オオカミライター、中学生オオカミ博士に挑戦!絶滅種の剥製をめぐる冒険
6月16日まで国立科学博物館で開催中の特別展「大哺乳類展3」で公開されているニホンオオカミの剥製は、人知れず収蔵庫にひっそりと眠っていたものだった。絶滅動物を追うライターが、剥製標本を「再発見」した中学生のオオカミ博士に挑戦する。
写真・文=宗像 充
小学生が発見!収蔵庫のニホンオオカミ
現在、東京・上野の国立科学博物館で一体の「ニホンオオカミ」の剥製が展示されている。 この剥製は長年、誰にも関心が向けられないまま、つくばにある博物館の収蔵庫で眠っていた。これを「発見」してまぼろしのニホンオオカミの剥製であることを論文で証明したのは、現在中学2年生の小森日菜子さんだ。科博主催のバックヤードツアーでその剥製が目に留まったのは、日菜子さんが小学4年生の時だ。
「これニホンオオカミだ。脳が反応した」
実はぼくはこの収蔵庫に、ニホンオオカミとニホンカワウソの頭骨調べで過去2度入ったことがある。それぞれ生息情報をまとめた本を出していて、さらに『絶滅してない ぼくがまぼろしの動物を探す理由』(旬報社)という本まで出したので、なんと迂闊なことだと心底思った。
「でも大人の位置だと見えない」(日菜子さん)
どうも棚の下のほうにあったようだ。当時の日菜子さんは140cmほど。だから183cmのぼくには見えなかった。自分で言っていて負け惜しみっぽい。
「これなんの動物ですか。ニホンオオカミじゃないですか」
ツアーガイドに聞いても答えが出ない。図鑑を持ったいかにも動物に詳しそうな男の子が「こんな毛並みじゃないよ」と否定して、ほかの見学者たちも同じ意見だった。
日菜子さんにどこで見分けたのか聞いてみた。
「頬髯がある。毛並みが松皮模様。背中の上部に黒毛がある。爪がするどい。足ががっちりしている」 いずれも、ぼくが知っているニホンオオカミの特徴に当てはまる。頬髯などはぼくもあまり見分けられないので、日菜子さんに教えてもらう。それくらい詳しい。
プロフィール
宗像 充(むなかた・みつる)
むなかた・みつる/ライター。1975年生まれ。高校、大学と山岳部で、沢登りから冬季クライミングまで国内各地の山を登る。登山雑誌で南アルプスを通るリニア中央新幹線の取材で訪問したのがきっかけで、縁あって長野県大鹿村に移住。田んぼをしながら執筆活動を続ける。近著に『ニホンカワウソは生きている』『絶滅してない! ぼくがまぼろしの動物を探す理由』(いずれも旬報社)、『共同親権』(社会評論社)などがある。
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