単独での登山はリスクをよく理解し、技量に見合った山域への入山を　島崎三歩の「山岳通信」 第334号

3月22日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第334号では、期間中に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

• 3月13日、北アルプスの白馬乗鞍岳で、単独でバックカントリーを滑走していた27歳の男性が、技量不足により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

• 3月13日、北アルプスの八方尾根で、31歳の男性がスキー場を滑走中に管轄区域外へ迷い込み行動不能となる山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

• 3月13日、中央アルプスの木曽駒ヶ岳で、単独で入山した59歳の男性の行方がわからなくなっている。

• 3月14日、北アルプスの小日向山で、2人パーティでバックカントリーを滑走していた26歳の男性が、滑走中に雪崩に巻き込まれて負傷する山岳遭難が発生した。

• 3月16日、北アルプスの西穂高岳で、2人パーティで入山していた15歳の男性が、西穂高岳から下山中に雪で足を滑らせて滑落、負傷する山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

• 3月16日、北アルプスの西穂高岳で、単独で入山した56歳の男性が、登山中にバランスを崩して滑落後、技量不足により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は無事に救出された。

• 3月17日、中央アルプスの木曽駒ヶ岳で、単独で入山した20歳の男性の行方がわからなくなっている。

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月3週は、7件の山岳遭難が発生しました。バックカントリーの滑走中の遭難やスキー場管理区域外へ迷い込み行動不能となる遭難が3件発生しています。

スキー場を滑走する場合は、各スキー場のルールを守り管理区域外に迷い込まない、故意に立ち入らないようにしてください。スキー場管理区域外での救助要請はすべて山岳遭難となり、民間の救助隊員が出動した場合は救助費用が発生します。
スキー場の管理区域外やバックカントリーエリアは、厳しい自然環境となるためさまざまなリスクやアクシデントに対応できる装備の携行が必要です。特に、「ハイクアップ道具や雪崩対策装備」「ビバーク装備や食料関係」「携帯電話のモバイルバッテリー」などを携行し、なにかあった場合に使える装備品を携行しましょう。
整備されたスキー場と同じような感覚での滑走は大変危険です。自然を相手にするスポーツですので、準備と計画は事前にしっかりと行ないましょう。

中央アルプスでは、単独で入山後、行方不明となる山岳遭難が2件発生しています。単独登山は、他人を気にせず自分のペースで登れ、行きたい山に登れるなどの魅力がありますが、トラブルやアクシデントがあった場合、1人で判断することとなり仲間の助けを借りることができません。過去の行方不明事例も、家族や職場の同僚から「○○山に登山に行ったまま帰ってこない」といった通報がほとんどです。
登山中にアクシデントやトラブルがあった場合、通報できる状態であれば助けを求めることができますが、「携帯電話の故障や紛失」「通話エリア圏外」「ケガをして動けない」などの理由で通報ができない場合があります。単独登山は、ハイリスクな登山となることを理解し、ご自身のレベルに見合った計画や山域に見合った装備の携行をお願いします。