梅雨明け直後の北岳は年に数回しかない晴天。この好天の理由は? 山梨が誇る標高2トップの天気をリポート「北岳」編

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梅雨明け前後の晴れ間をついて、富士山と北岳に登ってきました。前回は梅雨明け直前の富士山の様子をお伝えしました。今回は梅雨明け直後の北岳の様子をリポートします。

 

梅雨明け後 快晴の北岳

梅雨明けの発表があったのは7月16日。その翌日は北岳に向かいました。この日から甲府発広河原行き早朝バスが運行されて、北岳の日帰りがしやすくなっています。

 
この日は終始快晴で、夏の登山の穏やかさを満喫できました。むしろ日差しが暑いくらいで、雪渓を上から下に吹く風の流れが敏感に感じ取れました。これぐらい空模様が安定していると、見通しもいいもので、遠く後立山連峰の峰々が立体的に見えました。あちらはまだ多くの雪が残っているようでした。

帰りのバスで、車掌が、ひと夏に何度かあるかどうかのいい天気だと言っていましたが、本当にその通りだと思います。

 

天気を天気図で振り返り


予想天気図を見ると、東日本は地上の太平洋高気圧に覆われ、上空500hPaでは5880mという高度の高い場になっていることがわかります。負の渦度の極大域でもあります。


これに対応して700hPaの湿数は18℃以上という非常に乾燥した領域がかかり、中部山岳は沈降場だと考えられます。雲の発生が少なく、もし発生したとしても背の高い雲に成長できない条件です。こういうときは、夏でも遠くが見通せるものです。

 

山に登って天気に親しむ

富士山でも北岳でも、それぞれレスキューの現場に遭遇しました。偶然なのでしょうが、久しぶりの登山で浮かれていると、思わぬケガをしてしまってもおかしくないと感じました。

まず天気のいい条件の日に登ることが基本です。天気のコンテンツはあふれていますから、いろいろな情報に触れて天気を調べてください。天気を調べながら山に登ると、天気の理解が深まって楽しみは大きくなります。

山梨には、富士山と北岳の他にも、八ヶ岳、白根南嶺、奥秩父主脈など、魅力的な道がまだまだあります。今年の夏はできるだけたくさん歩こうと思います。

 

プロフィール

宮田雄一朗

日本気象協会所属の気象予報士。山梨県で気象キャスターをしています。天気予報をきちんと伝えられるように奮闘中。日々の天気の話題の中で、登山にちょっと役立つ知識もお届けします。

日本気象協会

日本の気象コンサルティングサービスのパイオニアとして1950年に創立。以来、気象・環境・防災などに関わる調査解析や情報提供を行っている。
近年ではAIやIoT、気象ビッグデータの活用を通じ気象の調査解析、情報提供の精度を向上させ、気候変動への適応など持続可能な世界を実現する活動を支援している。
 ⇒tenki.jp

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