上高地でシナノザサが開花
文・写真=昆野安彦
定年で東北大学を退職した私は、フリーになったのを機に5月からずっと上高地に入っている。5月末には私が名付けた「徳沢の娘」をYamakeiOnlineで紹介したが、不定期にはなるが、私が山で見つけた「旬な生きものたち」を発信していきたいと考えている。
さて、ここに滞在しているのは大好きな上高地の自然を撮り歩くのが目的だが、私の一番のお気に入りのコースは河童橋からウェストン碑までの自然研究路。ここは野鳥の宝庫で、私のホームページで紹介している動画の多くはここで撮ったものである。
さて、今回紹介するのは、このコースで6月24日に見つけた「シナノザサの花」。シナノザサは上高地の林床に広く自生する笹だが、笹の花は数十年に一度しか咲かないとも言われるように、上高地でこの笹の花を見るのはそう簡単ではない。


一つの小花に雄しべが6個ある
私が見つけた場所は河童橋からウェストン碑方面に5分ほど歩いた道の右手で、シナノザサの花穂は数えてみると百個ほどもあった。花が咲き終わると、今度はお米に少し似た実がなるので、しばらくはこの花と実の観察ができるはず。これから上高地に行く予定のある方は、時間があれば是非、この花か実を観察していただければと思う。
プロフィール
昆野安彦(こんの・やすひこ)
フリーナチュラリスト。東京大学農学部卒(農業生物学科)、東北大学農学部名誉教授。著書に『大雪山自然観察ガイド』『大雪山・知床・阿寒の山』(ともに山と溪谷社)などがある
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