バックカントリーエリアでの遭難が多発。慎重な計画を立て、単独での入山は控えましょう 島崎三歩の「山岳通信」第213号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年2月18日に配信された第213号では、引き続きバックカントリーエリアでの遭難が多発していることに言及。慎重な計画を立て、単独での入山は控え、雪崩対策装備を携行することを呼びかけている。

 

2月18日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第213号では、期間中に起きた2件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月7日、中央アルプス中岳で、単独で入山した29歳の男性が木曽駒ヶ岳へ向かったものの、下山中に悪天候のために行動できなくなる山岳遭難が発生。機動隊山岳遭難救助隊員、駒ヶ根警察署山岳遭難救助隊員及び中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して、8日に男性を発見し収容したものの死亡が確認された。

  • 2月12日、北アルプス唐松岳の八方尾根で、スキー滑走のために入山した2人パーティで入山した27歳の女性が、八方尾根北斜面を滑走中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助された。

北アルプス唐松岳・八方尾根での遭難現場の状況/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)2月15日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

2月2週は2件の山岳遭難の発生がありました。県内では、バックカントリーエリアでの遭難が多発しています。主な遭難の態様は、立木への衝突や転倒によるものです。バックカントリーエリアは、非圧雪、非整備の斜面を滑走できるのが醍醐味ですが、管理されたスキー場とは異なり、樹木や岩への衝突リスクが高いほか、転倒した場合には、滑落や雪崩を誘発して巻き込まれる可能性もあります。また、県内の標高が高い山域では積雪が多いため、今後の気温上昇によっては、雪崩のリスクが非常に高まります。これらのリスクを認識するとともに、慎重な計画を立て、単独での入山は控え、雪崩対策装備を必ず携行しましょう。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が発令されている地域があります。登山を考えている方は、緊急事態宣言発令の地域に限らず、各地域ごとの最新情報を確認し、慎重な計画と行動をお願いします。
長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と、「登山者への5つのお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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