行程・コース
天候
1日目:快晴、2日目:快晴、3日目:快晴
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
新宿発の中央高速バスで(夜行便片道6200円)、扇沢5:35到着
黒部立山アルペンルートで扇沢から室堂へ(往復9050円、チケットは5日間有効)
トロリーバスはこの日は6:30ではなく7:30始発 切符販売は6:50から
この登山記録の行程
【1日目】歩行3時間
室堂ターミナル(09:40)・・・ミクリガ池(09:45)・・・エンマ台(09:55)・・・雷鳥平(10:14)・・・別山乗越[休憩 10分](11:33)・・・剱澤小屋・・・剣山荘(12:41)
【2日目】歩行6時間42分
剣山荘(04:00)・・・一服剱(04:22)・・・前剱(05:13)・・・平蔵のコル・・・剱岳[休憩 20分](06:33)・・・平蔵のコル(07:26)・・・前剱[休憩 6分](08:02)・・・一服剱(08:47)・・・剣山荘[休憩 70分](09:08)・・・剱澤小屋(10:42)
【3日目】歩行5時間27分
剱澤小屋(05:30)・・・別山乗越(06:27)・・・南峰(06:37)・・・北峰[休憩 10分](06:46)・・・南峰(07:06)・・・真砂岳(07:45)・・・大走り分岐・・・富士ノ折立[休憩 10分](08:27)・・・大汝山[休憩 15分](08:45)・・・雄山神社[休憩 30分](09:18)・・・一ノ越(10:28)・・・立山室堂・・・室堂ターミナル(10:57)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
大混雑が予想される山の日やお盆休みを外して、剱岳ー立山の周回コースを登ってきた。偶然にもTJARとぶつかり、剱岳山頂直下では4連覇を目指す望月選手とも言葉をかわすことができた。快晴に恵まれ、憧れの剱岳、北アルプスを代表する岩稜歩きを満喫した。
コースの様子などは、写真のコメントにも記したので、行動上のポイントと思われたことなどを備忘録として書いておく。なお、地図上では別山乗越を劔沢小屋に降った表記になっているが、実際には劔御前の東斜面をトラバース気味に剣山荘へ向かい、翌日は劔沢小屋から別山乗越(劔御前小屋)よりも別山寄りで稜線に出るコースを登っている。
<渋滞と暑さ回避、暗い時間に行動するリスクのバランスで出発時間を決める>
剱岳に別山尾根コースは、もとより人気コースで人が多い上、多くの人は早月尾根やバリエーションルートである北方稜線に進むことなく往復する。上りと下りでルートが分かれている箇所もあるが、険しい岩稜なので難所では渋滞しがちで、すれ違いには時間を要することに加えて危険を伴う。いわば、袋小路のようなところへ多くの登山者が集まり、往復することになる。
また、森林限界を超えているので、晴天時は陽を遮るものがない。暑さで体力を消耗し注意力も散漫になれば、ちょっとしたミスが事故につながりかねない。したがって、計画上のポイントは、渋滞と暑さによる消耗を回避するために早朝から行動することにある。
一方、暗い時間帯に岩稜を行動することは、危険を伴う。このあたりのバランスが難しいが、今回は剣山荘を4時に出発すれば、ヘッドランプでの行動でもリスクが大きくない一服劔あたりで白み、難所が出てくる前劔あたりで夜が明けると計算した。
結果的にこの日はカニのタテバイで5分くらいの待ちがあった程度で、大きな渋滞は回避できた。後で話を聞くと、私より30分ほど遅く出発したパーティーは大渋滞に巻き込まれた(2時間の区間を4時間)そうだ。カニのタテバイ、ヨコバイなどで団体や不慣れな登山者が先行している場合はどうしても通過に多くの時間がかかる。夜明けの時間を調べておき、早すぎず(夜間行動のリスク)遅すぎない(渋滞と暑さ回避)うまい出発時間の頃合いを図ると良いだろう。
剱岳までの往復コースを選ぶと、不要な荷物を小屋にデポして軽量化できるメリットがある。山岳警備隊員や小屋の方のアドバイスは、暑いので水は2リットル程度持参、捻挫するなどで行動困難に陥った場合救援を待つまで夜をまたぐ恐れもあるので防寒具は必携、これに雨具や行動食を持参ということになる。暗い時間から行動するならヘッドランプ、鎖場が多いので滑り止めがついたグローブ(通常の軍手は滑るので不可)、それからヘルメットなどが必要な装備だろう。結構虫が多いので、虫よけ対策も。
<剣山荘、劔沢小屋とも予約を>
今回は、剣山荘と劔沢小屋の両方に宿泊したが、どちらも清潔で、雪渓からの豊富な水を生かしてなんとシャワーを浴びることもでき、大変ありがたかった。登山道の混雑回避のためもあり、宿泊は予約が推奨され(劔沢小屋は完全予約制)、定員以上に詰め込むことはしないようだ。そのため一人布団一枚でゆったり休めた。
剱岳へ登頂する日には、あらかじめ朝食をお弁当にしてもらうようお願いしておけば、剣山荘の場合、朝3時頃には食堂にスープやお湯の用意がしてあり、お弁当をここで食べてから出発することができる。混雑の具合にもよるのだろうが、コースは険しい岩稜の連続なので途中でゆっくり食事ができるとは考えないほうがいいだろう。剱岳には剣山荘のほうがおよそ30分近く便利だが、劔沢小屋はこじんまりしている上に剱岳の眺めが素晴らしい。登頂後、小屋の前から絶景を眺めるのは至福のひと時であった。ルート定数63,5。富山県は現時点で山のグレーディングを発表していない。主観的グレード7E。
<北アルプスの岩稜はどこが一番難しいのか? アップデート>
さて、剱岳(山のグレーディングE難度)を登り終えたので、これで不帰キレット(D難度)、八峰キレット(D難度)、大キレット(E難度)と巷間で言われる北アルプスの代表的な岩稜を一通り登ったことになる(西穂高ー奥穂高間はバリエーション?)。ミスをしたらただでは済まないという点では、どこも同じだろう。これまで私が登った「難所」は、いずれも高度感はあるけれども良く整備されており、三点確保がしっかりできれば技術的に特段のものは必要なかった。むしろ折に触れて書いてきたように、いわゆる難所を通過してホッとしたなんでもないところのほうが、危険が潜んでいるように思われる。結局、登山は相応のリスクを伴うのでいつでも注意をし、疲労で足が思うように踏ん張れなかったり、バランスを崩したり、注意力が落ちたりしないように日頃から体力向上や体調の管理、さらには当日の天候や岩場の状態(特に岩や鎖が濡れていないか)の見極めが重要だということだろう。段階的に経験と技術を身につけ、高度感に惑わされない自信をつけていけば良いと思われる。
高度感や傾斜がきつければ、足がすくんで普段の力が発揮しきれない。岩場の「難しさ」とは、概ね、高度感や傾斜、空中への露出感などの「怖さ(ミスした時のペナルティ)」、距離や時間の長さ、足場の安定性、落石のリスクなどの要素からなるように思われる。「難しさ」は上手くコントロールできればスリリングな楽しみになり、その克服は大きな充実感につながる。剱岳別山尾根は、関係者の努力のおかげで大変よく整備されており、岩も穂高岳と比較して概ね安定していたように感じられた。
で、私なりの難しさランキングは、北穂高~涸沢岳間>大キレット>剱岳別山尾根>不帰キレット>八峰キレットという順番だ。もちろん個人的な感じ方なので、あくまでご参考まで。
フォトギャラリー:83枚
夜行バスで5時半に到着したが、切符の販売はトロリーバス始発30分前から。この日の始発は7時半
扇沢からトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイなどを乗り継いで室堂へ
扇沢からトロリーバスで黒四ダム、さらにケーブルカー、ロープウェイなどを乗り継いで室堂へ。信州側からアプローチできるのも、黒四ダム建設という大事業の恩恵ですね。よくもまあ、作ったものです。
立山連峰
地獄谷
別山乗越への道すがら行者たちとすれ違う。ここは今も信仰の場なんだな
別山乗越で剱岳が姿を現わす
富山側は雲海
劔沢を下るにつれて剱岳が高さと大きさを増していく。
剣山荘に向かう途中に3箇所ほど雪渓をトラバースするが、ステップが切ってあるのでアイゼンなしでも問題なし
剣山荘
初日の夕焼け
二日目の払暁
一服劔から見る前劔に取り付く人々。ヘッドランプの明かりが列をなす
前劔でご来光 手前は源次郎尾根
前劔の門 奥に剱岳
彼方に先週登った鹿島槍ヶ岳(中央)、五竜岳(左)
平蔵の頭(へいぞうのずこ)をトラバース
平蔵の頭を越えるといよいよカニノタテバイ
カニのたてばい
平蔵の頭(へいぞうのずこ)を振り返る。通過中感じた以上に切り立って見え、えらいところを歩いたなという気になる。
タテバイを突破して立山方向の眺め
TJAR参加中の望月選手!快く撮影に応じてくれた。頑張ってください!
山頂で記念撮影に興じる登山者たち
剱岳山頂より立山連峰 その先に槍穂高連峰も見えている
名残惜しいが下りにかかる
いよいよ下りの難所、カニのヨコバイ
カニのヨコバイ終点から振り返る
すぐに長いハシゴ
再び平蔵の頭(へいぞうのずこ)へ
平蔵の頭から剱岳山頂方向を振り返る
続々TJAR参加選手たちが。頑張れ!
再び前劔の門。下りはここから先での事故が多いそうだ。改めて気を引き締めて
前劔から山頂を振り返る
前劔から劔沢。下方、手前が昨晩泊まった剣山荘、左手が今日泊まる劔沢小屋
トリカブト
前方に一服劔
TJAR参加者の中に、気になる名前を発見
前劔も立派な姿
剱澤小屋には10:42到着。少し贅沢だが、今日はここでゆっくり劔岳を眺めながら、余韻を楽しむことにする。
いながらにしてこの剣岳の眺めを楽しめるのは、劔沢小屋ならではだと思う。
剱岳は絵になる山だなあ
3日目、本日も快晴。立山連峰縦走に向かう
別山からの剱岳
別山から後立山連峰
立山への縦走路
富士ノ折立より黒部湖方向
黒部ダムがガスの合間から見える
針ノ木岳はこの方から見ると赤岳を思わせる姿
大汝山から黒部湖、その先は針ノ木岳
雄山を目指して
槍穂高連峰は驚くほど尖って見える
雄山神社に登拝
今回一番の難路は雄山から一の越での大渋滞とザレた下りだったかもしれない
ミクリガ池と立山連峰。下山後にみくりが池温泉の素晴らしい温泉を楽しんだ
立山曼茶羅。剱岳はなんと針山地獄として描かれている!測量隊が剱岳山頂に到達した時に、平安時代のものらしい錫杖を発見した話は有名だが、まさか針山地獄に登ったわけではなく、神聖なものとして考えられていただろうに
初日(快晴)の天気図
二日目(快晴)の天気図
三日目(快晴)の天気図
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア | 登山靴 |
バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ | 予備電池 | タオル |
帽子 | 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | 登山計画書(控え) | ナイフ |
ツエルト | 健康保険証 | ホイッスル | 医療品 | ロールペーパー | 携帯トイレ |
非常食 | 行動食 | GPS機器 |
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