泊7日、行程上幕営で無い所もあります。
・「行程」が正しく、「コース」と異なっています。これは、ヤマタイムで自由地点を選択すると、「宿泊」を選べないためです。
・初日①7/24(入山日前日)は下山口への車の回送・入山口への移動に当てています。自身の幕営山行の多くで、最終日は下山口に近い幕場から下山のみにすると、1日長く山に浸れた気分になり、それまでの行程の整理が付きます。更にその後、温泉・グルメ・お土産・観光等に時間を充てることができます。リレー行動により、山行が旅行になります。下山して疲れて、重い荷を背負って公共交通機関等にて入山口まで戻ることは、初日の行程による歩き始めの時間や、交通機関の連絡の悪さ等でどうにもならないこともありますが、なるべく避けています。更に渋滞の多いこの時期、代わりのいない単独では復路の車の運転にも影響しますので。
・各日行動時間はコースタイムで原則6時間以下にて設計しています。荷が重く、フィジカルは強く無く、コースタイムでは歩けないので、早出早着を心掛けています。真夏の山は大抵午後雷雨にやられます。日の出と共に歩き出せば、朝の澄み切った空の下、いくらか涼しく歩けます。

 南下か?北上か?
 計画時、この点悩まれる方もいらっしゃるかと。これまで仙丈ヶ岳には2回、塩見岳には1回行きました。この間を繋ぐ今回の山行、参考に過去の私蔵ヤマケイをめくると、6件中5件の記事で南下。記事から妄想するのは、振り返るとこれまで歩いた遙かなる縦走路、北荒川岳から望む凄惨な崩壊地と、「漆黒の鉄の兜」(深田先生)の対照。妄想に応えるのは、南下! 認知バイアスで行く前から遭難してます?

 アプローチに丸一日
 「登山口へのアクセス」の通りです。昔ながらの時刻表を追っての設計。運行期間・運行日・出発日・曜日すべてを擦り合わせます。結果、いくつかメリットがあります。
・公共交通機関の連絡。乗り換えの待ち時間に買い物・食事。
・先に入山口に荷物をデポ、下山口に車を置いてから身軽に移動。
・鳥倉林道発のバスの荷物代780円の節約、規定内の手荷物に収めて。
・仙流荘・幕場代1,000円/1泊 < 南アルプス林道バス利用者駐車場料金1,000円/5日間 X2
・仙流荘に戻り、バス乗り場で翌朝のバス乗車券を購入できた。翌朝は乗車列に並ぶだけ。

①7/24 晴れ
 1:14自宅より車で出庫、明るくなった4:30頃、仙流荘に到着。玄関は開いていて、ロビーに数人、フロントに職員さんが出てきて幕場の受付。
 幕場に荷をデポ後、5:15仙流荘を発ち、分杭峠を越え大鹿村へ。6:00道の駅歌舞伎の里大鹿に着くと、小渋川を挟んで三六災害の大西山の大崩落斜面が大迫力。このまま鳥倉入りは早すぎるので、大西公園へ。ここは崩落跡地に慰霊復興のため作られた公園で、春は桜が綺麗らしい。眺めは、小渋川の先に赤石岳! ライブカメラでお家でも見れます。
 ぼちぼち鳥倉林道へ。越路の第1駐車場は満車にて、1.2km程手前の第2駐車場へ。日差しが暑く、木陰で1時間以上待ってバス乗車。以下、仙流荘までは「登山口へのアクセス」の通りです。
 15:29仙流荘着。バス乗り場で、翌朝の歌宿までの片道バス乗車券を買えたのはラッキー。券は5日間有効。幕場に戻り、幕は張らず、寝床のみ準備。普段1日2食で昼食がご馳走だったのでお腹は空かない。早めに寝るが、隣の入浴施設の明かりが眩しい。幸い20時頃には消灯。

②7/25 晴れ
 2:40起床。昨晩幕場の利用は自分だけ。少し蒸し暑く、夜半窓を開けた。早着の車の音がうるさい。食欲なく、持参のツナサンド半分食べ、荷をまとめ4:00乗車待ちの列へ、先頭。明るくなるに従い、乗車券購入の列が長くなっていった。バスでの北沢峠のアプローチは今季も戸台のみ。バス会社の方曰く、「バス1台28名の定員、今朝は4台出す予定。」 5:51先頭のバス到着。1番左前に着席。出発するとすぐに歌宿で降車の確認があった。自分だけのようだ。戸台大橋を渡り、グングン高度を稼ぎ、鋸岳の稜線が下がってくると、歌宿着。後続のバス3台でも歌宿で下車する人はいなかった。ここにはベンチ、トイレもある。靴紐を締めながら、逆光気味の鋸岳の影を見上げる。覚悟を決め、6日分の重荷を背負い出発。洞門を潜り、林道脇の落ち水で一杯、程無くして丹渓新道と合流。「怪峰鋸岳の偉景」、ここに住みたい。今日の丹渓新道の上りは馬の背まですれ違いは無いだろう。7:06コンクリで覆われた法面の取り付きは階段、刈り払い無く、少々草がうるさい。すぐに樹林帯へ入ると、森が美しく心地良い。しかしひと月以上歩いていなかったことと、重荷・急登で思いのほか捗らない。小休後、「一息一歩」にすると、優しい木漏れ日の中、いくらか歩き易くなった。9:40五合目。9:54独標。馬の背の上方に、藪沢カールを囲む仙丈ヶ岳の頂綾が見える。道沿いの花が増えてきた。下草はマルバダケブキ、木々は岳樺になり、10:51八合目。這松も優勢に。11:15砂礫地の終わりに近づくと、小仙丈ヶ岳の稜線に人影が見え、話声が聞こえる。植生保護棚が現れ、分岐を下り、ヒュッテのテラスで小休、小屋は藪沢を渡ったすぐ先。12:00藪沢小屋着、無人。朽ちかけた木のデッキ、携帯トイレブース2基、水場あり。荷を軽くするため、持参した缶酎ハイを水場で冷やす。デッキでは子連れの2家族が昼食を広げ賑やか。小屋1階の天井は低い。異臭は無いが、湿度高め、窓を開けると、虫がうっとうしい。1,2階で12床程、寝具あり。13:00〜昼酌。酔いの回った中、寝床を準備し、早めに就寝。

③7/26夜半にわか雨のち晴れ、午後時々雨・雷鳴
 2時過ぎよりにわか雨、屋根に打ち付ける大きな雨音、来客かと思った。1時間程で止んだ。前日より軽い頭痛。朝食後、早めに荷造り。
 4:48日の出と共に出発、藪沢を渡り馬の背を辿り、6:08藪沢カールの底へ。岩屑の道を上り、6:24カールの縁へ。分岐の西は地蔵尾根。ひと上りで、6:44仙丈ヶ岳、3度目で初めての快晴、たった一人の百名山。目指す塩見岳は遠い。ここから馬鹿尾根、今日は両俣までほぼ1,000m下る。7:01小仙丈ヶ岳への分岐を過ぎ、保護棚のある窪地の脇を抜け、痩せた岩稜の先、7:31大仙丈ヶ岳。下り始めると、道脇に茶色の動く物体。5羽の雷鳥の親子。窪みを越えた先で小休、雨具から穿き替える。8:38這松が濃くなり、9:27樹林帯へ。9:38苳の平?9:40白檜、深く美しい森。10:15伊那荒倉岳、展望なし。下って、10:40高望池、枯れている。水場2分、枯れることあり、とある。更に「ゴミは両俣小屋まで!!」とある、どういう意味? 下草はシダ、そして倒木と続く。上って這松になると、11:18独標。周囲の3,000m頂頭部には雲の底が掛かっている。11:30岩場に緑のナイロンロープ、重荷には助かる。再び、木漏れ日の差し込む美しい森。12:10横川岳、展望無し、左へ直角に曲がる。急降、周囲の枝が切り落とされている。左足指が痛い。堪えながら、12:43野呂川越。まだ300m程下る! 下り口に幕張跡、疲れていたら下りたく無いよな。この下り道は悪い。小さく崩れている所が多い。沢音が聞こえ、河原に出ると両俣出合、13:30両俣小屋着、下りが苦手、今日はもう歩けない。入り口脇のベンチが賑やか、奥の厨房で星さんは仕込み中。宿帳に記入していると、猫が脇で相手をしてほしいそうな素振り。「水場はそこ、トイレは2ヶ所、ゴミは分けて捨ててください。」って持ち帰りでしょうが?
 14:13下流側に幕張、雨がポツリ。水を汲みに行くと、小屋入り口前に、昔甲武信小屋にいたKさんが!? 15時前より雷鳴、そして降雨。疲れて食欲ないが、15:30〜昼酌。メインはハヤシメシ。味が濃く、ルウ多めで米が柔らかく喉を通り易い。アルファ白米+レトルトより早い、安い、軽い、旨い。携行はジプロックに詰め替えて。食後、酔い覚ましに散策、テラスにイチゴ、ホタルブクロの群落、踏んでしまいそう。山ヤ、釣ヤ、トレランさんと、とても繁盛してます。

④7/27晴れ、午後雷雨
 なぜか寒気がして体が震え、少し眠れず。寝具は暑い位なのに。3時頃起床、朝食後ゆっくり撤収。今日は三峰岳まで約1,000mの上り、馬鹿尾根の核心部。5:37出発。両俣出合より森に入り、急登。一汗かき、6:28野呂川越、ペース早過ぎ。6:38三角点。単調な上り、道ははっきりしていて林相が素晴らしい。7:24、8:25小休2回、急登後、下って進み、9:11岳樺這松、9:20岩場に緑のロープ。重荷で大変難儀した。あわよくば三峰岳から空身で間ノ岳往復、と考えていたが撃沈。上がって振り返ると、馬鹿尾根を俯瞰気味に一望、野呂川越を境に、前半下り、後半上り。行く手に見上げる三峰岳と間ノ岳に続く吊尾根、人が見える。この先三峰岳へは遠くから見るより急登。小ピークを2つ越えると、時折伊那側からガス。三峰岳西稜越しに熊の平小屋が見えてきた。10:25 3つ目のピークを巻いた鞍部が間ノ岳への分岐。ひと登りで10:31三峰岳。ガス優勢で白峰の頂頭は覆われ、かろうじて農鳥小屋は見える。三国平とを結ぶ巻道は広大な圏谷に付いている。姿は見えないが人の声がする。遅れているので小休を切り上げる。途中の稜直下も巻道、歩きづらく、捗らない。11:21再び稜上に出て、広くなってひと下りで、11:36三国平。巻道から若い男性3人組が来たので、少し先で荷を下ろし、小休。雲の底が低く黒くなってきた。幕を張り終えるまで持ちますように! 這松帯に入り、11:49小屋が見えてきた。岳樺の疎林、補修された道を下ると12:06井川越、崩壊が進むと、この草原も無くなる? 痛い左足を引きずりながら、ヘリポート・幕場の上を抜け、12:15熊の平小屋着。
 受付後、小屋直下の樹林の一番中央・平な所に幕張。鳥のさえずりがBGM。するとすぐに13:20ポツリポツリ、13:25〜雷も。少し収まった所で水を汲みに。14:44〜昼酌。幕内で酔いに浸っていると、幕の外で小鳥の羽ばたく音、すると偶然にも幕の前室の隙間の向こうに、雀のような小鳥が。お互いの目が合うと、小鳥はそのまま飛んでいなくなってしまった。ホオジロ♀だったみたい。
 16:55小屋のディーゼルが回り始めた。音もさることながら、始動時の排気の臭いこと。消灯までの辛抱だ。
 夜半目が覚め、痛い左足小指が気になり、見てみると皮が剥けている。消毒し抗生剤を塗り、絆創膏を巻いた。行程は残り半分、悪化しなければ良いが。

⑤7/28晴れ、午後時々雷雨
 昨日の降雨は時折強く、長かった。雨が地面から跳ね上がり、幕本体の網目から少し浸水した。寝袋が濡れぬよう気を遣った。少し冷えた。
 連日の体の寒気もあり。2:30起床、朝食、普通に撤収。小屋泊・幕営の方々ほぼ皆、既に出発。5:25出発。すぐに美しい森。朝日が差し込み、白檜の樹皮が白く輝く。稜線の左下を巻き気味に進む。5:44岳樺、5:46ナナカマド、稜上に出て5:49這松、振り返ると間ノ岳・三峰岳が逆光の影。快晴だが、若干湿度あり。昨日の雨が長かったせいもある? 行く手塩見岳が少し大きく見えるようになった? それでも今日の行程は遥か先。再び森に入って6:10安倍荒倉岳の案内、空身で6:12山頂、西側の這松を分けて、中央アルプスを遠望。戻って道は再び美しい森、飽きることが無い。6:39立ち枯れの間から農鳥岳の影。7:04竜尾見晴、こことすぐ先に岩峰。逆光で滝ノ沢大滝の姿は殆ど見えず、滝音の方が明瞭。間ノ岳、農鳥岳、そして白峰南嶺の巨大な連嶺、これぞ南アルプス! 先で樹林に入り、7:20小休。7:46新蛇抜山の案内、再び空身で7:50山頂。ここはみっけもん、期待以上の大展望! 戻って稜線の左下を巻き気味に進む。今日の行程は小刻みに上下、下りは左足指が痛む。8:15木の間より眼下に大井川東俣の蛇行した流れ。8:39「立ち枯れのある原っぱ」、8:54「バイケイソウ群落の窪地」(昭文社山と高原地図)。風通しが悪く、背を焼く如く照り付ける高い日差しのもと、先の円い山体の右寄りを上る。辛く捗らないながら、9:31北荒川岳。全行程の中でもハイライト。凄惨な崩壊地と、「漆黒の鉄の兜」(深田先生)の対照。荷物を放り出し、ザレの斜面に大の字になって小休。
 9:43再開、9:51稜上に幕張跡、先のザレ斜面の東にキャンプ場跡。朽ちた管理棟、中はゴミ屋敷。その手前左を進むと、這松の影に幕場。付近は傾斜していてあまり適地は見当たらない。10:00崩壊地を避け、左寄りに岳樺の疎林を上る。10:22雪投沢源頭付近が見えてきた。10:31沢に下る道が確認できる。その道へ取り付く下降点を探りながら進む。11:00下降点。直下に幕張跡あり、空身で偵察し、戻って荷を回収し、デポ。11:11サブザックに水筒詰め、沢へ下る。砂礫の這松帯から岳樺、早速幕張跡が点在。水を汲み、頭から水浴び。戻る途中、11:37一番上方の幕場に水をデポし、荷を回収、11:50幕場へ。
 幕張中に、バケツに少し水を張り、残りの缶酎ハイを冷やす。12:10ポツリ。幕に入ると、一瞬幕内が明るくなり、パン!と続けて2発、至近に落雷、おっかねえ。これがあるから、稜上には極力幕張しない。雨も落ち着き、13:07〜昼酌。雲が切れ、青空も見え、メインのチキンライスは外で。岳樺の木漏れ日のもと、かすかな沢音、ウグイスとホシガラスの対照的なさえずりだけが響く、穏やかな至福の昼下がり。

⑥7/29晴れ、午後霧のち雨のち曇り
 夜中、鹿が近くに来て鳴いていた。
 2:20起床、朝食、撤収。白旗先生の仰っていた通り、「このあたりに幕営して一日を遊び暮らしたらさぞや、と思うくらいステキなのが、この雪投沢の源頭である。」 古くから利用されているため、ゴミとハエが多いのが難点ではあるが。
 4:50出発。岳樺の森を抜け、5:00這松に差し掛かると、広河内岳付近から日の出、5:10主稜に上がると、今日も快晴。15年振りとなる塩見岳、その時見せてくれなかった峰々の姿を、今日は存分に楽しませてもらおう!
 食料は残り3日分、一挙に荷が軽くなった気がする。見上げる塩見岳の双峰がまだだいぶ高い。這松の迫る稜線の道は、斜度があり、ザレて思いの外安定して歩けず、また、まだ陽の上り切らない優しい斜光の照らす山肌の表情の美しさに、捗らない。それでも5:55北俣岳分岐。少し進むと、荒川三山の右に大沢岳、中盛丸山、兎岳、左に笊ヶ岳、布引山、そして蝙蝠岳を挟んで、「鬼富士」が、雲海の上に均整のとれた墨絵のような姿を見せている。
 西峰に人が見える。6:19コルより一仕事、6:30塩見岳東峰、たった一人の百名山、Off peak,mount peak! 感無量。仙塩尾根バンザイ! 6:46西峰へ。小休中、続々人が上がってきた。7:00下りよう。7:11難所のガレ場、心配ならヘルメット推奨。全行程中の最難関。7:22コル、振り返るとかなりの斜度。7:37天狗岩を越え、8:00塩見小屋下のヘリポートで小休。8:20出発すると、17名の団体さんとすれ違い。森に入り、8:25塩見新道、通行止。素晴らしい森。8:35権右衛門沢源頭、9:23立枯れより、悪沢岳・小河内岳の眺め。9:48本谷山。すれ違い多し。道は利用過多、荒れ気味。10:16のぞき岩。10:53三伏山。11:02水場・小河内岳分岐、賑やかな幕場が現れ、11:05三伏峠小屋着。
 今日の日差しは強烈で、受付時、タープの施設許可を申し出た。なるべく人通りの無さそうな所に12:03幕張し、水場へ。分岐へ戻り、12:09小河内岳分岐、これから向かう人も多い。12:20水場。トイレ後の手洗い用にバケツにも汲んで戻る。湿った寝袋等干すが、程なく霧が。13:57〜昼酌。17時前にタープ撤収。18時前〜にわか雨。就寝前に左足小指の再処置、化膿気味。戻ったら医者に行こう。

⑦7/30晴れ
 下山しても暑いだけ? 5:50幕場を発ち。小屋前で靴紐を慎重に締め、6:00出発。すぐに美しい森。6:07今朝も快晴、我が愛する南アルプスの峰々に別れを告げる。鳥倉登山口まで「1/10毎の標識がある」。9/10の先、6:18塩川ルート分岐(通行止め)を過ぎる。傷んだ桟道を滑らないように越える。すると17名の団体さん。しんがりの案内人らしい方に、昨日すれ違った旨伝え、道をお譲りいただく。感謝。7:25豊口山間のコルから稜の南に乗っ越す。7:38「小河内岳が見える」。7:41落葉松の植林に入って下り、8:18登山口。10人位バスを待っている。トイレに寄り、林道を下り、9:01 第1駐車場のある越路ゲート通過。トイレ、水場あり。靴、ポールの先を洗う。9:17車を留めた第2駐車場に帰着。車載の水で足を洗い、靴を履き替える。途中、9:53夕立神パノラマ展望台に立ち寄り、10:30道の駅歌舞伎の里大鹿へ。お土産・食事。「下山メシのよろこび」。入浴は高遠さくらの湯へ。

・足のむくみが取れるのに一週間、靴擦れは化膿し、医者から服用・塗布の抗生剤の処方。皮の再生には二週間要した。
・衣料・食料等未利用多し! 不足品は無し。段取り8分仕事2分。概ね成功。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア フリース ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ ショートパンツ
靴下 レインウェア 登山靴 サンダル バックパック サブザック
スタッフバック 水筒・テルモス ヘッドランプ 予備電池 タオル
帽子 グローブ サングラス 着替え 地図 コンパス
ノート・筆記用具 腕時計 カメラ 登山計画書(控え) ナイフ 修理用具
健康保険証 ホイッスル 医療品 虫除け 熊鈴・ベアスプレー ロールペーパー
携帯トイレ 非常食 行動食 トレッキングポール テント シュラフ
テントマット スリーピングマット ストーブ 燃料 ライター カップ
クッカー カトラリー
【その他】 チェアゼロ、ミニテーブル、まな板(うちわ、ハエ叩き・塵取り)、ステン皿、チタンボウル、チタンロッキーカップ、ダブルウォールカップ、エマージェンシーブランケット(タープ仕様)、レジャーシート、カーボンフェルト、バケツ、保冷バッグ、枕、小型箒、日焼け止め、ハッカスプレー、幕防犯用鍵2錠、雑巾2枚、老眼鏡、など。
jRO&ココヘリ加入、コンパスにて計画書提出。

登った山

仙丈ヶ岳

仙丈ヶ岳

3,033m

伊那荒倉岳

伊那荒倉岳

2,519m

安倍荒倉岳

安倍荒倉岳

2,693m

新蛇抜山 

新蛇抜山 

2,667m

北荒川岳

北荒川岳

2,698m

塩見岳

塩見岳

3,052m

本谷山

本谷山

2,658m

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