激しい寒暖差で融雪と凍結を繰り返し、難しいコンディションになっています 島崎三歩の「山岳通信」 第256号
長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年3月24日に配信された第256号では、激しい寒暖差により融雪と凍結を繰り返している現在の県内の山の状況を説明。雪崩や滑落のリスクが非常に高いコンディションのため、高い技術や知識・判断力が求められるため、安易な気持ちで入山しないように注意を呼びかけている。
3月24日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第256号では、期間中に起きた8件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。
3月14日、北アルプスの白馬乗鞍岳で、単独で栂池スキー場から北アルプス白馬乗鞍岳に入山し、スキー場外を滑走していた75歳の男性が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。15日に県警山岳遭難救助隊、大町警察署山岳遭難救助隊が出動して男性を救助した。
3月14日、下高井郡山ノ内町の竜王山で、2人パーティでスキー場コース外を滑走中していた26歳の男性2人が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。後に無事に救出された。
3月16日、中央アルプスの千畳敷で、単独で入山した47歳の男性が、木曽駒ヶ岳から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。駒ヶ根警察署員が出動して男性を救助した。
3月19日、北アルプスの白馬乗鞍岳で、2人パーティで北アルプス白馬乗鞍岳に入山した62歳の男性が、バックカントリーをスキーで滑走中に雪崩に巻き込まれて負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。県警山岳遭難救助隊、大町警察署山岳遭難救助隊が捜索して20日に消防ヘリが男性を発見して救助した。
また同行者の53歳の女性も、技量不足により行動不能となったため救助した。3月19日、中央アルプスの宝剣岳で、単独で入山した55歳の男性が、宝剣岳から下山中に道を外れて滑落して行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリでの捜索を行い、20日に県警ヘリで発見・救助したものの死亡が確認された。
3月20日、下高井郡野沢温泉村の毛無山で、3人パーティで入山した49歳および13歳の男性が、スキー場コース外を滑走中に崖から転落して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。飯山警察署、志賀高原地区山岳遭難防止対策協会救助隊野沢温泉班が出動して2人を救助した。
また同行者の34歳の男性についても、技量不足により行動不能となったため救助した。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
3月3週は1件の死亡遭難を含む8件の山岳遭難が発生しました。県内の標高が高い山域は、日中と夜間の寒暖差が激しく、融雪と凍結を繰り返しています。そのため、雪崩や滑落のリスクが非常に高くなり、この時期の入山には、高い技術や知識・判断力が求められます。また、平地は暖かい気候が続いていますが、山間部は天候が一たび崩れると、真冬並みの猛吹雪になります。登山やバックカントリースキー等の入山には、天候や積雪状況を確認するとともに、ビバーク装備(ツエルトや食料など)や雪崩対策装備(ビーコン・プローブ・ショベル)を必ず携行し、装備品の取扱要領についても習熟しておきましょう。
長野県内入山注意報発表中
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(2月7日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

プロフィール
島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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