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笠ヶ岳(笠新道コース/新穂高温泉往復)

抜戸岳2813m・笠ヶ岳2898m( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 3人 (イガドン さん 、ほか2名 )

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行程・コース

天候

1日目:晴のち一時雨、2日目:晴一時曇、3日目:快晴

利用した登山口

新穂高温泉  

登山口へのアクセス

バス
その他:
【往路】…立川南駅…[多摩モノレール]…甲州街道駅…[徒歩]…中央道日野バス停…[京王高速バス7001便/指定5,200円]…平湯温泉バス停…[濃飛バス/910円]…新穂高ロープウェイバス停

【復路】新穂高ロープウェイバス停(12:55)…[濃飛バス910円]…平湯温泉バス停(13:28/14:55)…[濃飛バス/指定2,800円]…松本バスターミナル…[徒歩]…JR松本駅(17:20)…[中央本線/特急あずさ50号]…JR八王子駅(19:36)…

この登山記録の行程

【1日目】
新穂高ロープウェイ(15:40)・・・笠新道登山口(16:45)・・・わさび平小屋(17:00)[幕営]
※テント設営:2,000円/人、缶ビール350ml:500円

【2日目】
わさび平小屋(06:05)・・・笠新道登山口(06:15/06:20)・・・2000mの草付・・・杓子平(12:05/12:15)・・・[途中、昼休40分]・・・笠新道分岐(14:40/15:25)[抜戸岳往復]・・・笠ヶ岳山荘(16:50/17:15)・・・笠ヶ岳(17:45/17:50)・・・笠ヶ岳山荘(18:15)[幕営]

【3日目】
笠ヶ岳山荘(05:45)・・・笠新道分岐(06:55)・・・杓子平(08:00/08:05)・・・2000mの草付・・・笠新道登山口(11:35)・・・新穂高ロープウェイ(12:45)
※ひらゆの森 入浴料:700円/大人

コース

総距離
約23.1km
累積標高差
上り約2,711m
下り約2,711m
コースタイム
標準15時間5
自己19時間5
倍率1.27

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

【回想/1日目】バスタ新宿発・平湯温泉行きの京王高速バスが渋滞により中央道日野バス停に到着した時はすでに1時間遅れ。車内の隊長と合流。八王子バス停で品さんが乗車し全員集合。3連休初日の高速道路は一般道の法定速度よりも遅いノロノロ運転が断続した。加えて途中の高速リニューアル工事も影響した。談合坂SAと諏訪湖SAで休憩。SAで団子を購入し車内で簡単な昼食を済ませる。松本ICで下り国道158号線に入っても渋滞は続き、平湯温泉は2時間遅れで到着。新穂高ロープウェイ行き路線バスへ乗り換え、終点で下車。新穂高ロープウェイ駅を横目に蒲田川にかかる吊橋を渡るところから登山開始。左俣林道に入るとほどなくゲートがあり登山届を記入し入山。前方の灰色の空を気にしながら進んでいると折からの叩きつけるような雨に見舞われ折り畳み傘を差しながらの林道歩きを強いられた(隊長と品さんはカッパ着用)。降り続く雨の中ようやくわさび平小屋に到着。テント泊の手続きを済ませるが一向に止む気配がないため、小屋脇の素泊り客用の屋根付きのカウンターの一画を陣取り、アサヒスーパードライ350ml缶で乾杯。持ち寄ったつまみを片手に談笑。雲が切れ始め青空が所々見えてきたものの止むまでにまだかかりそうなため、もう一本ずつ購入し再び乾杯。雨が止んだのを見届けてテン場へ向かった。設営後に夕食を準備。持参したおでんをつつきながらサントリー角瓶をコップに注ぎホットウイスキーを飲る。腹も満たされ小屋にあるトイレ(200円/回)で用を足し、星空を確認し床についた。寝心地は決して良いわけではなく1時間おきに目が覚め、朝まで寝返りを打ち続けた。
【回想/2日目】品さんの私を呼ぶ声で目が覚めた。起床予定の4時を30分も過ぎていた。すでに空は明るく快晴。テントの数は昨晩よりすでに減っていた。用を足しに行くためテントから半身を出し登山靴を履こうと中腰になった瞬間、腰に電気がはしった。「ヤバい!」とその場に座り直したが違和感は残った。ゆっくり立ち上がると腰を伸ばせず気持ち前傾姿勢になってしまう。ぎっくり腰をやる寸前の状態だ。寝ている間に腰を必要以上に冷してしまったせいか、この先の行程を考えると不安は募る。口にしたら登頂欲が萎えそうなのであえて沈黙を守った。歩いているうちに快方に向かうことも考えられるので冷静さを装った。朝食は3人分のうどんを調理。生めんを湯通し、味噌汁の具をうどんの上に山盛りにして食らった。品さん持参の生卵により豪華な月見うどんに変貌した。山に茹で卵はよく見るが、よく生卵を割れずに持ってきたものだ。通な品さんならではと感心。畳んだテントは雨しずくでずぶ濡れ、ザックは昨日よりもかさばった感がある。腰を気遣いながら慎重にザックを背負う。何とか歩けそうなので登山口へ向けて出発。左俣林道を少し戻り笠新道登山口から入山。わさび平小屋から引いている湧水をペットボトルへ詰め、いざ急登の笠新道へ挑む。序盤は樹林帯のジグザグな急登の連続。小休止をはさみつつ高度を上げるとまずは木の間越しに西穂あたりのギザギザの稜線が現れた。そのうち乗鞍岳や焼岳を視認できるようになる。穂高の稜線側から暖かい日射しが登山道を明るく照らし始めた。紅葉しかけている森の木々も生命を吹き込まれたように一瞬にして華やいだ。樹間から槍の穂先も見えてきた。左手の小槍と肩にある槍ヶ岳山荘もはっきり確認できる。標高2000mに近づくと穂高連峰の黒い山並みと陽光のコントラストが眩しさを増してきた。登山道は相変わらず急登の繰り返しで積み重なる岩々を乗り越えていくうちに体力が奪われる。途中からは日当りの良い道が続き暑さにも悩まされるようになる。テント泊らしい重いザックを背負って登っているのは我々3人と先ほど道を譲った単独行の若者だけで、軽装で山頂を日帰り往復する登山者が圧倒的に多いことからどんどん抜かされていった。次第に槍ヶ岳から穂高連峰、焼岳、乗鞍までが一望できるようになる。とりわけ眼前の西側から望む穂高連峰は、いつもと趣が違う新鮮な眺望を満喫できた。若干の積雪のせいか山肌は白く感じられるが、大キレットの落ち込みや穂高岳山荘、奥穂山頂部も展望盤と祠があるそれぞれのピークを手に取るように判るのがうれしい。クマザサの斜面を過ぎると森林限界となり高木が一気に減る。飽きることのない穂高連峰を背に杓子平方面を見上げながら歩を進める。登るにつれて空の青さも増してきたように思われるが2472m地点の杓子平が遠い。暑さのせいで1リットル近くあったアクエリアスを飲み干し、ガッツギアで喉の渇きを癒す。想像を絶する岩の登りに一同足取りが重くなってから久しい。小刻みな休憩を入れつつバテた身体を一歩ずつ進める。先ほどから目印にしていた突起した岩とほぼ同じ高さになったころ前方が開けてきた。杓子平からは目指す笠ヶ岳の山頂部がちょうど雲に覆われるところだった。笠ヶ岳山荘も右横にある小笠もはるか向こう。ここまでの道のりでかなりの体力を消耗している我々にとって目前に広がるカールに圧倒されたのは言うまでもない。本当にテン場までたどり着けるのか。スナックパンをかじりアミノバイタルで空腹を補う。先が長いので昼食はもう少し進んだところで摂ることにした。太古の氷河跡の道をたどる。暫くは緩やかな登りで距離を稼いだが、急登になる手前で腹ごしらえの時間にした。丸いコッヘルの湯の中に丸形のマルちゃん製麺がすっぽりと入った。角形が多い袋麵の中でマルちゃん製麺は山には有難い代物だ。一方、品さんのザックの中は大惨事に見舞われていた。昼飯用の生卵の一部が割れ、隙間から流出しているらしい。生卵の管理はつくづく難しいと悟ることとなった。抜戸岳へ向けての登りも急登の連続。ジグザグに高度を上げていくが、ところどころ大きい岩を乗り越える箇所がありつらい登りは続く。一方で腰の具合はこの頃にはあまり気にならなくなり、捻らないことだけを注意すれば大丈夫だろうと確信した。チングルマの綿毛の群生を横目に登り詰める。振り返ると杓子平がはるか下方に俯瞰できるころ抜戸岳への分岐点に到着。休みことなくそのまま尾根上を山頂へと進む。10分ほどで抜戸岳2813mに到着。いつの間にか辺りは一面ガスに覆われ展望は遮られてしまった。記念撮影の後、出発直前にガスが晴れたものの周囲の山々には雲が纏っており山座同定するにはもう少し時間がかかりそうだ。弓折岳方面からの主稜線はすぐ下に見えるもののハイマツや岩場に遮られ迂回を余儀なくされ、さらに足場も悪く案外時間がかかってしまった。主稜線に出ると道はしっかりとしておりスムーズな歩きになった。笠新道分岐ではこれから下山する男性から「テン場まではまだかなりありますね。頑張って下さい。」と激励の一言をいただいた。すると周囲を覆っていたガスが一気に晴れて青空が広がり、続いて陽光に照らされた笠ヶ岳へと一直線に続く天空の回廊が目前に現れた。先ほどの男性がおっしゃっていたとおり「まだまだ遠い。」のと、疲労も加わり一瞬愕然としたが、もう一度気持ちを奮い立たせて前進を決意した。天空の縦走路ははじめ大きく下るが、その後は小さなアップダウンを繰り返すものの平坦な道が多く足取りは軽快になってきた。一方最年長の隊長は疲労の蓄積からか時折振り返るとやや距離感を感じるようになった。また、ここにきて風雲急を告げるが如く、日射しはあるものの雲の流れが速く尾根上を吹き抜ける風は明らかに冷たくなってきた。両側がハイマツの緩やかな下り道にさしかかると目の前に一羽のライチョウが警戒心もなく佇んでいた。足音を立てずにゆっくりと接近する。お腹のあたりは冬毛に変わりつつも、大半は夏毛の装いのライチョウ。つがいの姿は見当たらない。群れで行動する傾向のライチョウにあっては珍しい遭遇となった。いつもながらライチョウとの出逢いは北アルプス歩きの一つの楽しみでもある。道の両側に屹立する抜戸岩を通過する足元にはわずかな積雪が見受けられた。笠ヶ岳の奥に被さる雲に日射しが遮られると気温が急激に低下。夕暮れが間近に迫ってきたことを実感する。テン場までもう一息のところで来し方を振り返るとアーベントロートに輝く槍の穂先が、雲をいただいた穂高の荒々しい山並みが、霞沢も焼岳も乗鞍もみな頂を紅に染めていた。北面には双六岳と裏銀座の山々の夕景も確認することができた。テン場に到着した。落日を寸前に控え山上のテン場はすっかり冬の装いに変貌していた。登頂を控え急ぎテントを設営することにしたが、張る瞬間にポールに力を加えたところミシミシと割れるような乾いた音がした。ポールのうちの一本の接続部分が裂けてしまい、テーピングしたものの焼け石に水。もはやキレイな半円形で組むことができなくなり、いびつな形のテントで一晩を過ごすことになった。まだ若干の明るさがあったためそのまま山頂へと向かう。テン場から笠ヶ岳山荘を経ての登りは見た目より時間がかかり、もはや下りてくる人はいてもこれから登ろうとする者は我々以外にいなかった。山荘はすでに休業していたが片付けのスタッフが小屋内で一杯やっているらしく話し声が聞こえてきた。ハイマツの間を縫って登っていくと、西の空には一面の雲海が広がり、北側には山荘の奥の小笠と、その左手からは品さんが今夏登頂したばかりの黒部五郎岳が見えてきた。山頂の一角にある祠に着いた頃には夕闇が迫り、登頂を果たした時にはわずかな月明かりだけで、すでに夜の帳が下りていた。ライトの明かりに浮かび上がった「笠ヶ岳」の標識と二等三角点を確認し、寒さに震えつつ品さんのスマホライトを頼りに早々にテン場へと戻っていった。
【回想/3日目】昨晩は硬めのアルファ米にレトルトカレーを流し込んで腹を満たしたが、飲水不足を懸念しホットウイスキーは1杯だけで床に入った。歪んだテントのせいで入口のファスナーを完全に閉め切ることができず、寒さに震えながら昨晩同様、ほぼ1時間置きに寝返りを打っていた。今朝は4時前に目が覚め、半ば凍っているテントのファスナーをこじ開けると一面の星空が広がり、最終日も晴天が約束された。テント内で食事の準備をしていると隊長と品さんも動き始めていた。3人分の餅しゃぶおしるこを作る。こし餡が少なめなのは反省点だったが長い下りを前に腹ごしらえは十分にできた。壊れたテントを畳み始めた時、今後は隊長にアクシデント発生。靴底の一部が剥がれ出したという。この先の長い岩場の下りを考えると持ち堪えられそうにない。ふと38年前の八ヶ岳山行の旗くんの惨事を想い出す。山靴を固定する方法はないかを考える。すると畳みかけていたフライシートにオレンジ色のひもが接続されているのに気づき、隊長に予備分を含め3本手渡した。あとは何とか下山まで持ち堪えてほしいところだ。東の空が赤みを帯びてきた頃、

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登った山

笠ヶ岳

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2,897m

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