「雨」の字がつく山はどのくらいあるのか?国土地理院の「日本の主な山岳一覧」で調べてみると、「雨」がつく山は4山と少なめ。山と溪谷オンラインの「山のデータベース」で検索してみると、17山あった。 今回はその中から、いくつかピックアップしてご紹介しよう。(今回紹介する以外の山にも興味ある方は、以下で確認できるので参考にしてほしい。)
往々にして、雨がつく山は、雨乞いに関係したり、雨に関わる言い伝えがあるようだ。
長野・新潟県境に位置し、日本百名山にも数えられる雨飾山(あまかざりやま)。南側の布団菱と呼ばれる岩壁が壮観だ(冒頭写真)。
ここで紹介する雨飾高原からのコースは、雨飾荘付近まで村営バスを利用でき、登山口までは徒歩1時間。キャンプ場の駐車場奥にある登山口からスタートし、沢沿いを進んでから山腹に取り付く。急坂を経て荒菅沢に下るが、遅くまで雪渓が残るので注意だ。
さらに急登を経て県境の稜線に出て笹原の道を行く。雨飾温泉からの道を合わせて、最後の急坂を登れば、山頂部に出る。山頂は双耳峰になっており、左の南峰に三角点がある。どちらの山頂も展望がよく、北アルプス、火打山などが眺められる。帰路は足もとに注意しながら往路を戻る。
高低図
南アルプス北部に位置し、山梨百名山に選ばれる雨乞岳(あまごいだけ)。かつては登山者の少ない山だったが、山梨百名山に選定されてから知名度が上がった。登山道は平久保池側からと石尊神社側の2つあり、後者は長丁場で熟達者向け。初心者は前者の往復をチョイスしよう。公共交通のアクセスはよくないので、車やタクシーの利用がおすすめだ。
平久保池側登山口から、整備された遊歩道状の道を登っていく。山道らしい道になってさらに尾根上を進むと、すばらしい樹林帯となる。
一度、沢に出てから再び急な登りとなり、ガレ場の上に出て展望が開ける。上部はカラマツ林と笹原の道となり、緩やかに歩けば山頂に着く。山頂からは甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳の展望がよい。
高低図
雨ヶ岳(あまがだけ)は富士山西部、山梨県と静岡県境に連なる天子山塊に位置する。遠方から見ると、隣の竜ヶ岳とともに青く、美しく見える。ササで覆われた山頂からの展望はさえぎるものがなく、富士山の眺めが抜群だ。
朝霧高原北にある根原からスタート。トイレのある貯水地の脇を過ぎ、端足峠へとつづら折の急登を登っていく。頑張って着いた端足峠からはやや急な部分もあるが歩きやすい登りとなる。雨ヶ岳山頂は開けており、富士山の展望がすばらしい。
時間に余裕があれば、隣の竜ヶ岳にも足をのばしてみよう。いったん端足峠に下り、登り返す。標高を上げていくと笹原の道となり、視界が開けて南アルプスも眺められる。竜ヶ岳の山頂も、さえぎるもののない大展望が待っている。帰路は、急斜面を慎重に往路を戻る。
高低図
同名の山が長野県松川村にもあるが、ここで紹介するのは茨城県にある雨引山(あまびきやま)。筑波山から北に連なる山並みの北に位置する。かつて干ばつによる飢饉に悩まされていた折、雨乞いをした後に雨が降ったということからその名が由来するという。麓には雨引観音があり、アジサイの名所としても知られている。
JR水戸線・岩瀬駅を起点に、御嶽山、雨引山を周回するコース。岩瀬駅から南下し、関東ふれあいの道をたどっていく。山道に入り、御嶽神社のある御嶽山を越え、一度下って、雨引山に登り返す。
雨引山からは、筑波山方面の展望がよい。山頂から降り立つ雨引観音は、アジサイの名所として知られ、6月中旬から7月中旬はあじさい祭りが開かれる。帰路は、旧筑波鉄道跡のつくば霞ヶ浦りんりんロードを歩き、岩瀬駅へと戻る。
高低図
最後に紹介するのは、丹沢東部に位置する大山(おおやま)。古くから信仰の山としてあがめられ、別名、雨降(あふり)山ともいわれ、雨乞いの山でもあったことから今回ピックアップ。
都心部から見ると、丹沢山地の左端に見えるきれいなシルエットが特徴的で、遠くからでもそれとわかるため、かつては航海の目印にもなっていたという。登り下りでケーブルカーを利用できるので初心者でも登りやすく、一年を通して多くのハイカー・登山者を集める人気の山だ。
周囲には登山道がいくつものびているが、やはり王道は表参道から。阿夫利神社下社裏手から石段を上がり、丁目表示を頼りに、約1時間30分で山頂に到着。下山は、見晴台経由で下社に下りつく。
高低図