行程・コース
天候
1日目(8/19) 晴天
2日目(8/20) 終日ガスに包まれる、夜一時雨
3日目(8/21) 強い西風とガス、下山途中雲の下に出ると晴天に
登山口へのアクセス
バス
その他:
信濃大町駅前からバスで扇沢へ。
この登山記録の行程
【1日目】
扇沢(06:52)・・・柏原新道登山口(07:03)[休憩 3分]・・・ケルン(08:02)・・・水平岬(09:03)[休憩 5分]・・・種池山荘(10:05)[休憩 25分]・・・爺ヶ岳南峰(11:13)[休憩 30分]・・・赤岩尾根分岐(冷乗越)(12:35)・・・冷池山荘(12:46)
【2日目】
冷池山荘(05:30)・・・布引岳(布引山)(06:28)[休憩 7分]・・・南峰(07:18)[休憩 5分]・・・北峰分岐(07:51)・・・鹿島槍ヶ岳北峰(08:00)[休憩 10分]・・・北峰分岐(08:16)・・・八峰キレット(09:15)[休憩 10分]・・・口ノ沢のコル(10:20)[休憩 15分]・・・北尾根ノ頭(11:05)[休憩 5分]・・・五竜岳(13:14)[休憩 10分]・・・五竜山荘(14:12)
【3日目】
五竜山荘(05:43)・・・最低鞍部(06:20)[休憩 5分]・・・唐松岳頂上山荘(07:49)[休憩 26分]・・・丸山(08:50)・・・第三ケルン(09:33)[休憩 10分]・・・八方池山荘(10:15)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
今回の山行計画は、後立山連峰を南から北へ4日間で縦走しようとする内容で、扇沢から爺ヶ岳に登り、白馬岳から蓮華温泉に下る欲張りな計画だった。出発前にいくつか不安を感じることがあった。1つは行程が長く体力的な問題、2つ目は北アルプス三大キレットのなかの「八峰キレット」と「不帰キレット」の2か所の難所があること、3つ目は冷池山荘付近でクマの目撃情報が増えていることなど。1日目は好天に恵まれたが、2日目からは強風とガスのなかの縦走となり、不帰キレットの通過を諦め、八方尾根を下山した。
19日、晴天。信濃大町駅前からバスに乗り扇沢へ。定刻より10分程早く、6時45分、扇沢駅に到着した。車道を10分程戻り、小さな橋を渡って左に折れるとすぐに柏原新道の登山口がある。標高は1350m、種池山荘の標高が2450mだから、まずは山荘までの標高差1100mを登らなければならない。爺ヶ岳南尾根の西側山腹の樹林帯のなかの登山道は急傾斜にならないよう、幾重にも折り返しながら高度を上げていくように作られている。標高1750m付近にある「ケルン」まで1時間ほど。ケルンからさらに1時間ほど登ると登山道はしばらく水平な道となる。展望が広がる南側には大きな山容の蓮華岳が目を引き、その右に針の木岳、スバリ岳などの稜線が続いている。石ベンチで小休憩をとったあと、ダケカンバの樹林帯を進んでいくと「富士見坂」の登りとなり、さらにその先に「鉄砲坂」へと続く。鉄砲坂のボードには山荘まであと15分ほどと書かれていた。少し登るとナナカマドなどの低木の樹林帯が終わり、笹原の斜面に変わる。登山道の先に種池山荘の三角の屋根が見えた。10時05分、登山口から約3時間で標高2450mの種池山荘に到着、山荘の南側のテラスにはたくさんの登山者が休んでいた。名物のピザを食べている人も多い。ここで昼食休憩をとる。種池山荘から西側に延びる稜線は、岩小屋沢岳や赤沢岳、さらに針の木岳へと続いている。若い頃、この稜線を歩き、針ノ木雪渓を下ったことがあるが、登山者は少なく、西側眼下に黒部湖を見ながら、静かな稜線歩きを楽しんだことを思い出す。
食事休憩を終え山荘を10時30分に出発、東に大きく聳える爺ヶ岳南峰への登山開始。ハイマツ帯の中に続く緩やかな登山道を登っていく。11時13分爺ヶ岳南峰山頂に到着。北には双耳峰の鹿島槍ヶ岳が貫録たっぷりに鎮座し、爺ヶ岳との間にある鞍部には冷池山荘の赤い屋根が見える。東に延びる稜線は、北側へと曲がって中峰、北峰へと続いている。好天に恵まれ360度の展望を楽しみながら、南峰山頂で30分休憩したあと、中峰、北峰直下に続く登山道を進み、今日の目的地である冷池山荘へと下った。
20日、すっぽりとガスにつつまれ、まだ薄暗さの残る冷池山荘を5時30分に出発する。ナナカマドなどの低木樹林帯を過ぎると、黒部側から強い風が吹きつけてくる。昨日休憩した種池山荘から、ずっと富山県と長野県の県境を歩いているが、強風でガスが飛ばされる山の西側斜面(富山側)は見通しがきき布引山も見えているが、東側斜面(長野側)は完全に白いガスの中に隠れている。1時間ほどで標高差250mを登って布引山山頂に到着、少し休んで鹿島槍山頂を目指す。ガスの切れ間に、山頂へ続く登山道が見えるが、山頂付近は全く見えない。布引山から45分程登り、鹿島槍南峰の山頂に到着した。鹿島槍山頂は42年振り、前回も白いガスの中だった。南峰山頂から岩場の急斜面を慎重に下り、吊り尾根を進んで北峰へ向かう。山頂への分岐点にザックが2つ置いてあった。山頂から再びここまで戻ってくるため、重いザックを置いていくということはよくあることだが、食料などが入っていれば、クマに狙われる可能性もあり、こうしたことはやめたほうがいいように思えた(数日前、鹿島槍山頂にクマが現れ、ザックを残したまま避難した登山者のザックの中の弁当をクマが食べるということがあったばかり)。キレット方面へ続く縦走路から離れ分岐点から北峰山頂へ登る。山頂には2人の登山者がいた。北側正面に大きく聳えているはずの五竜岳はガスがかかって見えない。北峰山頂で10分休憩し、8時10分山頂をあとにする。分岐点まで下り、北アルプス3大キレットの1つ「八峰キレット」に向けて下っていく。キレットが近くなると、垂直に切れ落ちた斜面に作られた登山道を進む箇所もあり緊張感が高まる。ハシゴやクサリが連続する登山道を慎重に通過していくと濃霧の中に、キレット小屋の屋根が見えた。9時15分、人影のないキレット小屋のテラスに到着した。聞こえてくるのはキレットを通り抜ける風の音だけ。キレット小屋から口の沢のコルの間も険しい岩稜が続く。10時20分口の沢のコルに到着する。コルから北尾根の頭の間では、次々と登山者に出会った。今朝、五竜山荘を出発してきた人達だろう、40人くらいの登山者がキレット方面に縦走していった。11時過ぎ、北尾根の頭に到着する。晴れていれば眼前に大きく聳える五竜岳がみえるはずだが、依然としてガスの中に隠れて姿を現さない。五竜岳の手前に立ち塞がる巨大な岩峰はしっかり見え、登山者の姿も小さく見えた。北尾根の頭を下り、G5・G4と呼ばれる急峻な岩峰の登りにかかる。危険と思われる箇所でもクサリが設置されていない場合もあり、より高い登山技術が求められるルートである。滑落に注意しながらG5からG4へトラバースし、少し下ったあと、五竜岳山頂にむけて最後の登りに取り掛かる。急斜面のガレ場、岩場を登り切って少し左奥に進んだところが五竜岳山頂である。いつの間にか、時刻は13時を過ぎていた。北にある唐松岳も南の鹿島槍も西方の劔岳も雲に隠れて見えない。ここからは五竜山荘に下るだけ、危険個所はないので、ヘルメットを取り外し手に持って五竜岳を下った。
21日、登山3日目、今日は唐松岳から不帰キレットを越えて天狗山荘まで行く予定である。強風とガスのなか、5時43分に五竜山荘を出発する。5分程登ると、遠見尾根分岐点に到着、先行していた7~8人のグループは遠見尾根方面に進んだ。不帰キレット方面の縦走を中止して下山するなら、遠見尾根に進むことになるが、計画通り唐松岳方面の登山道へ進む。ハイマツ帯のなかに続く緩やかな下りを少し速足で下っていく。最低鞍部から10分程急坂を登ると大黒岳に到着。ここから30分程歩くと「これより牛首の岩場」との小さい案内板があった。このあたりから五竜方面に向かう登山者にたくさん出会うようになる。岩場にもかかわらず両手にトレッキングポールを持って縦走してくる2人連れや、小学校低学年の子供を連れたグループにも出会ったが、大丈夫かと心配になる。高度計では、唐松岳頂上山荘付近まで登っているはずだが、なかなか山荘が見えてこない。鐘の音が聞こえた。しばらく進むと濃い霧の中に山荘の建物がぼんやりと現れ、7時49分、山荘に到着した。山荘駐在の山岳警備隊の方に不帰キレット方面の状況を尋ねる。強風とガス、雨が降る可能性もあり、条件的に非常に厳しいとのアドバイスをもらった。それでも決断がつかず、唐松岳山頂まで登ってみようと再びガスのなか出発したが、登っている途中に疲労感を感じ途中から山荘に引き返し、八方尾根を下山することにした。このまま、無理して不帰ノ嶮・不帰キレットへと登山を続ければ、「不帰の人」になってしまったかもしれない。悔いのない決断だった。
不帰の嶮・不帰キレットの縦走は改めて計画をする。また、今回の鹿島槍~五竜のコースは素晴らしい縦走路であり、ぜひとも3回目のチャレンジをしたいと思っている。
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扇沢駅
ここから登山を開始
柏原新道登山中、振り返ると後方(南)に針の木岳から蓮華岳
種池山荘から岩小屋沢岳への稜線(水平道より)
種池山荘までもうすぐ
樹林帯から笹原にかわると種池山荘の三角屋根が見えてきた
種池山荘到着
針の木岳~蓮華岳
針の木岳と雪渓(種池山荘より)
爺ヶ岳(南峰)
鹿島槍ヶ岳(爺ヶ岳南峰山頂より)
爺ヶ岳中央峰とその奥(左)に北峰
きょうの目的地、冷池山荘
西方に剣岳
冷池山荘に到着
遠景は立山から剣岳
夕日に染まる爺ヶ岳三山
劔岳方面の夕景
チングルマ、花の咲くころ登りたいが
布引山
鹿島槍への登り、強風が吹き付け、ガスが視界を遮る
鹿島槍ヶ岳山頂(南峰)
左側は垂直に切れ落ちた細い登山道(八峰キレット付近)
難所の連続(八峰キレット付近)
両側が切れ落ちた鞍部に建つ八峰キレット小屋
クサリ場の下り斜面、キレット小屋から口の沢のコルにかけて険しい岩場が続く
北尾根の頭。口の沢のコルから北尾根の頭のあいだで、たくさんの登山者とすれ違った
五竜岳への縦走路に立ち塞がるG5・G4の岩峰。クサリやハシゴが連続するこの岩峰を越えていかなければならない。
険しい難路が続く
ガスの切れ間に姿を見せた五竜岳
岩場の急斜面、五竜岳への登り
五竜岳山頂にて。ここでヘルメットを取り外した。
五竜山荘に到着
遠見尾根分岐点、唐松岳方面へ進む
最低鞍部から急な斜面を分程登り、大黒岳に到着。
ここから「牛首」の岩場が始まる
ガスにつつまれる唐松岳頂上山荘。不帰キレットに向かうか、下山するか決断しなければならない。
白馬方面への縦走をあきらめ、八方尾根を下山することに決める
八方尾根を下る。雲の下にでて明るくなる。登ってくる人が多い。
八方池、たくさんの観光客が散策していた。
八方池山荘を出発
黒菱平のリフト乗り場
リフトからゴンドラに乗り換えて下る
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | Tシャツ | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 |
| レインウェア | 登山靴 | バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
| 予備電池 | タオル | 帽子 | サングラス | 着替え | 地図 |
| コンパス | ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ |
| 健康保険証 | ホイッスル | 医療品 | 熊鈴・ベアスプレー | 非常食 | 行動食 |
| トレッキングポール | ヘルメット | ||||
| 【その他】 結束バンド、膝サポーター、 | |||||




