装備品や技量の不足が遭難事故の要因も。 島崎三歩の「山岳通信」 第76号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2017年6月28日に配信された第76号では、装備品や技量の不足が招いた遭難事故など、8件の山岳遭難について触れている。

 

6月28日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第76号では、6月11日~18日の間に起きた山岳遭難の遭難事例が掲載されている。以下に抜粋・掲載する。

 

6月11日~18日の信州の山岳遭難現場より

6月11日~18日の間に長野県内で起きた山岳遭難は以下の8件でした。

  • 6月11日、雨飾山で写真撮影に出かけた82歳男性と79歳女性が夫婦で道に迷い行方不明となる山岳遭難が発生。夫は妻を車に残して写真撮影のために入山したが道に迷い、戻ってこない夫を探しに入山した妻も道に迷い、それぞれ行動不能となり救助要請。
    警察などで捜索した結果、翌12 日に2人ともに無事発見となった。

  • 6月14日、須坂市豊丘地籍・豊丘ダム上流の山林で、クライミングができる岩場を探すために入山した21歳男性が、浮石に乗り滑落して右肩骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで無事救助された。

  • 6月14日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、猿倉へ向けて下山中の52 歳男性が雪上でスリップして滑落。腰部骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで無事救助された。

  • 6月15日、戸隠山で68 歳が登山道から滑落して死亡している状態で発見された。男性は6月11日に単独で入山後、行方不明となっていた。15 日、山岳遭難救助隊の捜索により発見となったものの死亡が確認。

  • 6月16日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、37歳男性が下山中に雪上でスリップし滑落して左肩骨折の重傷、同行の29歳男性は下山に必要な装備品を紛失し行動不能となり低体温症などで行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリでそれぞれ救助された。

白馬鑓の遭難現場付近の状況。白馬鑓周辺では6月中に滑落3件、道迷い1件、行動不能1件の計5件の遭難が発生
(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月23日付より)

 

  • 6月18日、八ヶ岳連峰の山小屋で、69 歳女性が宿泊中に体調不良を訴え、県警ヘリで救助。その後、大動脈解離により死亡が確認された。

  • 6月18日、北アルプス白馬岳白馬大雪渓で、24 歳女性が下山中に雪上でスリップして滑落、左足首骨折などの重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 6月18日、下高井郡山ノ内町平穏の笠ヶ岳で、74 歳女性が山菜採りのために入山したが、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6 月3 週も滑落事故が相次いで発生しました。中でも雪渓上で発生している滑落事故は装備品や技量不足に原因があるものが見受けられました。

今シーズンは春先の降雪と梅雨時期の少雨が重なり、北アルプスでは残雪が例年よりも多めです。事前の情報収集を行い、アイゼン・ピッケルなどの雪上歩行に必要な装備品の携行をお願いします。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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