鹿島槍・爺ヶ岳 | 冷池山荘

梅雨らしい天気で雨量は例年より多目。稜線で夏の花開花。鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳はアイゼンピッケル不要です。

「初霜」 冷池山荘のベンチテーブルには、うっすらと霜が降りました。ベンチのまわりのミヤマキンポウゲたちも寒さにびっくりしたでしょうね。(2014.07.29 冷池山荘 )
「初霜」 冷池山荘のベンチテーブルには、うっすらと霜が降りました。ベンチのまわりのミヤマキンポウゲたちも寒さにびっくりしたでしょうね。(2014.07.29 冷池山荘 )
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天気・気温

07/08(火) 天候は曇ったり、雨降ったり。
富山市の天気予報
明日
曇時々雨
16℃
12℃
明後日
晴時々曇
18℃
9℃
日本気象協会提供 2024年4月30日 10:00発表
松本市の天気予報
明日
曇のち雨
16℃
9℃
明後日
晴一時雨
20℃
8℃
日本気象協会提供 2024年4月30日 10:00発表
※ご利用上の注意

山と周辺の状況

・鹿島槍ヶ岳周辺は、6/5の梅雨入り以降、本当に梅雨らしい梅雨を送っています。ときどき梅雨の中休みもありましたが、雨量は例年より多く推移していると思われます。
・梅雨前線の活動も一時的に弱まった本日7/8日は、昨日の土砂降りの雨も上がり、みごとな梅雨の中晴れの青空が、朝から広がっています。
・このあと今週は、大型の台風8号の本州接近が予想されていますので、注意が必要です。台風と梅雨前線の合体による大雨には、山でなくとも日本全国で要注意です。
・北アルプス北部の梅雨明けは、北陸地方や新潟県が梅雨明けしなければ、基本的には安定しません。北陸地方の梅雨明け平年値は7/24です。長野県は関東甲信という、非常に雑ぱくな分け方で、梅雨入り梅雨明けが発表されますが、長野県が東京などと同時に、梅雨明け宣言したからと言って、北アルプス山麓の大町、白馬なども、梅雨明けとは一概に言えません。やっぱり北陸、新潟県が明けなければ いまひとつ安定はしません。
・朝の温度はすずしい日で、5℃ぐらいの日もまだあります。また日中の温度は晴れて18℃ぐらいです。今年はどっぷり梅雨モードで、このところ温度も若干低めに推移しています。
・NHKテレビの全国天気予報を見る際、北アルプス北部のお天気の目安としては、「長野」のお天気ではなく「新潟」のお天気のほうが類似していますので、そちらを参考にしてください。さらに「金沢」も参考にすればよいでしょう。この3箇所が晴れマークなら、北アルプス北部も大体晴れるでしょう。「長野」と言うのは、要は長野市の街中のことであり、北アルプスの天気とはかなりかけ離れています。同様に関東甲信越の天気予報に登場する「松本」も、北アルプスの天気とはかけ離れています。わからない方は、とにかく「新潟」(新潟市のことです)のお天気を参考にしてください。
・小屋のテレビで天気情報が映る際も、みなさん雨の確率(パーセント)ばかり気にしていますが、大事なのは気象予報士が冒頭で言う概況の解説と、天気図です。お聴き逃し、お見逃しなきように!また降雨予想のメッシュ図が出れば、今ではかなりの確率でお天気もわかろうかと思います。

●高山植物
・主稜線では ハクサンイチゲ ハクサンイチゲ チングルマ チングルマ コマクサ コマクサ ミヤマキンポウゲ ミヤマキンポウゲ シナノキンバイ シナノキンバイソウ ミヤマキンバイ ミヤマキンバイ ミヤマダイコンソウ ミヤマダイコンソウ 、タカネ スミレ スミレ ミツバオウレン ミツバオウレン シラネアオイ シラネアオイ キヌガサソウ キヌガサソウ サンカヨウ サンカヨウ などの夏をいろどるお花たちが少しずつ咲き出しています。
・夏に大きなお花畑になるような場所には、まだ残雪がありますが、周りの雪の早く消えた場所から、徐々に夏の花が咲きだしています。一番の見頃は7月下旬から8月上中旬でしょう。お花畑に関しては、まったく慌てる必要はありません。
・柏原新道では足元の林床にはツマトリソウ、 ミツバオウレン ミツバオウレン ゴゼンタチバナ ゴゼンタチバナ 、ヒメイチゲ、 ショウジョウバカマ ショウジョウバカマ 、コ イワカガミ イワカガミ などが咲いています。

登山道の状況

・鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳登頂に関しては、登山道に支障はありません。一部に残雪もありますが、アイゼン等も、基本的にはもう必要はありません。
・柏原新道では、例年遅くまで残るアザミ沢とガラバに雪渓が残っていますが、小屋のスタッフがカットしていますので気をつけて通行すれば問題ありません。ガラバ付近では落石にも注意してサッと通過してください。このところの雨天続きで雪消えも順調です。
・赤岩尾根は最上部のトラバースに少し残雪がありますが、まもなく夏道も現れそうです。
・冷池テント場の先には延長300m近くに渡って残る、雪庇の名残の上を歩いたり、雪が消えて現れた夏道に下りて歩いたりします。雪庇から夏道へ下りるときや、逆に雪庇上へ上がるとき、凍っているときがあるので、ストック等を用いてバランスを崩さぬようにして通行してください。小屋で雪庇への上り下りは随時カットしていますが、各自がしっかりと注意して通行してください。
・種池山荘~新越山荘間は所々に残雪が残っていますので、谷側に寄らずに山側を注意して歩いて下さい。こちらも雪庇上への上り下りに注意は当然です。
・針の木大雪渓の雪はまだたっぷりあります。7/8現在針ノ木小屋直下の夏道もまだ姿を見せていないようです。(もう少しすれば最上部の夏道も、雪融けが進んで、現れてくることでしょう)大沢小屋から夏道を15分ほど登ったあたりから針ノ木小屋まで約1.5キロ間ずっと雪の上を歩きますので、不安な方は軽アイゼン、ピッケル等お持ちになってください。針ノ木小屋で軽アイゼンを借りて大沢小屋で返却することもできます。下り時には、慣れない方は軽アイゼンを使って下りたほうが安心です。
・針ノ木小屋から針ノ木岳頂上のあいだにも雪渓が残っており、雪渓上をトラバース気味に斜上します。針ノ木小屋スタッフがカットしてくれていますので、注意して通行すれば問題はないと思いますが、雪が消えるとカットした部分がダレて斜めになってしまいますので注意が必要です。心配な方には軽アイゼン、ピッケル等持参をおすすめいたします。こちらも頂上から針ノ木小屋への下り時に転滑落に注意です。
・針ノ木岳方面への入山では、心配な方は、もう10日ほどは軽アイゼン、ピッケル等をお持ちになるのをおすすめいたします。
・鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間はお客さま情報では特に支障はないようです。ただ遠見尾根や、八方尾根の登山道にはところどころに残雪があるようですので、気をつけてください。また鹿島槍南峰を越えると、爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳南峰までの間のような比較的なだらかかつ穏やかな稜線歩きとは違い、岩場が多くなり高度感も格段の違いです。アップダウンも多いので健脚者、経験者向けです。
・梅雨時の雨や地震等による登山道被害報告等ははありませんが、この時期はまだまだ浮石や落石等へ十分に注意をはらってください。また大雨が降っても登山道の全線の状況をすぐに把握することは不可能です。大雨の後で、道は大丈夫かとすぐに聞かれても、わかる術はありません。登山道に被害等があったときには引き返して小屋や警察署等にご連絡くださるようお願い申し上げます。
・大町から扇沢駅までの大町アルペンラインや大谷原および西俣出合登山口までの道路もまったく問題ありません
・大町から扇沢駅までの大町アルペンラインは大雨等の際には、事前に通行規制が行われ車両の通行ができなくなる場合があります。1時間に30ミリの豪雨が降った場合や、雨が止むことなく降り続き130ミリに達した場合が該当します。
※こういった事前規制は猿倉、中房、上高地等北アルプス各所の登山口への車道でもあります。

登山装備

3000m級の登山装備が必要です。
鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳はアイゼンピッケルともに不要です。
針ノ木岳方面は軽アイゼン、ピッケルを携行をオススメします。

注意点

●マイカーの駐車について
・週末を中心に柏原新道登山口の扇沢出合付近は駐車車両で混みあいます。
絶対に路上駐車や、はみ出し駐車をしないでください。黒部ダムへの大型バスの通行に多大なる支障がでて、たいへん迷惑です。大渋滞の原因や、過去には交通事故の原因にもなっています。
・駐車するときもできるだけ詰めて1台でも多くの車が停められるようにしてください。
※登山口の700m先には年間100万人以上の来場者がある黒部ダムがあります。通常の行き止まりの登山口行きの林道ではありません。
・本年、柏原新道登山口の扇沢出合にある駐車スペース(約30台分)が一箇所、拡幅工事のため使用できません。皆さんには例年以上に公共交通機関でのお越しをお願い申し上げます。
・大谷原に駐車される方は、防災工事の大型車が通行しますので、大型車両の通行に絶対に支障にならないようお願いします。

●アプローチのバスダイヤ+タクシー
こちらをご参照下さい。http://www.kasimayari.jp/bus.zikokuhyou.htm

お知らせ

●冷池山荘と種池山荘、新越山荘 営業中です。
HPはこちら http://www.kasimayari.jp/index.htm
・ご予約をお願いいたします。
・予約はキャンセルされても、キャンセル料等はかかりません。雨の日や体調の悪いときには、当日キャンセルでも構わないので、絶対無理はなさらないで下さい。
・冷池山荘、種池山荘、新越山荘ともに個室の予約は承っておりません。宿泊状況によってはお受けできる時もありますので当日に現地にて受付時にご確認ください。

●混雑状況(7/8現在)
・「海の日三連休」 7/19(土)の冷池山荘がすでに180人ほどの、ご予約をいただいており、最終的には、定員に達すると思われます。
当方の山荘では、可能な限り定員をオーバーしないよう努めており、定員ちかくなると、ご予約の際に、お断りすることもあります。
・7/20(日)の冷池山荘、7/19(土)および7/20(日)種池山荘は、現在100人ほどのご予約があります。このあとの予約しだいでは、そちらも定員近くまでいくものと思われます。なにとぞご協力をお願いいたします。
・新越山荘は、いまのところ初日2日目ともにご予約は少ないです。
・一般のお客様に関しては、夏山シーズン前半の最大ピークは「海の日連休」になりそうな気配ですが、今後の天気およびご予約次第では、7月最終週末および8月第1週の週末が前半戦最大のピークになるかもしれません。
・平日になれば、大変すいております
・海の日連休も、7/21は冷池山荘もほとんど予約が入っていませんので、ぜひとも入り込みの分散化等に、ご協力いただければ幸いです。

●遠足の宿泊(長野県内恒例の学校登山の予定日)があります。
・種池山荘 7/16(水)が小屋の定員に近い人数ですので、この日のご宿泊は避けていただきたくお願い申し上げます。
・種池山荘 7/23、24も一般のご宿泊者の予約が今後増えて、最終的には定員に達すると思われますので、日程の変更や冷池山荘、新越山荘のご利用をお願いしたいと思います。
・なお7月中の学校登山が雨天の際には8月後半へ順延になります。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

昨年の今頃の様子は?

2023年GW営業はありません(冷池山荘、種池山荘、新越山荘)。夏山営業7/1~(5/15から予約受付)2023.04.27

冷池山荘と種池山荘は営業7/1~、新越山荘は7/15~。7月泊の予約受付は5/15~(テント6/1~)2023.05.10

冷池山荘周辺の過去の様子

  • 爺ヶ岳も鹿島槍ヶ岳も主稜線の雪庇の張り出しも気持ち小さい感じがします。
  • 鹿島槍ヶ岳。手前の里山の雪ももうじき無くなってしまいそうです
  • 鹿島槍ヶ岳の頂上稜線では30cm近い積雪でしょうか。吹き溜まりは場所によっては1mあっても不思議でありません。
  • 鹿島槍ヶ岳も全容を現してくれました。頂上付近に雪が残っているのが見えます
  • 日当たりの少ない針ノ木岳や蓮華岳の北側斜面には雪が残っているのがわかります
  • 昨日そして今日の雨で小屋前の雪もほぼ消え去りました。種池山荘前
  • 前日の雪も上がって好天下、爺ヶ岳を皆さん目指します。爺ヶ岳南峰まででしたら主稜線も危険なところはほぼありません。
  • 15時 冷池横の黄葉の木々が白く染まりました
  • 種池山荘前も白の世界へ
  • 前線通過の雨に洗われて、いちだんと紅葉は輝きを増しました。
  • いい感じでにぎわった、種池山荘前庭。
  • 今年も「初氷娘」の登場する季節到来! 初氷で鹿島槍ヶ岳に乾杯(種池山荘)

冷池山荘

電話番号:
0261-22-1263
連絡先住所:
長野県大町市平5328

地図で見る
http://www.kasimayari.jp/

施設の詳細を見る

関連する山

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

鹿島槍ヶ岳 標高 2,889m

 この山は、後立山連峰の中央部に位置し、名実ともに後立山の盟主という存在である。  端麗と表現される南北2つの峰と、それを結ぶ吊尾根がつくるこの山の姿は、どこから眺めても美しい。この山に魅せられた岳人たちは、同時にこの山が内懐に秘める荒々しさのとりこにもなったのである。それは山麓からではうかがい知れない、北壁や荒沢奥壁などのバリエーション・ルートである。これらのルートの開拓は大正末期から昭和の初期に、学校山岳部を中心に華々しく行われ、それは日本におけるアルピニズムの歴史に、貴重な一頁を記しているのである。  鹿島槍ヶ岳への登路は、縦走路のほかには、東面・信州側から短くて急峻な赤岩尾根1本のみである(鹿島から所要9時間)。この尾根の途中の高千穂平は、鹿島槍ヶ岳のよき展望台ともなっているが、そこから眺める大冷(おおつべた)沢の源頭には、残雪期に獅子やツルの雪形が現れる。そこから昔は、山名をシシ岳とかツル岳、あるいは双耳峰からの連想で背比べ岳などとも呼ばれていた。現在の鹿島槍ヶ岳の山名は鹿島集落の背後にある槍ヶ岳といった意味である。山体は信州側は急崖、西面・越中側はなだらかな非対称山稜の典型である。  西面には、支稜の牛首尾根を挟んで東谷と棒小屋(ぼうごや)沢が、西面の水を集めて黒部川に注いでいる。この棒小屋沢と、剱岳東面を流下する剱沢とが、黒部峡谷に対して対向から合流する、有名な黒部の十字峡を形成している。  東面を落ちる白岳、大冷の各沢は、源頭部にバリエーション・ルートを提供している。その1つ、カクネ里はU字谷をなし、平家の落武者が隠れ住んだという(隠(かく)れ里(さと))伝説をもつ、ロマンを秘めた圏谷である。もちろんここに人が隠れ住むというのは不可能だが……。  南峰から主稜を南へ下ると、肩といった存在の布引岳(残雪が布を敷いたように見えるのでこの名がある)で、付近には船窪地形が散見される。その南の小平地には冷(つべた)池があり、冷池山荘が建っている。また吊尾根の雪田付近から北峰を巻いて北へ下ると、両側の谷からの浸食によって、主稜線に深いⅤ字形の切れ込みの入った八峰(はちみね)のキレットに出る。その北側にキレット小屋がある。  登山口の鹿島集落は昔から戸数11戸しかなく、集落の人々は平家の落武者の子孫といわれている。ここで民宿を営んでいる狩野氏宅には、近代登山以降の鹿島槍ヶ岳の登高記念帳が保存され、それがそのまま鹿島槍ヶ岳の登山史ともなっている。

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

爺ヶ岳 標高 2,670m

 後立山連峰の南部にあり、3つのピークからなる。北から一直線に南下してきた後立山の主稜線は、この爺ヶ岳で西方へ大きく湾曲し、越中側にすり鉢を半分に切ったような、ハイマツの見事な大斜面をつくっている。一方、東面には大きな白沢天狗尾根を張り出している。この天狗尾根や扇沢にはかつて登山道があったが、現在は廃道となり、種池山荘の柏原正泰氏が拓いた柏原新道がある。新道は扇沢出合から爺ヶ岳南稜をたどって種池に登るもの(扇沢出合から所要3時間30分)で、2つの廃道の欠点を取り除いた、後立山連峰の主稜線へ登るものとしては、最も容易なコースである。  爺ヶ岳の山名は、南峰と中央峰との間、白沢の上部に、残雪期に種子蒔き爺さんの雪形が現れることから付けられたもので、爺さんが蒔く種を漬ける種池だ、というおまけまでついている。種池は主稜上の池塘で、そばには種池山荘があり、幕営地にもなっている。この西方にも棒小屋沢乗越の池がある。種池から南峰にかけて、またその南斜面も広大なお花畑である。  積雪期の爺ヶ岳東面は、ヒマラヤひだが発達して壮観で、いくつかのバリエーション・ルートが拓かれている。

富山県 長野県 / 飛騨山脈北部

岩小屋沢岳 標高 2,630m

飛騨山脈北部、富山県と長野県の県境にそびえる山。西側には種池小屋、東側には新越乗越山荘がある。

ユーザーの登山記録から

周辺の山岳最新情報