登山記録詳細

雪山登山
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残雪の燕岳でアイゼン・ピッケルワークを学ぶ (4B) 燕岳(北アルプス・御嶽山)
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記録したユーザー

すてぱん さん
  • 日程

    2016年5月14日(土)~2016年5月15日(日)

  • 利用した登山口

    中房・燕岳登山口  

  • パーティ

    6人 (すてぱん さん 、ほか5名)

  • 登山口へのアクセス

    バス
    その他:5月13日(金)高速バス 新宿23:05発ー安曇野穂高3:57着
    14日(土)路線バス 穂高駅 6:40発 有明荘7:37着(1700円)

  • 天候

    1日目:晴れ時々曇り、二日目:快晴

この登山記録の行程

【1日目】
中房・燕岳登山口(08:17)・・・第2ベンチ[休憩 10分](09:34)・・・合戦小屋[休憩 60分](11:38)・・・燕山荘[休憩 10分](14:00)・・・燕岳[休憩 10分](14:40)・・・燕山荘(15:25)

【2日目】
燕山荘(07:13)・・・合戦小屋[休憩 10分](08:14)・・・第2ベンチ[休憩 10分](10:04)・・・中房・燕岳登山口(11:10)

総距離 約9.6km 累積標高差 上り:約1,421m
下り:約1,421m
コースタイム 標準:7時間40分
自己:9時間15分
コースタイム倍率 1.21
GWは荒天で諦めた残雪期の北アルプスだが、行ってみたいという思いは断ちがたく、燕岳に登ってきた。

<燕山荘の春山登山教室に参加>
これまでの雪山登山は軽アイゼンにストックで登れそうな範囲に限っていたが、今年は残雪期の北アルプスに登り、雪に覆われた峰々を間近に見たいと思っていた。そのために雪山用の登山靴、アイゼン、ピッケルなども買い揃えた。もちろん道具さえあれば登れるほど雪山は甘くないから、経験者に教えてもらう必要もある。ハードルは高いけれども、やはり一度経験してみたい。そこへ燕山荘が主催する春山登山教室の企画を見つけ、これこそ今の自分にぴったりだと早速申し込んだ。
http://www.enzanso.co.jp/event/

今回この教室に参加したのは、出戻り登山者も含めて各地から集まった4名。そこにヒュッテ大槍や大天荘の支配人さんたち2名が指導してくれるのだから、贅沢な企画だ。好天で暖かく(登ると暑いくらい)、風もほとんどない中を合戦尾根を登る。普通なら好天を喜ぶところなのだが、熟練の指導者が見守ってくれる中を登るのだ、少々の荒れ模様で厳しい状況の方が今後の経験のためにも良いなどと思ってしまったのは罰当たりだろうか。

<初めての雪山用登山靴に12本爪アイゼン、ピッケル>
今年はどこも雪が少なかったが、合戦尾根も富士見ベンチまではほとんど雪がない夏道で、花の名前を教えてもらったり、カラマツの新緑を楽しみながら登る。合戦小屋から今回の目玉であるアイゼンを装着し、ピッケルを使った登りにかかる。登山日和だから、素手でアイゼン装着ももちろんできるのだが、ここは意地でもオーバーグローブを重ねてアイゼンを装着してみる。やはり慣れないと手間取ってしまう。雪山用登山靴も12本爪アイゼンも初めての経験。ソールが硬くて歩きにくいが、雪道では面白いように食いつき足元が安定する。もっとも今シーズンは雪が少ないために、岩が露出している部分もあり、そうしたところでアイゼンは歩きにくい。今回のような状況なら、軽アイゼンにダブルストックで登れてしまうように思えたが、今日の目的は本格的なアイゼン歩行を教えてもらうこと。

合戦尾根はアルプス三大急登と名高いが、おそらくもっとキツイ登りは他にいくらでもあるように感じた。ベテラン指導員の歩行ペースもとてもゆっくりに感じる。けれども、こうしてゆっくり登ることでなるべく汗をかかないようにし、強い風を受けた時などに体が急激に冷えるのを防ぐのが重要だと教わった。今日は暖かく天候も穏やかなのだが、頭の中で烈風吹きすさぶ状況をイメージしながら、なるほどなあと思いながら登る。ベンチごとにきっちり10分づつ休憩を取るお行儀の良い登山ももう何十年ぶりだろう。いつもは単独で気ままに登っているから、新鮮に感じる。

高度を稼ぐと燕岳が稜線上に臨め、槍ヶ岳も姿を表す。雪が少ないから、厳冬期のような純白の峰々というわけにはいかないけれども、これを見に登ってきたのだ。ペースを守った登りのおかげで、かなりの余裕で燕山荘に到着。荷物をおろして燕岳山頂を目指す。稜線上は、これは少雪のためばかりでもなく、風に飛ばされて雪がほとんどない。天候も飛騨側は雲が厚かったが、徐々に回復していき、立山から裏銀座、さらには大天井岳を経て槍穂高が連なる景色を楽しんだ。

<重要なのは転ばない確実な歩き方>
山頂から戻り、燕山荘のそばでアイゼン歩行のポイント(上体を起こし、雪面をすべての爪で捉え、小幅で歩く)を教わり、ピッケルを用いた滑落停止訓練をする。最初はこんな急斜面で訓練をするのかと少々恐ろしくもあったが、繰り返しているうちになんだか平気に思えてくるから不思議だ。怖いという思いは、生き物として正常な感覚だが、必要な装備と技術、経験を積んで行くとどこまでは克服できるものなのかある程度わかるようになり、恐怖をコントロールできるのだろう。しかし、ここで教わったのは、滑落停止技術以前に、そもそも転ばないようにしっかりと雪面を捉えて歩くことの重要さだった。

<ベテラン支配人に雪山登山技術を学ぶ贅沢な企画>
ベテラン支配人二人と参加者で夕食を囲みながら、山小屋での生活の様子などを伺うのも、実に興味深く楽しいひと時だった。夕食の後はロープワークの講習。夜も更けて、月が沈む夜半過ぎには快晴となり、満点の星空を眺めることもできた。

翌朝は、快晴。昨日は雲が絡んでいた峰々もすっきりと眺めることができる。朝食後に名残惜しいが、下山にかかる。昨日教わったことを確かめながらアイゼンにピッケルを用いて雪道を下る。中房温泉を経て有明荘に戻ると、なんだかあっという間の二日間だったように思える。夏山以上に技術や経験がモノを言う雪山は、未経験者(登山初心者とは限らない点が重要)にはハードルが高い。夏山の経験だけでは如何ともしがたい部分もいろいろあるように思う。そこを山小屋のベテランスタッフが、登山技術や楽しみ方を伝えてくれるのだ。とても貴重で素晴らしい企画だと思う。もとより雪山を安全に楽しむためには、もっと厳しい条件などで経験を積む必要がある。だが、私にとってこの春山登山教室はとても楽しく、素晴らしい入門となった。

指導くださったSさん、Iさん、そして参加者の皆さんにこの場を借りて深く感謝します。そして、お正月などの厳冬期に燕山荘で再会し、白銀の峰々を見てみたいものです。どうもありがとうございました。

*無積雪期の参考値、4B

登山中の画像
  • 夜明け前の安曇野穂高に到着
  • 式年遷宮を祝う大祭が催されている穂高神社に参拝するなどして、中房温泉行きバスを待つ
  • 穂高駅前から常念岳 天気はなんとかなるかな
  • 有明荘に集合して出発
  • 中房温泉
  • 登山教室参加者4名をヒュッテ大槍、大天荘の支配人さん2名が引率してくれるという贅沢な山行
  • 新緑の唐松
  • エンレイソウ
  • ヨウランツツジ
  • 第一ベンチの道祖神
  • イワナシ
  • バイカオウレン
  • 三大急登の一つとされる合戦尾根を登る
  • ショウジョウバカマ
  • 合戦小屋。ここまで登山道にはほとんど雪なしだったが、ここでアイゼン装着
  • アイゼンにピッケルを装着。気温も高く、雪は腐っている状態
  • 雲間から槍ヶ岳が!
  • 振り返ると信濃富士の異名を持つ有明山
  • 燕山荘も見えてきた
  • 燕岳
  • 燕山荘に到着
  • 山頂から。手前の北燕岳の奥、剱岳を思わせる右奥のピークは針ノ木岳で、剱岳や立山は左奥
  • 槍ヶ岳に吊り尾根を経て前穂高岳も見えてきた
  • 峨々たる印象がある北鎌尾根も、燕岳から見るとなで肩に見えますね
  • 天候は徐々に回復してきている模様
  • 裏銀座の山並みに沈む夕日
  • 夕食後はロープワークの講習
  • 翌朝は快晴
  • 左のピークは、大天井岳。燕岳からだと、常念よりもこちらの存在感が大きい。
  • ご来光
  • 朝日を浴びる表銀座、槍穂高連峰
  • 名残惜しいけれど下山
  • ムラサキヤシオツツジ
  • オオカメノキ
  • おまけ 穂高神社のお船祭りの様子
この山行で使った山道具
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  • 西東京猛虎会 さん
    すてぱんさん

    おはようございます。

    記録拝見、贅沢な山行で羨ましい限りです。

    所で、冬用登山靴・アイゼン・ピッケルは来季迄お預け、と
    確か書かれていた様な気がしましたが、やはりアンコール(笑)は
    必要ですね。

    私は今年の夏、燕岳に久しぶりに行きたい思いが有りますので、
    綺麗な写真を含め、参考にさせて頂きました。 有難う御座います。

  • すてぱん さん
    西東京猛虎会さん、コメントありがとうございます。
    そーなんです、雪山用の装備は使い回しができない上に結構な出費ですし、来シーズンまで待たずに行けるところはないかなあ、と探していて見つけたのがこの企画でした。

    春山講習会は今年はもう一度、それから6月には雷鳥の観察会の企画もあるそうですよ。ベテランの山小屋スタッフが、登山の技術や魅力を伝えていくというのはとてもありがたく、良い企画だと思いますね。

  • 南十字星 さん
    すてぱんさん

    たいへん参考になりました。ありがとうございます。

    西東京猛虎会さん

    ここでお目にかかるとは!またのアップを期待しています。

  • すてぱん さん
    南十字星さん、コメントありがとうございます。

    私の山行記録がご参考になったのなら嬉しいです。

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