都市近郊の自然探索ハイキング② 北鎌倉・六国見山の麓で、知られざる異空間の切通しに出合う
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ。
写真・文=中島タツヤ
六国見山の麓にある異空間。知られざる切通しへ
展望を満喫した後は、北鎌倉駅に向かわず北へ下り、高野台(たかのだい)バス停のあるロータリーに出る。ここからバスで大船駅まで向かってもよいのだが、さらに歩を進めてみたい。
大船高校の北側をぐるりと巻いて、階段を降りた所にある道標から山道に入る。緩やかに下っていくと、次第に両側に岩肌が迫る切通しとなる。高さはあまりないものの、切通しの道は、通常の山道とはなにか空気が違う。
下りきると、削られた跡が荒々しい小さな隧道の脇の車道に飛び出す。思えば、この隧道の上を歩いてきたので、隧道と切通しとが立体交差となっているわけだ。切通しと隧道は同時期に作られたものではないと思うが、その技術と叡智に驚かされる。
帰路はここから大船駅まで徒歩20分ほどだが、すぐそばには熊野神社と多聞院があるので参拝していくのもよいだろう。
ところで、今回の自然探索はこれで終わりではない。付近にもう1カ所切通しがあるので、こちらについても触れてみたい。
鎌倉市の「かまくら景観百選」にも選ばれている「高野の切通」である。多聞院から南西に歩いて10分ほどなのだが、特に道標はないため、町歩きのルートファインディングが必要で、再び地図とにらめっこ。
住宅地の奥、高野公園の脇から入ると、突如として切通しが現われる。先ほどの切通しよりも高さがあり、なかなかの規模で、そこはもう異空間。よく知られている鎌倉七口(かまくらななくち)に含まれていないが、これほどの切通しが存在していたことに、素直に驚いた。
さてここで、今回の2つの切通しを地形図で確認してみよう。
そもそも切通しというと、尾根の鞍部を横切るように掘削されているというイメージを抱いていた。すなわち、人や馬が通る道を作る際、労力が少なくて済むように掘削されているものだと。しかし、これらはどちらも小さな尾根そのものを、尾根の形状にあわせて削られているのである。特に高野の切通しに至っては、掘削の長さや深さは相当の規模だったと思われる。
なぜわざわざこのように削られたのか、そもそも尾根の上をそのまま歩くわけにはいかなかったのだろうかという素朴な疑問も湧いてくる。何か地勢的な要因があったのだろうか・・・。いろいろと想像はつきない。
都市近郊の自然探索ハイキング
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ
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