百名山・大菩薩嶺で日帰り登山! 快晴の富士山を眺める

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読者レポーターより休日の登山レポをお届けします。東武さんは大菩薩嶺(だいぼさつれい)を日帰り登山。

文・写真=東 武


5月の土曜日、快晴のなか山梨県は大菩薩に登ってきました。

大菩薩への登山ルートは複数ありますが、今回は人気ルートの上日川(かみひかわ)峠登山口から登りました。

東京からアクセスする場合はJR中央本線に乗って、甲斐大和駅が最寄り駅。そこからは栄和交通のバスで上日川峠登山口まで行くことができます。時刻表では8時10分が始発でしたが、バス待ちの人が多い時には定刻より早い時間でも臨時便を出してくれます。この日も7時47分に最初のバスが出発しました!

甲斐大和駅前のバス乗り場
甲斐大和駅前のバス乗り場。登山者たちでにぎわっている

上日川峠で準備を整え、登山スタートです。はじめは舗装された林道と並行するゆるやかな道を進みます。この日は風もなく日差しも穏やかで、絶好の登山日和でした。

山梨県・大菩薩嶺 登山口
快晴なので登山口では木漏れ日が気持ちいい

緩やかな登りを30分ほど歩くと福ちゃん荘に到着します。ここからルートが二つに別れますが、今回は北側の唐松(からまつ)尾根を通り絶景の雷岩(かみなりいわ)をめざします。道の脇を見ると、小さくスミレが咲いていました。

山梨県・大菩薩嶺 白い花弁に紫の筋がある、アリアケスミレ
白い花弁に紫の筋がある、アリアケスミレ

カラマツの森を抜けると、やがて視界の開けた道へと出ます。木々の切れ間からも富士山(ふじさん)や南アルプスの山々がのぞいていました。森を抜けるあたりまで進むと、後ろに富士山がデカデカと登場!のはずですが、この先の雷岩で雄大な景色が見られるので、あえて振り向かずに我慢。

雷岩に到着したら、さっそく雷岩の上に登り、景色を確かめます。

山梨県・大菩薩嶺 雷岩の上から眺める景色
雷岩の上から眺める景色

雷岩から眺めるこの景色が大菩薩登山のハイライトではないでしょうか。甲府盆地、富士山、南アルプスが一望できます。上日川峠から1時間半の登山で見られる絶景で、眺めているだけで疲れも吹き飛びます。ここで一息ついて、しばらく休憩をしました。

大菩薩は大きく分けて「大菩薩嶺」と「大菩薩峠」があります。

前者の大菩薩嶺は、私が登っている山の名前です。山頂は雷岩の地点ではなく、ここからさらに北へ10分程度進んだところにあります。

大菩薩嶺の山頂は木々に覆われ展望はありませんので、あまり期待せず山頂まで登りましたが、なんとこの日は山頂にシカがいました。「景色の代わりに撮りなさい」と言わんばかりに立ち止まっていましたので、撮影させていただきました。

大菩薩嶺山頂にいたシカ。ポーズを撮って立ち止まってくれた
大菩薩嶺山頂にいたシカ。ポーズを撮って立ち止まってくれた

さて、山頂の展望はないと書きましたが、もうひとつの大菩薩である大菩薩峠は打って変わって絶景ですので、ここから大菩薩峠をめざします。こちらのルートは南西方面に視界を遮る木々がないので、ずっと富士山を眺めながら歩けます。

雷岩から40分ほどで大菩薩峠に到着しました。

絶景をゆっくり堪能できる大菩薩峠
絶景をゆっくり堪能できる大菩薩峠

大菩薩峠は江戸時代以前、現在の東京と山梨を結ぶ青梅(おうめ)街道の要所でした。今でこそ交通の利便性がよく、誰でも簡単にアクセスできるようになりましたが、当時は山越えの難所であったようです。今と昔ではルートも景色も違うと思いますが、当時の人たちも峠を越える途中で富士山や南アルプスの山々を眺めては、束の間の休息を得たのではないでしょうか。

大菩薩峠からスタート地点の上日川峠まで下山するルートもあるのですが、今回は介山荘(かいざんそう)を越えてさらに先の石丸峠(いしまる)に進みます。

山梨県・大菩薩嶺 石丸峠の分岐点
石丸峠の分岐点

石丸峠からは東方面、牛ノ寝通り(うしのねどおり)を進んで奥多摩の方面に降りることもできますし、南方面に進路を取ると天狗棚山(てんぐだなやま)~小金沢山(こがねざわやま)を経由して、日本一名前が長い山として有名な牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)に進むこともできます。

この日は南方面、天狗棚山まで進んで引き返しました。牛ノ寝通りの方面も、牛奥ノ雁ヶ腹摺山もまだ登ったことがないので、次に来るときには計画を立ててどちらかをめざすのも楽しそうです。

山梨県・大菩薩嶺 天狗棚山から続く山を眺める
天狗棚山から続く山を眺める

ここからは石丸峠へ戻り、上日川峠へと下りれば登山は終了です。

山梨県・大菩薩嶺 足元を見ると、ミツバツチグリが咲いていました
足元を見ると、ミツバツチグリが咲いていました

大菩薩は都心からのアクセスも良く、天気が良ければ絶景を簡単に楽しめる人気の山。お子様連れや、普段は登山をされない方でも登りやすい山ですから、自然と景観に癒やされたいときには大菩薩に登るのはいかがでしょうか。

(山行日程=2024年5月18日)

MAP&DATA

ヤマタイムで周辺の地図を見る

コース

上日川峠~福ちゃん荘~雷岩~大菩薩嶺~賽ノ河原~大菩薩峠~石丸峠入口~上日川峠(参考コースタイム:3時間45分)

東 武(読者レポーター)

東 武(読者レポーター)

晴れた日は山に出没し雨の日には本を読む、そんな暮らしにあこがれる文系山男。文学サークル・ペンシルビバップを主催している。山と文学と相模原市を愛してやまない。

この記事に登場する山

山梨県 / 関東山地

大菩薩嶺 標高 2,057m

 大菩薩峠の北にあり、三等三角点が埋められている。伝説によると、甲斐源氏の祖、新羅三郎義光が奥州に遠征時、道を失ったが、木こりに化けた軍神の導きでここを越えた。彼は軍神の加護に感謝し、八幡大菩薩の名を高らかに称えた。これが山名の由来とのこと。  戦前、戦後ともにハイキングのメッカであり、中腹まで車が使える昨今はなおのことである。この山が有名になったのは、なんといっても、大正2年に始まった中里介山の小説『大菩薩峠』によってであろう。中腹の勝縁荘(休業中)には介山直筆の「大菩薩峠勝縁荘」の扁額も残る。  山頂こそ展望には恵まれないが、南面の尾根筋はカヤトの原で、日川の谷を前景にした富士山をはじめ、西側の甲府盆地を下にして連なる南アルプスは、上河内岳から甲斐駒ヶ岳まで、まさに一目千両といった感じである。  さて、昔、奈良の大仏を見た甲州人が、その大きさに驚いた。ところが彼は、「甲州に来れば小仏でも三里、大菩薩となれば八里もある」とほざいたという。甲州人はなんと負け惜しみの強い人種だろうか。  登山口の裂石(さけいし)から大菩薩峠経由山頂まで4時間、同じく丸川峠からも4時間で山頂に達する。

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