冬山では入山する前に入念な事前準備が不可欠 島崎三歩の「山岳通信」 第424号

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長野県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。第424号では、冬山に入山するための心構えをあらためて説明。アクシデントに備えた装備や、体力的な備えの必要性を解説している。


12月17日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第424号では、期間中に起きた1件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 12月2日(火)、南アルプスの仙丈ヶ岳で、単独で入山した40歳の男性が、柏木登山口から入山して地蔵尾根コースを登山中に疲労により行動不能となった。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

先週(12/8~12/14)、長野県内では山岳遭難の発生はありませんでした。

冬山登山は1年で最も過酷なシーズンで、その厳しい環境で安全な登山を行なうには、入念な事前準備が不可欠です。稜線では、ひとたび天候が崩れると強烈な雪風に見舞われ、視界不良の状態が数日間続くこともあります。状況によっては行動を中断し、停滞を余儀なくされる場合が想定されるため、充分な予備の燃料や食料などを必ず携行しましょう。

また、冬山は夏山以上に体力が必要です。特に深い雪を進むラッセルは、雪質や積雪量、地形の影響を受け、想像以上に体力を消耗します。重い装備を背負い、長時間の行動に耐えられるよう、日頃から体力・筋力トレーニングに励みましょう。

冬山は事前の準備の差がそのまま安全と生死を分けることを念頭に置き、冬山を楽しみましょう。 

先々週(12/1~12/7)、長野県内では1件の山岳遭難が発生しました。

状況は、単独で仙丈ヶ岳に向けて登山中に疲労により行動不能となり、一晩ビバークして翌日にヘリコプターによって救助されました。

冬山で遭難した場合、状況によっては救助されるまで、時間がかかることがあります。その間、遭難者本人や同行者は現場で風雪と寒さに耐えながら救助を待たなければなりません。冬山に入山する以上、遭難のリスクは誰にもあるものです。リスクを充分に理解したうえで、万全に準備を行ない、入山することが求められます。

万が一のアクシデントに備え、防寒着やビバーク装備を必ず携行し、登山計画の段階から積雪を考慮した余裕のある日程と冬山に対応できる装備を携行しましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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