喧噪から離れた鎌倉ハイキング。北鎌倉駅から自然豊かな山崎・台峯緑地を訪ねる

鎌倉はハイキングコースが多く、季節を問わずハイカーに歩かれている。また市街地でも小さな尾根や「やつ」とよばれる谷筋が入り組んで複雑な地形のため、場所によっては迷路に迷い込んだかのような錯覚に陥ることもある。鎌倉はハイキングも町歩きも、おもしろい。

写真・文＝中島タツヤ

北鎌倉駅から長谷の大仏までつなぐ葛原岡（くずはらおか）・大仏ハイキングコースは、人気のハイキングコースの一つ。そしてここから分岐してさらに北西に、「山崎（やまさき）・台峯（だいみね）緑地」がある。鎌倉中央公園の東に隣接する緑地で、「鎌倉三大緑地」の一つだ。地形的に見ると葛原岡神社あたりから北西に延びる支尾根の位置にあり、山崎・台峯緑地と鎌倉中央公園は一体となって広大な緑地帯を形成している。

北鎌倉駅から葛原岡・大仏ハイキングコースへ

この春、北鎌倉駅を起点に山崎・台峯緑地を訪れた。まずは観光客でにぎやかな北鎌倉駅前から、建長寺方面に向かう。

浄智寺への角を右に曲がり、車道の奥から階段を登って葛原岡・大仏ハイキングコースの山道に入る。人気のコースなので、人通りが絶えない。小さなアップダウンを越えて、葛原岡神社に飛び出す。

葛原岡神社は、後醍醐天皇の忠臣・日野俊基（ひのとしもと）が祭られており、縁結びの石がある。広々とした表参道にはベンチやテーブルがあり、よい休憩スポットだ。

葛原岡神社から山崎・台峯緑地へ

お参りを済ませ、表参道の日野俊基の墓手前から北西に延びる細い舗装路を下る。葛原岡・大仏ハイキングコースとはうって変わって静かな雰囲気である。太い車道に出てしばらく進むと、山崎・台峯緑地の南管理事務所がある配水池入口に到着した。

ここから北へ向かい、北鎌倉駅への分岐を過ぎて山道に入る。すれ違う人もまばらで静かなトレイルだ。自然林の中に延びるなだらかな道で、とても心地がよい。

左手にグラウンドを見ろすようになると再び北鎌倉への分岐となるので、ここを「山崎小入口」方面へ。下りきって名残惜しくも山道に別れを告げ、いったん車道に出る。削られた迫力ある崖が車道沿いにあり、ついつい足を止めて眺めてしまった。

小学校脇をぐるりと回って清水谷戸入口を過ぎ、山崎子ども会館入口から再び山崎・台峯緑地に入っていく。谷状の地形に延びる歩きやすい道を少しずつ緩やかに登り、さほど時間もかからずに先ほどの南管理事務所の場所に戻った。ここからは最初に下った道を再び北にたどり、途中の分岐から味わい深い尾根上の道を下って北鎌倉駅へ戻る。