積雪が多い状態が続く長野県内、滑落や雪崩を回避する技術や知識、装備品の携行を 島崎三歩の「山岳通信」 第254号
長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年3月10日に配信された第254号では、積雪量が非常に多い状態が続いていることを説明、今後の気温上昇などによって雪崩などのリスクが高まることに注意を促している。
3月10日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第254号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
2月23日、八ヶ岳連峰の赤岳で、単独で入山した43歳の男性が赤岳から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

2月26日、八ヶ岳連峰の柳川付近で、3人パーティで入山した74歳の男性がアイスクライミング中に崩落した氷塊が身体に当たり、体勢を崩して氷壁に身体を打ち付けて負傷、行動不能となる山岳遭難が発生。諏訪広域消防本部消防署員、茅野警察署山岳遭難救助隊員及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動し、男性を救助した。
3月4日、八ヶ岳連峰の阿弥陀岳で、単独で入山した50歳の男性が南沢大滝をアイスクライミング中にバランスを崩し、転落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

3月5日、下高井郡野沢温泉村の毛無山で、4人パーティでバックカントリーを滑走中に、30歳の女性が仲間とはぐれて行方不明となっている。飯山警察署員、志賀高原地区遭対協野沢温泉班隊員が捜索活動を行っている。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
2月4週は2件の山岳遭難が発生しました。県内は北部を中心に、積雪量が非常に多い状態が続いています。今後の気温上昇などによっては、雪崩の危険性が一層高まるため、十分な下調べや雪崩対策装備の携行が必要です。登山やバックカントリーエリアは、管理された場所ではないため、常に危険と隣り合わせである認識を持ちましょう。入山前には、ルートや気象情報、積雪状況について下調べを行うとともに、滑落や雪崩を回避する技術や知識、装備品を携行するほか、アクシデントに見舞われた際の対応要領についても確認しておきましょう。また、コロナ禍であることに留意し、感染防止対策を徹底しましょう。
3月1週は2件の山岳遭難が発生しました。バックカントリー中の行方不明遭難が1件発生し、現在も捜索活動をしています。自然の山中を滑走するバックカントリーは、雪崩、道迷い、崖等への転落、立木等への衝突など様々なリスクが存在します。バックカントリーでは、スキーやスノーボードの滑走技術以外に、登山のスキルや緊急時の対処能力が必要になります。これからバックカントリースキーやスノーボードを予定している方は、今一度、自身の準備や計画、スキルを客観的に見直し、無理のない安全な行動を心がけてください。
長野県内入山注意報発表中
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(2月7日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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