先週末は、麓の大雪と比例するほどの積雪にはならず、しっかりと降った程度の雪でした。稜線の強風に注意。
天気・気温
山と周辺の状況
ここ数日の強風が止み、今日は穏やかな気候となりました。
厳冬期の雪山ですが、日中、太陽が顔を出すと暖かく感じる時間帯もありました。
午前中に良い天候でしたが、山荘周辺でもいつもより強い風が吹き、丸山ではうっかりしていると飛ばされそうな強風ですした。
先週末は、麓の大雪と比例するほどの積雪にはならず、しっかりと降った程度の雪でした。
山荘周辺の積雪は210cmくらいです。
登山道の状況
稜線も、丸山までは特に吹き溜まり箇所は無く、視界も良好で心地良いです。
強風による寒さと、舞い上がる雪のツブテの攻撃に会い、目出し帽は必須です。
いくら動いて体が温まるといえど、風にさらされ続けると、しっかり着込んでいなければすぐに体温を奪われます。
稜線に向かって登って行かれたものの、風と寒さで引き返してこられた方もいらっしゃいました。
樹林帯は、一晩でかなりの積雪となることがあり、大変なラッセルを強いられることがあります。ワカンやスノーシューも雪山の基本装備ですので、忘れずにご用意ください。
稜線に立つと、身体のバランスを保つのに気を遣うくらいの風が吹くことがあり、体感温度は実際の気温よりも大変低くなります。防寒・防風対策が必要です。
●ロープウェイ~山荘間
・現在のロープウェイ登山道は、ここ数日降り積もった雪が適度に締まり、歩行しやすい状態で、トレースも明瞭。
・丸山辺りの雪は風で飛ばされ、深くはありません。トレース以外に踏み込まないようにしましょう。ハイマツを傷めてしまいます。
・今後は積雪状況に応じて、竹の棒や小枝に赤いリボンを付け直してルートを整備しています。ただし、雪がたくさん降った直後は、目印の移動設置が間に合わないことがありますので、そのつもりでお越しください。
●独標、山頂方面
・丸山より上部は風を遮るものがありませんので、樹林帯の中と比べると急に風が強まります。稜線では風速20mになることもあります。天気が良くても風や寒さに対する配慮が必要です。防寒・暴風対策が必要です。
・丸山~お花畑までは尾根の幅が広く、滑落するような場所ではないため、もう少し積雪が増えればアイゼンワークの練習をするには向いています。しかし、天気が悪く視界がきかないときは方向が分からなくなり、迷いやすくなりますので、悪天候時は決して無理をしないようにお願いします。
・お花畑~独標間はルートが狭くなり岩場が続きますので、転倒や滑落に十分注意して歩いてください。またこのあたりからは信州側に雪庇が発達してきます。ルートを良く確認して行動してください。特に悪天候の際は、下山時にルートを間違えると大きな事故につながる可能性があります。
・独標~西穂山頂間は冬山の上級者向けルートです。降雪により雪や氷となっている場所がありますので、アイゼンやピッケルが必要で、それを使いこなせる技術が必要です。
・独標から先の稜線は氷と雪のミックスとなる日もあります。アイゼン・ピッケルは必須です。
●山頂~奥穂方面
・西穂~奥穂間の縦走路は無雪期でも最も難しいといわれるルートの一つで、冬期間に縦走する人はほとんどいません。安易に立ち入ることは自身を危険にさらすだけではなく、多くの人に迷惑をかけることにもなりかねません。
●焼岳方面
・西穂山荘から焼岳小屋までのルートは、積雪期は不明瞭で迷いやすくなります。ある程度雪がなくなるまで、通る人はほとんどいません。また、割谷山の飛騨側斜面を通過する際は、滑りやすいため注意が必要です。焼岳小屋から上高地間のルート上の梯子は冬期期間撤去。
登山装備
完全冬山装備。目だし帽(バラクラバ)、オーバー手袋、ワカン、12本爪アイゼン(山荘までも8本以上が良いでしょう)、ピッケル(丸山までならストック)。
・日中でも-10℃になります。吹雪となる日も少なくありません。完全な冬山装備が必要です。
・冬山用の防寒着を含め、どんな状況にも対応できるような装備でお越し下さい。晴れた日でもこの標高で吹く風は、一気に体温を奪うような非常に冷たい風が吹きます。
注意点
・冬季は一晩降り続けると1m近く積もることもあります。入山時には楽に登れても、山荘で一泊して、翌日帰る時に登山道の状況が一変しているといった事も珍しくはありません。どんな状況でも行動できるよう、ワカンやスノーシュー等、ラッセルへの備えもお忘れなく。
・冬の西穂高では、しばしば道に迷う人が発生します。ホワイトアウトになった場合は特に注意必要。
・天気が良くても油断は禁物。日射が強く気温が上がれば、雪崩の起きやすい場所では午後になると湿雪表層雪崩発生の可能性も出てきます。冬山は他のシーズンにも増して、緊張感を保ち続けることが大切です。
・厳冬期の北アルプスは想像を超える厳しさとなる時もあります。低体温症や凍傷等には十分注意してください。
・登山予定日の天候をよく確認して、無理をしないようにしましょう。
・新穂高ロープウェイは風速15mを超える強風が吹くと運休する場合があります。
・雪山初心者は山荘まででも、冬山経験者と同行しましょう。まして小屋から先へは行くのは、難しいと思われます。
・西穂高一帯は国立公園に指定されているため、所定のテント場以外の場所にテントを張ることはできません。
お知らせ
・山の状況や装備のご質問などは山荘にお問い合わせください。松本事務所TEL0263-36-7052(冬期は土・日・祭日を除く9:30~16:00)
・冬の間は水源が無くなるため、水はミネラルウォーターのペットボトル販売(500mlで300円)のみとなります。
・携帯電話、スマートフォンの充電対応は山荘自家発電時のみとなります。20分間で100円。充電の際はご自身の充電アダプターをご用意ください。
昨年の今頃の様子は?
新穂高ロープウェイから山荘までのルートを一部変更2023.04.23
融雪は進みましたが、凍結箇所もあるので8本爪以上アイゼンで2023.04.30
GW最終日は雨。5月8日から新穂高ロープウェイが運休です2023.05.07
天気は雪から雨に。山荘周辺の積雪は70㎝ほど2023.05.14
西穂山荘周辺の過去の様子
西穂山荘
- 電話番号:
- 連絡先住所:
- 長野県松本市中央1-11-25 西穂山荘事務所