行程・コース
天候
1日目:晴れ時々曇り、二日目:快晴
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
5月13日(金)高速バス 新宿23:05発ー安曇野穂高3:57着
14日(土)路線バス 穂高駅 6:40発 有明荘7:37着(1700円)
この登山記録の行程
【1日目】
中房・燕岳登山口(08:17)・・・第2ベンチ[休憩 10分](09:34)・・・合戦小屋[休憩 60分](11:38)・・・燕山荘[休憩 10分](14:00)・・・燕岳[休憩 10分](14:40)・・・燕山荘(15:25)
【2日目】
燕山荘(07:13)・・・合戦小屋[休憩 10分](08:14)・・・第2ベンチ[休憩 10分](10:04)・・・中房・燕岳登山口(11:10)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
GWは荒天で諦めた残雪期の北アルプスだが、行ってみたいという思いは断ちがたく、燕岳に登ってきた。
<燕山荘の春山登山教室に参加>
これまでの雪山登山は軽アイゼンにストックで登れそうな範囲に限っていたが、今年は残雪期の北アルプスに登り、雪に覆われた峰々を間近に見たいと思っていた。そのために雪山用の登山靴、アイゼン、ピッケルなども買い揃えた。もちろん道具さえあれば登れるほど雪山は甘くないから、経験者に教えてもらう必要もある。ハードルは高いけれども、やはり一度経験してみたい。そこへ燕山荘が主催する春山登山教室の企画を見つけ、これこそ今の自分にぴったりだと早速申し込んだ。
http://www.enzanso.co.jp/event/
今回この教室に参加したのは、出戻り登山者も含めて各地から集まった4名。そこにヒュッテ大槍や大天荘の支配人さんたち2名が指導してくれるのだから、贅沢な企画だ。好天で暖かく(登ると暑いくらい)、風もほとんどない中を合戦尾根を登る。普通なら好天を喜ぶところなのだが、熟練の指導者が見守ってくれる中を登るのだ、少々の荒れ模様で厳しい状況の方が今後の経験のためにも良いなどと思ってしまったのは罰当たりだろうか。
<初めての雪山用登山靴に12本爪アイゼン、ピッケル>
今年はどこも雪が少なかったが、合戦尾根も富士見ベンチまではほとんど雪がない夏道で、花の名前を教えてもらったり、カラマツの新緑を楽しみながら登る。合戦小屋から今回の目玉であるアイゼンを装着し、ピッケルを使った登りにかかる。登山日和だから、素手でアイゼン装着ももちろんできるのだが、ここは意地でもオーバーグローブを重ねてアイゼンを装着してみる。やはり慣れないと手間取ってしまう。雪山用登山靴も12本爪アイゼンも初めての経験。ソールが硬くて歩きにくいが、雪道では面白いように食いつき足元が安定する。もっとも今シーズンは雪が少ないために、岩が露出している部分もあり、そうしたところでアイゼンは歩きにくい。今回のような状況なら、軽アイゼンにダブルストックで登れてしまうように思えたが、今日の目的は本格的なアイゼン歩行を教えてもらうこと。
合戦尾根はアルプス三大急登と名高いが、おそらくもっとキツイ登りは他にいくらでもあるように感じた。ベテラン指導員の歩行ペースもとてもゆっくりに感じる。けれども、こうしてゆっくり登ることでなるべく汗をかかないようにし、強い風を受けた時などに体が急激に冷えるのを防ぐのが重要だと教わった。今日は暖かく天候も穏やかなのだが、頭の中で烈風吹きすさぶ状況をイメージしながら、なるほどなあと思いながら登る。ベンチごとにきっちり10分づつ休憩を取るお行儀の良い登山ももう何十年ぶりだろう。いつもは単独で気ままに登っているから、新鮮に感じる。
高度を稼ぐと燕岳が稜線上に臨め、槍ヶ岳も姿を表す。雪が少ないから、厳冬期のような純白の峰々というわけにはいかないけれども、これを見に登ってきたのだ。ペースを守った登りのおかげで、かなりの余裕で燕山荘に到着。荷物をおろして燕岳山頂を目指す。稜線上は、これは少雪のためばかりでもなく、風に飛ばされて雪がほとんどない。天候も飛騨側は雲が厚かったが、徐々に回復していき、立山から裏銀座、さらには大天井岳を経て槍穂高が連なる景色を楽しんだ。
<重要なのは転ばない確実な歩き方>
山頂から戻り、燕山荘のそばでアイゼン歩行のポイント(上体を起こし、雪面をすべての爪で捉え、小幅で歩く)を教わり、ピッケルを用いた滑落停止訓練をする。最初はこんな急斜面で訓練をするのかと少々恐ろしくもあったが、繰り返しているうちになんだか平気に思えてくるから不思議だ。怖いという思いは、生き物として正常な感覚だが、必要な装備と技術、経験を積んで行くとどこまでは克服できるものなのかある程度わかるようになり、恐怖をコントロールできるのだろう。しかし、ここで教わったのは、滑落停止技術以前に、そもそも転ばないようにしっかりと雪面を捉えて歩くことの重要さだった。
<ベテラン支配人に雪山登山技術を学ぶ贅沢な企画>
ベテラン支配人二人と参加者で夕食を囲みながら、山小屋での生活の様子などを伺うのも、実に興味深く楽しいひと時だった。夕食の後はロープワークの講習。夜も更けて、月が沈む夜半過ぎには快晴となり、満点の星空を眺めることもできた。
翌朝は、快晴。昨日は雲が絡んでいた峰々もすっきりと眺めることができる。朝食後に名残惜しいが、下山にかかる。昨日教わったことを確かめながらアイゼンにピッケルを用いて雪道を下る。中房温泉を経て有明荘に戻ると、なんだかあっという間の二日間だったように思える。夏山以上に技術や経験がモノを言う雪山は、未経験者(登山初心者とは限らない点が重要)にはハードルが高い。夏山の経験だけでは如何ともしがたい部分もいろいろあるように思う。そこを山小屋のベテランスタッフが、登山技術や楽しみ方を伝えてくれるのだ。とても貴重で素晴らしい企画だと思う。もとより雪山を安全に楽しむためには、もっと厳しい条件などで経験を積む必要がある。だが、私にとってこの春山登山教室はとても楽しく、素晴らしい入門となった。
指導くださったSさん、Iさん、そして参加者の皆さんにこの場を借りて深く感謝します。そして、お正月などの厳冬期に燕山荘で再会し、白銀の峰々を見てみたいものです。どうもありがとうございました。
*無積雪期の参考値、4B
みんなのコメント