都市近郊の自然探索ハイキング② 北鎌倉・六国見山の麓で、知られざる異空間の切通しに出合う

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ。

写真・文=山と溪谷オンライン

散在ガ池森林公園から六国見山をめざす

前回、横浜市栄区にある「横浜のグランドキャニオン」を訪れた際、その付近から鎌倉の散在ヶ池(さんざいがいけ)方面に道がつながっていることを発見。そこで後日、そこからまだ訪れたことのない散在ヶ池と六国見山(ろっこくけんざん)までつないで歩いた。

まだ朝の空気がひんやりと感じられる3月、横浜市栄区の桂台からスタートして荒井沢市民の森上部へ。前回、皆城山(みなしろやま)展望台へと向かった分岐から、今回は「鎌倉散在ヶ池」方面へと足を踏み入れる。

〉荒井沢市民の森上部の分岐から「鎌倉散在ヶ池」方面へ
荒井沢市民の森上部の分岐から「鎌倉散在ヶ池」方面へ

すれ違う人は誰もおらず、静かな樹林の道はなだらかでとても歩きやすい。やがて道標に従い「鎌倉方面」の山道に入り、続いて小さな道標が示す「鎌倉」方面に折れて、今泉不動バス停のある車道に降り立った。

散在ガ池森林公園の入り口は、南に歩いてすぐのところ。森に囲まれた散在ヶ池にはベンチがあり、いったんここで小休止だ。池のほとりはとても落ち着いた雰囲気で、心地よい静けさに包まれていた。

〉穏やかな散在ヶ池
穏やかな散在ヶ池

小休憩の後、池の脇から馬の背の小径へ。階段状の道を上がるが、公園と名がついているもののこれが結構な山道で、事前のイメージと実際とのギャップに打ちのめされる。公園といえば平坦、という勝手な思い込みがあったためで、よくよく地形図で見てみると、散在ガ池森林公園自体、尾根や谷が入り組んだ地形となっているのだ。

〉地理院地図より
地理院地図より。丸囲みの馬の背の小径は尾根の道

ちょっとした登り返しのある道を進むと、樹林越しの「富士山ビューポイント」が。残念ながらこの日は富士山は見えなかったが、めざす六国見山方面が見えた。

〉「富士山ビューポイント」からの六国見山方面
「富士山ビューポイント」からの六国見山方面

ハイカーでにぎわう、展望の鎌倉アルプス

やがて住宅地に飛び出し、半僧坊下(はんそうぼうした)バス停を過ぎて住宅地の奥から山道に入ると、意外とあっけなく鎌倉アルプスの天園ハイキングコースに合流する。

〉住宅地の奥にある緑地から天園ハイキングコースへ
住宅地の奥にある緑地から天園ハイキングコースへ

天園ハイキングコースはハイカーでにぎやか。展望のよい十王岩を過ぎ、勝上(しょうじょう)けん(現地表示は勝上嶽)へ。こちらも海方面の展望がすばらしい。

〉勝上けんからの展望。右下は建長寺
勝上けんからの展望。右下は建長寺

住宅地を抜けて六国見山へ

さてここから六国見山へは、一度住宅地に下って登り返すことになるが、住宅地にはあまり道標がないので少々わかりづらい。しばらくは地図とにらめっこである。北鎌倉駅方面からの道に出て右折し、緩やかなカーブの分岐を左に曲がって急な道をがんばり、車道終点から山道に入る。この入り口は、足もとの小さな標識がなければ、確実に迷うようなポイントだ。

〉六国見山への入り口。左下にある小さな標識が貴重な目印
六国見山への入り口。左下にある小さな標識が貴重な目印

しばらくすると六国見山の山頂だが、ピークという雰囲気は皆無。小さな標識が足元に置かれているだけなので、気づかずに通り過ぎてしまいそうだ。

〉かわいらしい山頂標識
かわいらしい山頂標識

さらに進み、稚児の墓を過ぎて展望広場に到着。ベンチがあり海の眺めがよいので、少しゆっくりしていきたいところだ。

〉展望広場からの眺め
展望広場からの眺め
NEXT 六国見山の麓にある異空間
1 2

今がいい山、棚からひとつかみ

山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。

編集部おすすめ記事